動物たちを助けるためにできること

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2006.01.10
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カテゴリ: 動物実験関連
今日は「第6回動物実験指針検討作業部会」の傍聴に行ってきました。
この委員会では、文科省が事務局となり、「研究機関における動物実験等に関する基本指針」の改定作業が進められています。
現在パブコメ募集中の、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(素案)」(環境省)と、この文科省の指針と、動物実験関連のものが2種類並行して進んでいるため、ややこしいのですが、この文科省の指針もかなり重要なものと言えると思います。

委員会のメンバーは、倫理学の専門の教授2名や動物福祉協会以外は、殆どが動物実験に関わる研究者で占められています。
(悲しいかな、いつもながら多勢に無勢の構造は変わりません。。。)
今回の委員会では、これまでの議論をふまえて文科省の担当者がまとめた素案が提示され、それに対しての議論が行われました。

さて、今回、最大の争点となったのは、この指針の素案の「はじめに」という冒頭部分に載せられた、次のような一文に関してでした。

「1、はじめに
動物実験等は、人の健康・安全・医療の向上と密接不可分のライフサイエンス研究の進展にとって やむをえない手段

つまり、「動物実験は必要不可欠」か「やむをえない手段」か、という部分が論争の的となりました。

研究者の方々は「やむをえない手段」という表現に対して、口々に反論を述べ、「『やむをえない』は消極的なニュアンスがある。動物実験は科学の発展のために必要不可欠なことであり、この指針は積極的に動物実験をしようとする人のためのものなのだから、もっと積極的な表現にすべきである。」というのが、研究者側の主だった意見でした。
それに対して、動物福祉協会から反論もなされたのですが、さらに説得的な反論を企ててくれたのが、高木美也子委員(日大総合科学研究所・生命倫理学教授)でした。
高木委員の意見は、「(研究者側の意見は)科学実験を積極的にすることと、動物実験を積極的にすることとを混同している。動物を使って実験することの申し訳なさ等をふまえたら、動物実験を積極的に言う必要は無いのではないか。その研究に代替法があるのならば、その方法をとった方が良いわけで、現時点で代替法の無い研究については動物実験以外ほかにやりようが無いのだという消極的な立場からスタートするべきと思う。従って、ここの一文は、『やむをえない』という表現のままでよい。」という趣旨のものでした。

しかし、研究者の方々にとっては、この部分はアイデンティティーにも関わる部分なのかと感じさせられるほどに、「必要不可欠である」との意見を変えず、双方の意見は折り合いませんでした。
結局は、文科省の担当者から「『 必要、かつ、やむをない手段である 』との表現に変えるのはどうか」との折衷案が出され、一応、その場は終息となりました。

結局は、もともと委員の数が多い研究者側の意見に押されてしまったきらいがありますが、この指針の冒頭で、「動物実験は必要である」ということをわざわざ謳うのは、やはり私は賛同できません。
ここは、意見をあげていきたいと思っています。

ただ、今回の指針の素案では、評価できる部分もあると感じました。
例えば、あくまで配慮事項としてですが、3Rが明記され(表現はまだまだゆるいですが)、また、情報公開についても明記されました。


★1月末~2月頃にかけて、上記の「研究機関における動物実験等に関する基本指針」のパブコメも行われる予定です。詳しくは、文科省のHPに掲載されると思います。またまた重要なパブコメになりますので、是非、多くの方が声をあげてくださいましたら幸いです。★





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Last updated  2006.01.11 00:47:21
コメント(12) | コメントを書く


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Re:第6回動物実験指針検討作業部会(文科省)◆傍聴記◆(01/10)  
jam-raga  さん
なんて事でしょう!!
私も賛同出来ません。絶対出来ません。
高木さんの意見、スマートで感動です♪
こういった考えをお持ちの方がいらっしゃること
心強いですね♪

ぬぅぁにがアイデンティティーだ!!怒

>「『必要、かつ、やむをない手段である』
と言うのも、「必要だし、やむを得ないんじゃない?」みたいに取る人もいるのではないでしょうか…
私はそう取ってしまいました(;´Д`A ```

環境省の方のパブコメも、どこか動物実験を肯定しているような雰囲気を醸し出しているようなニュアンスもあります…。
動物実験は動物虐待じゃないの?との意見も付け加えるつもりです。

まだまだ戦いは始まったばかりなのでしょうか。
山のように問題はあれど、どれも氷山の一角なのかと思うと悔しくてなりません。
たとえ小さな力でも、声を上げて行くことは
必要だと思いますし、いつか必ず通じると信じています。甘いかも知れないですが(^_^;)
私もお手伝いさせて下さい。非力ですが
根性だけはありますですΨ(`∇´)Ψ

人数が多けりゃいいの?!ですね…悲
いい加減、目を覚ましてほしいです。。。 (2006.01.11 09:32:15)

Re:第6回動物実験指針検討作業部会(文科省)◆傍聴記◆(01/10)  
Brave24  さん
高木美也子委員の意見を読んで大変嬉しく思いました。
もっと高木さんのように強く訴えてくださる方がいらしたらいいのですが・・。
最近は代替法もかなり開発され進歩していると聞きますから、研究者側は最初から動物実験ありきで考えないでもう少し柔軟に対応してほしいです。(3R・情報公開が明記されることは良かったですが・・)

鳥獣法に続いて動物実験に関するパブコメ(環境省・文部省)と慌しいですが、動物開放を願う1人として
意見を送ります♪
(2006.01.11 12:51:37)

Re[1]:第6回動物実験指針検討作業部会(文科省)◆傍聴記◆(01/10)  
jam-ragaさん、こんばんは。
コメントをどうもありがとうございます!

>高木さんの意見、スマートで感動です♪
>こういった考えをお持ちの方がいらっしゃること
>心強いですね♪

本当に、一筋の希望っていう感じでした。
さすがに生命倫理の専門家だなあと嬉しかったです。

>>>「『必要、かつ、やむをない手段である』
>と言うのも、「必要だし、やむを得ないんじゃない?」みたいに取る人もいるのではないでしょうか…
>私はそう取ってしまいました(;´Д`A ```

そうですよね。。。
この指針では3Rが盛り込まれたので、その前提として、動物実験の必要性みたいなことを冒頭で確実におさえておかねば、、、という研究者の方々の意図が強く働いていることを感じます。

>たとえ小さな力でも、声を上げて行くことは
>必要だと思いますし、いつか必ず通じると信じています。甘いかも知れないですが(^_^;)
>私もお手伝いさせて下さい。非力ですが
>根性だけはありますですΨ(`∇´)Ψ

心強いお言葉に私も意欲を高めてもらえます!
どうもありがとうございます!
共に頑張っていければとても幸いです。<(_*_)>

>人数が多けりゃいいの?!ですね…悲

そうですよね!
あの会議のメンバーの集め方自体に、大きな偏りを感じてしまいます。
集められたメンバーによって、今後の実験動物たちの運命が大きく左右されてしまうのですから。。。
環境省も、文科省も、どんどん信じられなくなりそうな心境です。 (2006.01.12 01:02:42)

Re[1]:第6回動物実験指針検討作業部会(文科省)◆傍聴記◆(01/10)  
Brave24さん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございました!

>もっと高木さんのように強く訴えてくださる方がいらしたらいいのですが・・。

本当にそのように思います。
集められた委員の偏りも感じてしまいます。
立場が研究者側の委員に偏りすぎていて、公正さに欠けると感じます。
研究者側の意見がもっと多様で幅広ければよいのですが、殆ど一様に同じ意見で、研究者側か愛護側かの単なる二極化という印象の議論のため、結局は、人数の多い研究者側の意見で決められてしまう印象です。
委員の選択の時点で、こうした指針や基準、法律などの中身が大きく左右されることを苦々しく痛感させられています。。。

>最近は代替法もかなり開発され進歩していると聞きますから、研究者側は最初から動物実験ありきで考えないでもう少し柔軟に対応してほしいです。

そうですよね。
会議の中で、研究者の中から「(動物実験をしている)研究者は、科学の進歩のために勇気をもって動物実験をしている」といった発言も見られ、とても違和感を覚えました。

>鳥獣法に続いて動物実験に関するパブコメ(環境省・文部省)と慌しいですが、動物開放を願う1人として意見を送ります♪

心強いお言葉に勇気をもらえます。私も頑張りますね!
今回の指針でも、前述の情報公開の点など改善された点もありますので、少なくとも後退ではないと信じたいです。
海外からの影響や時代の流れも、私たちの願いに逆らう方向ではないという空気は感じられなくもありません。
希望を信じ、できることは、とにかくやってみようと思います。 (2006.01.12 01:26:33)

すごい隔たりを感じますね  
Kurampon  さん
いつも傍聴記をありがとうございます!現場の空気を少しでも知ることの出来る貴重な機会で、感謝感謝です!
「動物実験は必要不可欠」か「やむをえない手段」か、というのが最大の争点になる、ということ自体に、すごい認識の隔たりを感じますね。
動物の犠牲は少ないほうが良い、できれば無いほうが良い、というのは当たり前のことと思っていましたが、研究者にとっては当たり前ではないということですね・・・

>評価できる部分は認め、あくまで譲れない部分はその点を粘り強く訴えていくしかないかな
というご意見に賛成です。
自分にできることはほんとうに限られていて、ため息が出そうですけど、あきらちゃダメですよね。
少しずつでも良い方向へ変えていけるように、粘り強く頑張ろう! (2006.01.12 13:49:58)

Re:すごい隔たりを感じますね(01/10)  
Kuramponさん、こんばんは。
傍聴記を読んでくださり、どうもありがとうございます!
そして、コメントも嬉しく拝見しました。

>動物の犠牲は少ないほうが良い、できれば無いほうが良い、というのは当たり前のことと思っていましたが、研究者にとっては当たり前ではないということですね・・・

私も大きな隔たりを感じます。
実は、今回の会議の中で、高木委員とは別のもう一人の倫理学の教授が、「動物実験はしなくてすむなら、それにこしたことはない」といった趣旨の発言をなさったのですが(私はその通りだと思って頷いてきいていたのですが)、研究者の方々から強い批判を浴びていました。
「この会議は、動物実験は必要だという前提に立って行われているのだから」と。

「動物実験をしなくてすむなら、それにこしたことは無いが…」といったニュアンスの発言が、研究者側から全く聞かれなかったことには、むしろ今更ながら驚きを隠せません。
日本の研究者の代表が集まっているはずなのに、そら恐ろしいことです。
動物実験を監視する外部からの評価機構の必要性を、切迫した気持ちで感じています。 (2006.01.12 23:11:22)

Re:第6回動物実験指針検討作業部会(文科省)◆傍聴記◆(01/10)  
ヒロ さん
はじめまして!!アニマルポリスサイトから来ました。
動物実験のパブコメ!!なんとか頑張ってトライしたいです。こういった サイトもあるんですね。興味深く拝見いたしました。

>、「動物実験はしなくてすむなら、それにこしたことはない」といった趣旨の発言をなさったのですが(私はその通りだと思って頷いてきいていたのですが)、研究者の方々から強い批判を浴びていました。
「この会議は、動物実験は必要だという前提に立って行われているのだから」と。

えっ!!そうなんですか?「動物実験は必要だという前提」なんですか、、??

上に立つ方々って往々にして 外部の意見をはなから聞き入れない!!って 姿勢ではありませんか・・?
甘い考えですが 敵味方ではなく 相手の話にも耳を
傾けてもらいたいですね。

しかも 多数決ぽっくなるなんて!!
こんな事 いってはいけませんが・・自分がその動物なら どうなの?・・って思ってしまいます。(スミマセン)

・・・また ちょくちょく覗かせていただきますね。

(2006.01.18 12:21:50)

Re[1]:第6回動物実験指針検討作業部会(文科省)◆傍聴記◆(01/10)  
ヒロさん、こんばんは!コメントをどうもありがとうございました!
そして、お返事が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
アニマルポリスさんのサイトから来てくださったのですか。嬉しいです!

>動物実験のパブコメ!!なんとか頑張ってトライしたいです。

心強いお言葉!是非、共に頑張って参りましょう。
ご存知かもしれないのですが、下記のサイトが結構参考になるかもです。(^^)
よろしければ覗いてみてください!

動物実験の法制度改善を求めるネットワーク:
http://homepage2.nifty.com/jikken-houseido/kijyun-kaisei.htm

>えっ!!そうなんですか?「動物実験は必要だという前提」なんですか、、??

そうなのだそうです。。。!私も今回の傍聴でその話題になって、改めて認識の違いに驚きました。
しなくてすむならば、しないにこしたことはない。。。といのは、3Rも盛り込んだのだし、ある程度、共通認識だと思っていたのですが。残念ですね。

>上に立つ方々って往々にして 外部の意見をはなから聞き入れない!!って 姿勢ではありませんか・・?

そういう印象は、あるように感じます。
特に、動物実験関連は素人にはわからない専門分野だから、自分たちが・・・という姿勢が強いような印象を受けます。
そのほかにも、ヒロさんが書いてくださっているように、反対意見への柔軟性の乏しさ、多数決的になっている理不尽さなど、いろいろな角度からの貴重なご意見、その通りだと思います。
どうもありがとうございました。

今後とも、どうぞよろしくお願いします! (2006.01.20 00:42:33)

大企業の動物実験の陰には・・・  
Sakura_saku  さん
やっぱり政府が見え隠れ・・・。動物の本当の幸せは、政府と大企業の癒着を切り離すしか、道はないかもしれませんね。 (2006.01.20 13:47:24)

Re:大企業の動物実験の陰には・・・(01/10)  
Sakura_sakuさん、こんばんは★
コメントをどうもありがとうございます!

>やっぱり政府が見え隠れ・・・。動物の本当の幸せは、政府と大企業の癒着を切り離すしか、道はないかもしれませんね。

この部分、本当に大きいと感じます。
昨年の動物愛護法改正の時も、自民党案では動物実験の部分については改善案が全く取り上げられませんでした(畜産動物などは完全に問題外でした)。
やはり政府と大企業とのつながりがネックになっているのかと痛感させられました。

貴重なご意見に感謝します。どうもありがとうございました!
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。 (2006.01.21 02:13:25)

動物実験等に関する基本指針のニュース  
ディープ さん
またまたお邪魔させていただきました。
動物実験:初のガイドライン案まとめる 文科省
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20060120k0000e040035000c.html
『動物実験委員会では動物実験施設の管理方法や実験の具体的な実施方法を定めた「機関内規程」を策定する。また実験終了後に実験者から報告を受け、計画に沿った適正な実験だったかどうかを判断し、必要に応じて改善措置を求めることとした。』
とこのあたりがいくらコンプライアンスされても、問題かなと思うのです。
犠牲になった動植物への感謝の心(心根)があるかどうかが問題なのだと思います。
繰り返し申しますが、書類上、体裁上いくら取り繕っても実験や試験をされる方々個々人の気持ち・心に根ざすものだからだと思うのです。
試験・実験遂行時その感謝の心が持てるように仕向けることが、その機関・企業の経営者・責任者たちの必須条件ではないかと思います。
利益・利潤・名誉の追求にのみ拘泥することなく心健全にと願うのです。
言い過ぎかもしれませんが、誰しもが、この世に生のある植物、動物は全て同じであると思うようになればと考えます。
ソウル大のES細胞論文捏造も健全な心根なきが故に起こったのでしょう。(提供卵子も生命体であることを!!) (2006.01.21 09:53:21)

Re:動物実験等に関する基本指針のニュース(01/10)  
ディープさん、こんばんは。
コメントをどうもありがとうございます。
そして、記事の紹介もありがとうございました。

>犠牲になった動植物への感謝の心(心根)があるかどうかが問題なのだと思います。
>繰り返し申しますが、書類上、体裁上いくら取り繕っても実験や試験をされる方々個々人の気持ち・心に根ざすものだからだと思うのです。

仰られている意味、わかります。
その心根の部分が最も重要な部分かと、私も同じ考えです。
その部分がしっかりしていれば無理矢理文書(法律、基準、指針etc)で規定する必要もないし、真の意味で、研究者の方々の自主規制に任せてもよいと思えるように思います。

>試験・実験遂行時その感謝の心が持てるように仕向けることが、その機関・企業の経営者・責任者たちの必須条件ではないかと思います。
>利益・利潤・名誉の追求にのみ拘泥することなく心健全にと願うのです。

全く同感です!!
どうもありがとうございました! (2006.01.21 18:20:27)

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