NFLのFA戦線

「NFLのFA戦線」      

NFLは現在FA(フリーエージェント)市場が活発だ。今年もFA市場を独占しているのがワシントンレッドスキンズ。若きオーナーのD・シュナイダー(フェデックスの社長)は金にものを言わせて大物選手を獲得している。

今年はジャガーズから「次代のヤング」(ヤングとはサンフランシスコ・49ersで活躍し、スーパーボウルMVPにも輝いた機動力を兼ね備えた天才左腕QB)と言われていたQB(クォータバック)M・ブルネル、ブロンコスからエースRB(ランニングバック)P・ポーティス、シーホークスから快速CB(コーナーバック)S・スプリングスを獲得した。

これらのビッグネームを獲得したら今年こそはプレイオフには進めるだろうと思うが、それぞれ問題がある。ブルネルが「次代のヤング」と謳われたのは今は昔。機動力は年齢と共に衰えていくものだ。今年34歳のブルネルに全盛期の活躍を望むのは酷だろう。ポーティスはM・シャナハン(ブロンコスのヘッドコーチ)のスキーム(戦術)の下だからこそ1500ヤード走れたと言われている。スプリングスは個人的には好きなのだが、膝の怪我をしてから持ち味のスピードは影を潜めた。レッドスキンズは大物選手を毎年獲るが、どれも峠を過ぎているので金に見合った活躍をする選手が少ない。だから、チームの成績も芳しくない。でも、弱点と言われていたQB、RBを獲得できたのはいい補強と言えるだろう。

いい補強をしたのはレッドスキンズだけではない。次にベストな補強をした5チームを上げてみたい。

まず、イーグルス。タイタンズからDE(ディフェンシブ・エンド)J・カースを獲得。カースはタイタンズ時代に「フリーク(怪物)」と恐れられたパスラッシャーである。新人時代にはルーキー・オブ・ジ・イヤー(新人賞)に輝いている。ただ、最近は怪我に悩まされ彼本来のパフォーマンスを見せていない。健康状態を良好に保てればイーグルスディフェンス陣の核となり得るだろう。

次に、カウボーイズ。チャージャーズからDEのM・ワイリーを獲得。ワイリーはプロボウル(オールスターゲーム)にも出場したことのある実力派パスラッシャーだ。去年までのDEのE・イクバンでは見せられなかったパスラッシュを見せてくれるだろう。それから、テキサンズからトレードでQBのD・ヘンソンを補強した。
ヘンソンは去年までヤンキースのマイナーリーグでプレイしていた。もし、ヘンソンが野球で浪費した時間が彼のフットボールの才能を奪っていないなら、ドラフト3巡目と交換して獲得したダラスはいい買い物をしたことになるだろう。
それと、バッカニアーズからWRのK・ジョンソン。首脳陣批判をしてカットされた超がつくほどの問題児(ジェッツ時代は自伝でチームメイトも批判したことがある)をかつての上司であるB・パーセルズがうまく調教できるかが鍵だ。実力は折り紙つきだ。

3チーム目はブラウンズ。サンフランシスコからQBのJ・ガルシアを獲得。ガルシアはサンフランシスコ時代にはエースとして申し分ない数字を残していた。去年の成績が極端に悪かったため放出されたのだろう。しかし、サンフランシスコ時代のパファーマンスを再現できれば、不安定なカウチ、ホルコムの不安定なQBデュオの先発争いに割って入りこむことは可能だ。

4チーム目はスティーラーズ。イーグルスから、RBのD・ステイリーを獲得。エースのJ・ベティスは殆ど終わっている。控えのゼレモウはベティスの後釜には今一歩。ステイリーは1試合に200ヤード走れる爆発力を持っているので、もしかするとエースになれるかもしれない。(しかし、1試合200ヤード走ったのは2年前のダラス戦しか見たことがない。その試合で一躍脚光を浴びたが、その後怪我をしてしまい実力を発揮していない。それなのに、メディアの評価は高い。)

5チーム目はバイキングス。C・カーターを放出したあとR・モスの逆サイドが常にウィークポイントだったが、WRのM・ロビンソンを獲得してやっとその弱点が埋まりそうだ。これでモスの負担は軽減されるだろう。

移動することだけがFAではなくチームと再契約する選手もいる。今年の再契約した注目の選手はコルツのP・マニングだ。7年9800万ドルで契約の延長に合意した。コルツはマニングと再契約に合意しただけでも今年のFAは成果があったと言えるだろう。

納得できる移籍もあれば、不可解な移籍もあった。まず、T・オーエンスのレイブンズへの移籍。この移籍には複雑な事情が絡んでいる。チームメイトや首脳陣とたびたび衝突していたオーエンスは、契約の最終年を破棄して移籍先を見つけることが出来る許可をサンフランシスコから与えられていた。

しかし、オーエンスの代理人の書類への記入に不備があった。その後サンフランシスコがオーエンスの移籍を発表した。レイブンズ側はドラフト2巡目の指名権と交換にサンフランシスコからNFLのトップレシーバーであるオーエンスを獲得した。3月15日にはオーエンスがFAになるかどうかの聴聞会がフィラデルフィアで開かれることになっている。

オーエンスの希望球団はイーグルスだった。イーグルスもサンフランシスコにドラフト5巡目の指名権とWRのJ・スラッシュを交換条件に出していたが、サンフランシスコはこのオファーを拒否した。オーエンスはレイブンズにいきたくないといっているのでまだまだこの後どうなるかわからない。

次にバイキングスのS(セーフティ)T・カーターとのサイン。カーターはミネソタで結果を出せなかったのでジェッツに放出された。しかし、そこでもたいした成績を残していない。そして、またバイキングスに戻ってきた。なぜだろう?奇妙だ。

FAはまだまだほんの序章に過ぎない。ビッグネームの選手が未だ残っている。(タンパベイのW・サップなど。サップはタンパベイを出るのは確実と言われている。)シーズンに向けてチームは着実に補強していく。いい補強をするチームもあれば何でこんな補強をするの!というチームもある。これから加熱していくFA戦線から未だ目が離せない。



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