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言わずと知れた「発酵博士」こと小泉武夫先生による「くさうま(臭くて美味い)」の決定版。
今回は実際に小泉先生が発酵の現場に足を運んで、思わず仰天した
「奇跡の発酵食品」の中から絞りに絞った17品目を紹介します。
小泉先生がその食品といかにして出会ったか、からスタートする各章は
紀行文としての魅力もたっぷり。日本国内はもとより、中国の奥地にまで
出かけていきます。
また、出かけた先で出会った人たちも、一癖も二癖もある魅力的な人物でした。
小泉先生が初めて出会った青森の果物の熟れずし、古文書で見つけた紙を
発酵させた「紙餅」など、聞いたことがない発酵食品から
「100人がそれを食べたら、98人が気絶寸前、2人が死亡寸前になる」
韓国のホンオ・フェ(エイの刺身)や、「風上で缶を開けると風下の人が
気絶する」という北欧のシュールストレンミング(イワシの缶詰)など
悶絶級のものまで、いやはや読んでいるだけで臭い。
それでいて、美味しそうだから不思議だ。
小泉節満載の本書は、発酵のうんちくもたっぷりあって、勉強にもなる。
「口噛み酒」とは「こめかみ」の語源になった発酵で、古代、麹菌が
まだ知られていなかった頃、若い巫女さんが、ごはんを口に入れ
ぐちゃぐちゃになるまで30回ほど噛んで、それを壺にぺっと吐き出す。
これを貯めておくと、自然に発酵して、数週間でアルコール度数が9度以上
(ビールくらい)の酒になる。小泉先生は自分の研究室で
これを実際に試してみた。伝統に則って噛むのは4人の女子大生。
こめかみをしびれさせながらも、見事に古代のお酒が蘇った。
食品だけでなく、小便を発酵させて火薬を作ったりする番外編もあって
発酵って不思議で面白いとあらためて感じる1冊。
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