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ほしはひかるのかな????
その6 うーん
●どれにも分類しにくい詩
を、集めています。分類しにくいのは、
分類しようとすれば、できるのでしょうが、そこまで細かくはできないし、意味もないので・・・。
あえて言うならば、つぶやきでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「とある夕食」
「欲しいの?」
「メメント・モリ」
「ま白き薔薇」
「終わりじゃなかった」
「泣き叫ぶマンホール」
「くれない」
「シュガー」
「もう」
「確かなもの」
「寒いのですか」
「全てを任せる」
「わかりにくいうた」
「わかりにくいうた その2」
「睡眠薬」
「あれ」
「あな」
「あす」(3部作となっています)
「音」
「朝(告知)」
「祈り」
「すすき」
「フトモモ」
「最後のノック」
「レッスン 11」
「結論」
「ホントウ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「とある夕食」
この家には夕食を食べる時間がある
黄色い電灯の下で
家族というべき人々の集まり
黙って箸を動かす人々
大人も、子供も、
夕食の前では
ふと何かを思い出しそうになる
お母さん
お父さん
お姉さん
お兄さん
妹
弟
まだ見ぬ赤んぼう
何だろう
何を忘れているのかな
黄色い電灯の下で
何を思い出せるのかな
ああそうだ
みんな、始めは別々だったんだ
なのに、今は一緒に箸を動かしている
どうして一緒にいるのかな
誰かが何かを決めたのかな
この黄色い電灯の下で
みんなで一緒に夕食をとりなさいと。
誰かが誰かに言ったのかな
いつか離れ離れになることはあるけれど
今は、黙って箸を動かしなさいと。
そのことはみんな知っている
普段は忘れているけれど
みんなで一緒に夕食を食べると
思い出してしまいそうになることがある
(2004.1.8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「欲しいの?」
なあに?どうしたの?
え?この髪?
この濡れた髪が欲しいの?
それは無理よ
無理
だってこの髪は普通と違うもの
いい?
夕暮れの茜雲よ
静かなる雨音よ
目覚める若葉よ
蝶の足よ
真白きシーツよ
その皺よ
蘭の香りよ
蜂の羽よ
風の囁きよ
鳥の心よ
胸の響きよ
そういうものを
集めて
作られたんだから
あげられないわ
ごめんなさいね
そんなにじっと見られても
困ってしまうわ
(2004.1.22)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「メメント・モリ」
メモリー不足だと
四角頭が言うので
メモリー買いに行った
メモリー探したら
店員が
メモリーは思い出の中に
なんて
確かに思い出はメモリィだけど
僕の欲しいのは思い出じゃなく
記憶する装置
記憶して放置
記憶せず痴呆
店員は何時の間にか消えて
人々は所属なき
ただの
メン
メンがメモリィを探して
街をうろうろ
つっかえつっかえ歩く
メ、メン
メ、メンがメモリィ
メ、メンとメモリィ
メメントメモリィ
メメントモリ
って
どう言う意味だっけ
麺と森?
じゃないだろう
まったく僕の方が
メモリー不足
ついでに
メモリィだって
どっかに売ってたら買う
僕が欲しいのは思い出で
回想する心臓
回想して残像
回想せず残骸
店員は何時の間にか現れて
僕は
所属なき
ただの
メモ
(2004.1.25)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ま白き薔薇」
かの女は
ま白き薔薇を髪に飾り
その髪
たゆたう小川のごとく
光と共に跳ね踊り
その身体
燃え盛る炎のごとく
闇夜と共に狂い咲き
その瞳
軋む流氷のごとく
海と共に乱れさ迷う
嗚呼、かの女
髪に飾りし
ま白き薔薇のごとく
僕の心を
とりひしぎ
かの女もまた
心乱れて
眠りに落つ
ま白きかの女の儚き夢は
深紅の薔薇小川光炎流氷海・・・・
(2004.1.25)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「終わりじゃなかった」
いやだ、恥ずかしい
終わりだと思って
立ちあがっちゃった
いやだ、恥ずかしい
終わりだと思って
拍手しちゃった
いやだ、恥ずかしい
終わりだと思って
切っちゃった
いやだ、恥ずかしい
終わりだと思って
火つけちゃった
いやだ、恥ずかしい
終わりじゃ
なかったのね
だあれも
終わりじゃないよ
って
言わないから
わかんなかった・・・・
(2004.2.5)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「泣き叫ぶマンホール」
マンホールは泣き叫び
暗い口を広げ
飲み尽くす
てらてらの
二本脚たちを
今日の夜は
もっともっと酷いことが
日常的に
繰り返され
終わらない
蛆虫の
エサとなる
ガラスの破片
壊れた
明日の夜は
さらにさらに惨いことが
当然のように
連続し
終わらない
ゴキブリの
エサとなる
黒い煙
燃えた
いかに大きな口であっても
いやもうこれ以上は
無理やりに突っ込まれる
どろどろの
二本脚たち
マンホールは叫び続け
その悲鳴に耳を貸す者も
とうとう泣き出している
(2004.1.27)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「くれない」
誰もおままごとしてくれないので
あっちゃんはくれないに染まりました
こっちにおいでって呼んだ
ももちゃんはいいにおいでした
一緒にかくれんぼしようって
誰も言ってくれん
もういいよってすねてた
こうちゃんはねてた
まあだだよってくりかえしの
だいちゃんは好きな子によってく
りんちゃんはどこ?
みんなに喜んでほしいので
りんちゃんはほしを作っていました・・・
(2004.1.31)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「シュガー」
シュガー
あなたの声を聞くたびに
よ切るのは
夕暮れのベッド
冷めたお茶
枕に涙の跡がついていたのは
泣いたのじゃない
夢の跡なの
シュガー
あなたの声は透きとおり
私を通り抜ける
熱は下がって
でも、体はとてもだるく
ハッカ水を飲みたいのだけれど
声が出せない
シュガー
あなたのささやきがよみがえる
こんな夜には
羽毛さえも
とても重い
シュガー
まだ、そこにいたの
私は、もうここよ
シュガー
あなたの夢を見る
見てあげる、今夜だけは
(2004.2.5)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「もう」
眠る子供が
次第に丸くなるのはなぜ
もう、おなかにはもどれないのよ
泣いている女の子が
顔を隠すのはなぜ
もう、ごまかすことはできないのよ
怒っている男の子が
拳を握らないのはなぜ
もう、にげるこはできないのよ
寂しがる心が
翼を持つのはなぜ
もう、かえることはできないのよ
愛し合う瞳が
不安に眩むのはなぜ
もう、こうかいはできないのよ
生まれた赤ん坊が
泣くのはなぜ
もう、うまれてしまったのよ・・・
(2004.2.20)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「確かなもの」
午睡に落ちた図書館で
確かなものを探そうと
世界地図と百科事典を
広げる少女
うつむく
頼りなき頬を
西日が覆い
その横顔に見とれるのは
確かな定理を見出そうと
責め立てる白いノートを
持て余す少年
目を伏せ
震える瞼を
夕日が斜めに
少女と少年の座る
穴の空いた
暗い椅子
それは
確かなもの
それは
確かにあるもの・・・・
(2004.3.9)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「寒いのですか」
寒いのですか
そんなに肩を縮こまらせて
そんなに
寒いのですか
側に来て下さいな
どうぞ側に
一人分は大丈夫です
もちろん
側にいても寒いのですか
そんなに震えなくとも
さあ
私のここでよければ
どうぞ寄りかかってください
その重みが
私の生きるすべ
なのですから
さあ
どうぞ
一人分は大丈夫です
もちろん
空けてありますので・・・・
(2004.5.4)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「全てを任せる」
たゆたう水面
落ちる葉っぱ
香る花びら
虫の羽音
轟く波
凪ぐ草原
流れる雲
落ちる涙
歌われる歌
タバコの煙
飛ぶ鳥の上昇気流
今日はもう、
それらのように
全てを任せる
全てを任せるしか
ない時が
来た
この瞬間
全てを任せると
砂に寝そべっても
砂にはなれもせず
人ではあり続けるけれども
下らない悩みは尽きないけれども
今日はもう、
全てを任せるしか
ない
時だ
今
(2004.5.6)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「わかりにくいうた」
わかりにくいうたを
僕は謳おう
サルビアは冷水に浸り
世界の淵にはほかほかのサロンパス
電子レンジはぴくん、と岩を吐き出し
海にはどうだ、歯磨き粉が回転木馬と学生運動だ
ああ、わかりにくい
わからない?
意味も無いし
無意味というかすかな意味すらない?
いや、意味は生まれてしまっている
失敗だから次へ
白いシャツ。
ドッグレース。
金魚のエサ。
(2004.5.12)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「わかりにくいうた その2」
わかりにくいうたを
誰も聞いてやしないだろうけど
僕は謳おう
白いシャツのポリフェノール
ドッグレースはのあのあと卵プリン
金魚のエサが試験官の22世紀
バラの蕾はどうだ、ついに電気式ナナメ剃刀器を開発した
わかりにくいどころか
意味の無いうただ
もちろん意味なんて無い
無いのに
またまた意味がそこはかとなく漂ってしまっている
また失敗
次へ行く
次へ行くことこそが無意味の生産
無意味を生産し続けることこそが
わかりにくいうたの
歌謳いの資格アリ。
(2004.5.12)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「睡眠薬」
マイスリー5ミリグラム
ベンザリン10ミリグラム
毎晩です
飲んだ後の記憶がございません
翌朝はつらいです
こうまでして眠ったとて
地球の裏側は
どうせ朝です
こうまでして眠ったとて
月の満ち欠けには
なんら関わりはございません
無駄な努力でしょうが
こうやって煙草を剥き続けるのは
夜の半径を広くするためです
こうやって枕を切り続けるのは
月の満ち欠けに関係したいからです
こうやって水を撒き続けるのは
あなたの量を増やしてあげたいからです
無駄ですか
メイワクですか。
それでは、仕方なく寝るとしましょうおやすみなさいませ。
(2004.5.20)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あれ」
(夏の透明な日差しの中歩き疲れて、木陰のベンチで休む)
あれとあれは
段取りが済んだし
あれとあれは
だいたい片付いた
そろそろあれについて
考えなければ
思えば
あれから逃げるための
仕事だった忙しさだった
生活だった飲んだくれだった
だけどもう、あれが
目の前に
思えばあれのための
嘘だった裏切りだった
誤魔化しだったうやむやだった
しかしもう、あれが
手のひらに
佇み
じっと見る
短くも長い時
(立ちあがる白い人影、一斉に飛び立った鳩は噴水の音をかき消した)
(2004.6.4)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あな」
(まぶしい照明の中、拍手を浴びながら指揮台に上る指揮者。観衆は咳払い一つしない)
目の前に広がる人の波が黒い
幾何学に彩られた背の高いビルで
暖かい音響ホールにくるまれ
シャンパンのような音楽など聴いても
無駄なことだ
それは分かっているがどうしようもない
あれが目の前に来てからは
全て捨てようとした
捨てようとしたが
捨てたくらいでは
無駄なことだ
あれは
もとからないものだから
それは分かっているがどうしようもない
あれは
あな なのだから
だから無駄と知りつつ
シャンパンのよう音楽を聴いたり
あるいは
デッサンのため4Bの鉛筆を削り
10年ぶりにフルートを唇に当て
街路樹の語りを聞こうと努力し
誰かの目をじっと見つめ
雨粒のゆくえをじっと見
または
黒い波に交じり手を叩き続けたりするしかない
他に手立てはない
それはよく分かっている
それだけをよく分かっている
それだけしかよく分からない
いや多少は分かってきたかもしれない
とにかく迷っている
それはよく分かっている
それだけをよく分かっている
(勢い良く振り下ろされる指揮棒、完璧に統率されたオーケストラ。一人の観衆が目を閉じうなだれた。だが、誰も一瞥もしない)
(2004.6.11)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あす」
(工事中の看板の中、黒々と口を開けるマンホール。人々は目的を持っているので、落ち着いてそこを通り過ぎる)
(マンホールを動揺しながらじっと見つめる人影)
穴を埋めようともがく日々が3年6ヶ月続いた
結論としては
穴の奥から風が吹くので
何も入れる事もましてやそれを埋めることなど
穴がない場所では
非常に平坦な顔が連なり
無常に無意味な言葉が並べられ
死刑を待つ囚人のごとく
砂風に吹かれるまま
口から泡を吹いている
穴の奥から風が吹く
それは穏やかな朝日の匂い
音楽にも似た、光の粒
柔らかな川の流れ
ゆっくりと目を覚ます木々の緑
それらに蓋はできない
穴はとても小さくか弱く
穴以外の場所は
傲慢で横柄で恐怖の色をしている
今は穴の上に立ちすくみ
傲慢で横柄で恐怖の色の穴以外の場所を見つめ
迷い迷う日々を思い出すが
もう目の前には
あす が見渡せ
迷いは
手のひらに
握り締める
長くも短い時間
(人々は目的を持ち、落ち着いてそこを通り過ぎるが、本当に何に向っているかはわかっていないとも言える。)
(マンホールをじっと見つめる人影は、戦いに向う戦士のようにも見える。)
(2004.6.18)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「音」
ずるずる
ね
このお蕎麦
ここまで細く切るには何年修行がいるのかな
さあ 10年?
10年か
10年やってもうまくならないんだよねえ
ピアノ
しとしと
ずるずる
雨 やっぱり降ってきたね
ね
お蕎麦って音立てないと美味しくないよね
うん な
10年もやってれば楽譜読めるんだろ?
まあ少しはね
しとしと
ずるずる
ととん
雨か 色んな音がするよねえ
な
楽譜見ると音が浮かぶわけ
それはないの ぱっと見
激しいなあ
とか
かっこいいなあ
とかだけだよ
ふうん
10年やってもね
個人差はあるよね
ん
しとしと
ずるずる
ととん
今日の雨は楽しい曲だよきっと
へえ
しとしと
ずるずる
ととんぴろん
しとしと
ずるずる
ぽろんぴろん
ね
お蕎麦美味しいね
ん
しとしと
ずるずる
ぱらんぴろん
(2004.6.28)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「朝(告知)」
丸いテーブルに白い正立方体
タマゴの黄身は朝日に射抜かれ
ぐしゃりと潰れた
反射しつつ黄色に流れる河
レタスのこんもりした森で
世界は閉じる
ソーセージ手作り
ドレッシング手作り
OK、OK、
君の言いたいことはだいたい分かる
怖い朝だ
誰にも言わないでなんて
OK、OK、
まずはこいつを片付けさせてくれ
眩しい朝に
世界の終わりを告げられるってことは
あるだろう
白い正立方体の中身は何だい
新しいジョークでも入ってるのか
ジョークよりもっとすごいものならば宇宙か
宇宙の神秘なんても、ものすごく陳腐なものが入っているのか
OK、OK、
わかってる
あと10ヶ月したら
どんな事件が勃発するのか
君よりも分かってるよ
トマトジュースと牛乳、混ぜたんだろ?
混ぜてしまったんだろ?
ほっかほかに産まれ落ちた巨大なパン
そこから世界は無理矢理開かれるのか
教えてくれ
白い正立方体
あれは
丸いテーブルのふちから開かれるのか?
(2004.7.4)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「祈り」
夕闇がものうげに
むらさき色のまぶたを閉じ
その下に夜が
そっと
星つぶを飾りに来た
木枯らしは深いため息
つめたい枕に耳をあてて
雲間の汽笛を聞くと
眠りが大きな投網を放り
するりとつかまった
あの、馬の名を思い出せない
ひたひたと押し寄せる温かい波
砂の粒々は星に似て
大切な人の指を
さらさらと抜ける
「眠れないのよ」とつぶやくあの人
あの人は眠りまで奪われてしまった・・・
今夜も数錠の薬たちが
小さな真珠色の輿で
あの人を穏やかに運んでくれますように
僕は白い風船の中で
祈る
朝がカーテンを開け
あっけらかんと笑っても
目覚めても
いつでも
(2004.8.1)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「すすき」
寂しいのなら
どうぞ振りかえって
戻って行くあなたと
向って行く私の影を交換しましょう
すれ違って、銀のすすきの道を歩いて行きます
さわさわさわ・・・
さわさわさわ・・・
さわさわさわ・・・
さわさわさわ・・・
もうよかったら
どうぞ振りかえって
戻ってきたら、また
影を交換しましょう
さわさわさわ・・・
さわさわさわ・・・
さわさわさわ・・・
さわさわさわ・・・
銀のすすきの道ですれ違うとき
小指がかすかに触れました
フォークダンスの時間は
いつもドキドキしました・・・・
(2004.9.27)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「フトモモ」
アタシのフトモモは
そう・・・
ここ と ここ。
シャワーを浴びた
石鹸で濡らした
アタシのハラワタは
そう・・・
このあたり。
ゴシゴシこすった
ヒリヒリした
アタシのカミノケ
ああ・・・
ようく洗うわ。
湯気で見えないわ
排水溝で
絡まったり
散らばったり
溝でバタツク足
水を受け入れない
アタシのフトモモ
アタシの取り乱した髪
生まれたばかりなの?
そうじゃない、そうじゃない
だけどどうすればいいのかワカンナイのよ
ぼんやり立ち尽くす
ハダカのアタシ
シャワー出しっぱなし
ーーーしばし休憩ーーーー
もう知ってる?
ははもちろん、
どうすればいいのかは分かってたのよ
もう湯気には逃げ道ないし
アタシのフトモモは
そう・・・
ここ と ここ
ゴシゴシと洗うんだ
泣きながら、目をつぶってても洗えるんだ
(2004.9.27)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「最後のノック」
教室で
いつものように
休み時間
ねむっていたら
きこえた
最後のノック
赤ん坊を
だいたまま
午前3時半
うつらうつらしていたら
きこえた
最後のノック
そういえば
集中治療室で
さんそをおくられながら
(時間は不明)
ぼんやりてんじょうをみていたら
きこえていた
最後のノック
むかいでねていたおじいさんは
どうしたかな
おまごさんが
「おつかいありさん」を
歌っていたっけ・・・・
こんどはいつ
最後のノック
またあした
最後のノック
(2004.10.6)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「レッスン11」
だらりと舌を垂らした犬が
くわえていった
無限に広がる雨音の中で
たった一音が残った
炎を見つめて乾いた暁の頬を
夜が照らした
葉脈を流れる冷たい水が
樹 まるごとであると知っていた
激しい罵り合いの後にも
空腹は訪れた
カゲロウが翅を休め
透き通った影ができた
誰かに愛らしい名前がつけられ
その名前が唱えられた
遠い潮の香りは
静かに記憶をまさぐった
それこそが、
「 」
誰もが一言だけを胸に
墓に収まった
その墓には
花が寄り添っている
(2004.10.7)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「結論」
かみさまは
何でも知っていて思いやりのある正しい子供には救いの手を差し伸べてくれるいいや神様は何も悪いことをしていない子供がこんなに苦しんでいるのに手を差し伸べてくれない神様はいない神様はいないいいや神は神を必要としている人間がそれを信じる限りそばに寄り添っているものなのだ
いきていることは
ふつうのことで死ぬことはぼんやりしていて死ねば天国にいけるいいや生きていることはとても苦しくて生きている理由が分からなくて生きていることには意味もなくて早く死ねばいい死んだらどうなるかは誰にもわからないいいや生きていることは苦しいのは当然で生きている理由もなくて生きていることにももちろん意味もなく意味などまったく必要はなくただ死に続けているということ焦らずとも必ず死ぬ死んだら死に続けることが終わるだけなのだ死んだらどうなるかは誰にもわからないが生まれ変わるでいいのではないか
じぶんのまわりには
おややともだちやせんせいがいてそれがずっと続くいいや親も友達も先生もいなくなる別れはすぐにやってくる確かな関係などなく誰かを信じることはとても恐ろしいいいや別れはいつも繰り返し繰り返しやってきてそれは大して恐ろしいことでもないよくある当たり前のことなのだただ思い出だけは残ってくれるものなのだそして自分も例外ではなくいつかは誰かあるいはこの世界に別れを告げるそれは裏切りでも何でもなくよくあることなのだ
にんげんは
みんな優しい人ばかりで自分は守られていて悪い人や酷いことはおこらないいいやみんな自分のことに夢中で自分は守られていなくて悪い人もいて酷いこともおこり罪人はみな罰を受けなければならないいいや善悪など人間が決めたただの決まりで人間は良くも悪くもなくただ必死ただ呆然とただ何かに対して反応を繰り返しているだけなのだしかし罰というものがなければ弱い人間などひとたまりもないのだしかし弱い人間が何かの病気に対する強い遺伝子を持っているという可能性は捨てきれないのだから人類の存続のためにはあらゆる人間が生き残らなければならないのだ
せかいは
あるいていけるはんいだけいいや自転車バス電車新幹線飛行機で行ける範囲いいやどうやら宇宙や原子分子素粒子の世界があるらしいいいや時間や空間というものがそもそもあったらしいいいや確認できる世界のみでなく見ることも聞くこともできない世界があるらしいいいや想像すらできない思いもつかない世界もあるらしいそれに色々影響を受けているらしいいいや全てのものがあったりなかったりするらしいそのあったりの一瞬の中に今いるらしいのだ
じぶんは
このばしょこのじだいこのおやこのからだで生まれてきて苦しい悲しいつらいいいやそれは何かのせいでもなく誰かのせいでもなく自分のせいなのだいいいやそれは何かや誰かや自分のせいではあるけれども自分が何をどう見るかは自分の自由だし自分に起こったことをこれからどうしていくのかは自分で決めていいいいや結局自分は大多数の地球上の人々から見れば苦しくも悲しくもつらくもない自分なのだしかしそのことに思いを馳せてもあまり意味も実感もないけれどとにかく忘れてはいけないらしいのだ
じぶんは
すなおなこどもでいい子といわれていきていくいいや素直でもいい子でもなくそれは大人から見たじぶんであってほんとうの自分は血塗られた先祖の血塗られた子孫でありこうしてものを食べたりして何かを殺し続け廃棄物を出し続け世界のどこかで誰かが助けを求めていても目をそらしながら生き続けることができてしまう罪人なのだから罰を受けるべきだいいやそんなことよりもするべきなのは誰かを好きになり信じることを続け子供を産み育てあるいはその手助けをし自分がある意味では罪人であることは絶対に忘れずに小規模ながら自分の信じる温かい関係を可能な限り築いていくのだ悪いがそれを償いとすることに決めたのだ
けつろんは
じぶんはうまれそしてそだちさまざまな経験をしそのことから色々なことに結論を出すいいやこれは結論ではなくただの通過点である多分死ぬ前にやっと結論は出るだろういいや死ぬ前に出した結論すらただの通過点で誰かに受け継がれてそれは誰かの結論あるいは通過点となるだろう
しかしこれは結論ではなくただの望みだ
(2004.10.10)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ホントウ」
ホントウノ コト ヲ
イッチャイタイ ケド ネ
ホントウノ コト ハ
イリグチ ダケデモ
コワイヨ コワイ
コワイ カラ
パンツ ヲ カイニイクネ
コトバ ヲ モテアソブネ
アイツ ヲ フミツケルネ
カラダ ヲ クネラセルネ
アナタ ヲ マイラセルネ
アナタ ト モツレアウネ
アナタ ト ドウニカナリタイ ノハ
ホントウ ダヨ
ホントウ
デモネ
コドバデ
イッチャッタラ
ウソ ニ
ナル
ウソ ニ
ナッチャウノヨ
これ
ほんと怖いよ。
(2004.10.9)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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