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2015.04.08
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カテゴリ: 書籍その他
 辻静雄『ヨーロッパの旅』1965年 保育社カラーブックス87

 2015年04月07日(火)。都内の古書店で購入。

 保育社カラーブックスは、結構好きなシリーズだ。
 しかし、かなり粗雑な書籍群である。誤字・脱字は、必ずある。同一の固有名詞の表記が、一冊の中でまちまちだったりする。カラー写真の多用は良いのだが、写真内容とキャプションが合致していないことがある。また、再読したくなるような読みごたえも、ほとんど感じられないと言える。印刷物が売り手市場だった時代のグラフィック誌、くらいに考えれば良いのだろう。

 この『ヨーロッパの旅』にも、粗雑さはある。1933年生まれの 辻静雄 は、発刊時の1965年で32歳。海外旅行がまだまだ少なかった時代としては、珍しい体験をしている人物だったのだろうが、旅行経験自体はそれほど豊富でないはずである。
 巻末のあとがきで、辻自身が書いている。
  私もいくらか歩いてみて私なりにヨーロッパ旅行の楽しさは
  満喫してきたつもりだったが、なにぶん私は食べ物のことしか
  興味がないので、かえって型通りの観光旅行をする人よりも、
  ものを知らないことに気がついた。私は思いきって、あるとこ
  ろではこまかいことがらまで書いてみたり、またあるところで
  は、そうした資料を一切捨てて、私の感じたことだけを書いて
  みることにした。
  (p.153)


 とはいえ、その粗雑さの裏に荒削りな魅力も隠れている。
  ある大学教授の二先生が、ローマで入ったバーで、シャンパン
  をあっという間に五本も抜かれ、二人で六〇〇ドルも請求され、
  ヨーロッパ旅行のスタートで、つまずいて、あと、どこへも行
  かずにローマから日本へ引き返した話も有名だが、どうしても
  こうした人たちは、割りに勇ましい感じがする。
  (p.136~p.137)

 なかなかのエピソードの披露である。その2教授は、一体誰なのだろう。また、事の真偽も気になるところだ。だが、仮に単なる噂だったにしても、面白い話であることには変わりない。



 実は、この本は読みごたえがあるのかもしれない。
ヨーロッパの旅





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Last updated  2015.04.08 16:26:05
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