きまぐれうさぎ

きまぐれうさぎ

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2009.10.23
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主人公信之は幼馴染の美花との美しい島での生活に満足していた。しかしその島を津波が襲い全てを奪い去って行った。やがて二十年余りが経ち、生き残った子供たちは再び津波がもたらした暗い影に呑み込まれようとしていた。




シリアスな三浦しをん作品です。別にシリアスな作品が嫌いというわけではないのですが、この作品は三浦作品にしては、あまり物語に入りこめなかったし、共感も覚えづらかった作品だったように感じました。

期待し過ぎたせいなのかもしれませんが、なんとなく三浦作品にしては中途半端で何を言いたかったのか分からなかった作品だったような気がします。
物語も大方予想通りに展開していくし、人物の内面の描写にしても何故か津波で生き残った三人の子供のうち二人の視点でしか語られません(島の人以外の人物はありますが)。
何故美花視点の語りはなかったのでしょうか。
そのため津波で自分の命以外全てを失った3人の子供の物語とも読むことが出来ないので、何が言いたかったのか分からないまま読み終えることになってしまいました。
それなのでストーリーを楽しむにしても人物の内面を味わうにしてもなんだか物足りなく感じてしまったような気がします。


そしてなんとなく気になったのが、この作品を読んで他の作品を思い浮かべてしまったことでしょうか。
主人公の住む島に津波が襲ってくるところは桜庭一樹の「私の男」を、過酷な運命を生き抜く3人の子供たちの物語としては天童荒太の「永遠の仔」を思い起こしてしまいました。



そして何よりも三浦しをん最大の魅力である「するすると水のようにのど越し良く入り込んでくる文章」は今回はあまり見られずに、回りくどかったり大仰な言い回しが多く用いられていたように感じたのが残念でした。
その為読んでいて、登場人物たちが悩み苦しんでいると共感出来ずに、彼らが己の悩みや苦しみに酔っているような印象すら受けてしまい、読んでいて胸に入り込んでくることが少なかったように思います。


なんだか辛口な感想になってしまいましたが、この感想はあくまで「三浦しをんの作品にしては」を前提にしています。
三浦しをん作品が素晴らしいことは言うまでもないことですので、この作品も数多に存在する文学作品の中で良質な作品であることは間違いありません。
なので、一度でも読む価値は十分ある作品です。





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最終更新日  2009.10.23 20:58:22
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