こっぱんの日記

こっぱんの日記

2005.04.06
XML
カテゴリ: 美術・博物・展示
今日は、朝、昨日の花見ハイキングの日記を書いたあと、大山崎山荘美術館で開催されている「蘭の館、大山崎山荘展」を見に行った。

JR山崎駅に着くと、辺りには桜や桃の花が咲いていて閑静な佇まいの町だ。大山崎山荘へは、急な坂を10分ほど登ると到着する。山崎の合戦で名高い天王山の中腹である。

大山崎山荘は、実業家加賀正太郎氏(ニッカウィスキー創始者の一人)の別荘として大正時代に建てられた。昭和29年に氏が66歳で没すると、山荘は人手に渡り、荒れ果てていたのを、平成になってアサヒビールの当時の社長樋口広太郎氏が修復整備に乗りだし、「大山崎山荘美術館」として平成8年に開館したもの。私は、昨年2月、友人から紹介されて行って以来、二度目の訪問である。建物が庭、廻りの風景と一体になった感じのするきれいな美術館である。

今回の美術展に、蘭の館と題されている通り、この大山崎山荘が日本の蘭栽培のメッカであったそうである。英国留学中に蘭に深い感銘を受けた加賀が、帰国後、山崎の地で蘭栽培を始め、一時は1千余種1万鉢を育てていたという。

蘭に魅せられ、その美を後世に残そうとして作成を考えたのが、今回展示される「蘭花譜」という画集。この画集は、原画を池田瑞月が描き、104枚が木版画に作られ、300部限定で、昭和21年にの自費出版されたが、それには、涙ぐましい努力があったそうだ。

制作は、昭和7年に始まる。加賀の希望は「蘭を実物そのままに写す」ことであった。版木は何度も試作され、何度も刷り直された。校正図には、ここをぼかす、ここをもっと濃くなどの細かい書き込みが多数入っていることでそれがわかる。しかし、戦火が激しくなると次第に画材の調達が思うようにならなくなる。版木も紙も手に入らない。育てている蘭の温室用の燃料もこと欠くようになり、蘭の数も減らさざるを得ない。戦時中は戦争一色で、蘭の花の絵の出版など出来る状態ではなく、やがて終戦となる。戦後となっても、物資は手に入らないが、早く出版を実現したい加賀は、21年、満を持して未完のまま300部の限定出版を行った。きちんと製本されたものではなく104枚がばらばらの状態のものであったが、こうして「蘭花譜」は誕生した。そして蘭の温室のため、多くの版木は役目を終えて燃料となった。蘭の数は少なくなってはいたが、それでもいくらかは育てていたのである。加賀が作り出した蘭の数々は現在では現物はなくなってしまったが、「蘭花譜」に描かれたものは花の姿を後世に残すことができた。

蘭とは関係ないが、昭和20年の5月頃、山荘に軍がやって来て、「米軍の本土上陸に備え、山荘に戦車を置き砲台を作るので了承せよ」と言って来た事があるそうだ。「それだけは止めて欲しい」と言うと、「貴様!」と言って死ぬかと思われるほど殴られたそうだ。結局、設置が間に合わないまま終戦となったからよかったが・・・

今回の「蘭の館」展は、こうしたことを蘭愛好家に知ってもらうべく開かれたもので、「蘭花譜」の版画、約50点が展示されていた。他に本物の蘭が約60鉢展示されていたが、実物の蘭より、版画の蘭の方がより迫力が感じられた。

蘭は、昔は美術品に匹敵するほどの値段で取引されたほど高価なものであったが、栽培技術の発達により安価で美しい蘭が手に入るようになった。現在、蘭の生産の世界一は、台湾で特に高雄で多く栽培されているそうだ。そして、日本はアメリカに次いで世界第2位の蘭消費国だそうだ。日本の蘭愛好者は1000万人と言われている。蘭は見るだけで幸せを感じる、そして蘭は世話に報いてくれる、蘭愛好者の一人として、この展覧会を見ることができたのは、大きな喜びであった。





庭には、桜の植えられていて、今日も、数組の花見客が訪れていた。大きなハクモクレンの木が印象的であった。

山崎の地は、天王山付近に見所も多く、今のシーズンがハイキングなどにも一番よいとき。この週末には、桜も満開となるので、まだ行かれてない方は、蘭の館展を兼ねて出かけられることをお勧めする。蘭の館展は、10日まで。

「蘭の町」については、下記サイトを参照されたい。
http://oyamazaki.kyoto-fsci.or.jp/rannomachi.html
また、大山崎山荘美術館のホームページURLは下記の通り。
http://www.asahibeer-oyamazaki.com/

また、NHK総合テレビでは、4月24日(日)午前10:05~10:59 に、「失われた蘭の楽園~京都・版画集「蘭花譜」ものがたり~」と題する番組が放映されるので、大山崎山荘美術館へ行かれた方も行かれなかった方も、蘭に興味のある方は、是非ご覧下さい。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.04.12 11:14:33
コメント(2) | コメントを書く
[美術・博物・展示] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

こっぱん

こっぱん

Calendar

Favorite Blog

ゲームセンターに行… New! ビッグジョン7777さん

誕生日直前 夢宙人2026さん

我流達人のHP garyu33さん
自分が好きな曲 関空快速1649さん
DIARY OF A.K   歳… kissakemさん

Comments

まりぞう@ Re:腰痛のリハビリへ(12/16) 坂戸先生の提案は、私にとってちょうど良…
聖書預言@ Re:桜の通りぬけへ(04/07) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…
山ちゃん@ Re:妻の病院行きに付き添う(08/02) 奥様の介護大変ですね。 ブログ見さしても…
小林嘉雄@ Re:午前月曜講座、午後服部緑地へ(11/28) 最後の花は、キダチダリヤといいますが、…

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: