ほしはひかるのかな????

ほしはひかるのかな????

その14喫茶室こんとん○雨の日・曇りの日

「喫茶室こんとん」 、に投稿したものをまとめています♪

分類のしかたは、喫茶室こんとんにあるままです。

・お日さまのした
・月のした
・雨の日・曇りの日
・白手帳

という分類になってます。こちらにあるのは「雨の日・曇りの日」と
「白手帳」です。


○雨の日・曇りの日(雨の日・曇りの日に読むような)

「故郷」
「雨粒」
「恋心」
「箱」
「水の筆の」
「全てのこと」
「手を広げ」
「音」
「ジョイス」

○白手帳(レスはなしでお願いしたいような)

「ばかなねじ」
「ささやきに」
「ドスミンガーの死亡記事」
「もういいよ」
「うそ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「故郷」

昔、暮らしていた場所の近所には
酒屋さんがあって
豆腐屋さんがあって
豆腐屋の二階でお習字を習っていて
古ぼけた体育館と
交通公園があって

そこから徒歩で約20分ほどで
新宿の伊勢丹がある
伊勢丹前の映画館で、初めて映画を見た
伊勢丹から、三越、丸井、歌舞伎町と過ぎると
プリンスホテルが見えて
ここのケーキバイキングで苦しいほど食べた

ガードをくぐって
商店街(?)を横目に
てくてくと行くと
小田急ハルクがあり

新宿駅の西口になる
小田急ハルクの前で、待ち合わせをしたっけ

西口にはミロードと、京王デパート

西口のミロードの古くなったモザイク模様の階段にきたところで

柔らかくて細い雨が降り注いできて

色んな傘が咲いた
色んな女の子達が行き来する
色んなお店が並んでいる
モザイク模様の階段を
昇ったところにはTシャツ屋さん

階段を下りたら
新宿駅の南口で

南口のルミネのセールには
学校休んで行った

改札口からは大勢の人が出たり入ったり

南口の歩道橋を長々歩けば
サザンテラスがあって
タカシマヤタイムズスクエアーや
小田急ホテルのセンチュリーサザンタワー
フランフランのショーウインドーは
ピカピカで

そこまで行くと、呆然とする

変わってしまった故郷の風景

酒屋さんはもうない
豆腐屋さんはもうない
豆腐屋の二階でお習字はもう教えてない
古ぼけた体育館も
交通公園もない

伊勢丹前の映画館もない
プリンスホテルの
ケーキバイキングもない

商店街は火事にあった

小田急ハルクはビッグカメラになった

色んな傘が咲いた
色んな女の子達が行き来して
色んなお店が並んでいる
だけど
知っているお店はもうない

モザイク模様の階段を
昇ったところにはTシャツ屋さん
もない

改札口からは大勢の人が出たり入ったり

南口の歩道橋を長々歩けば
サザンテラスがあって
タカシマヤタイムズスクエアーや
小田急ホテルのセンチュリーサザンタワー
フランフランのショーウインドーは
ピカピカで

ピカピカで・・・・

(2004/10/07)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「雨粒」

昨日から
ずっと聞き続けていた
雨音が

ふっと
私の手を取って
まあるい輪に誘ってくれました

雨粒のひとつひとつが
お喋りしていました

もう冬近くなので・・・
これからのことを
もうすこし寒くなったら
雪のドレスを着るので
その相談やなんか
氷の靴も履くので
どんなリボンをつけましょうかとか
色々と・・・

私は楽しかったのですが
一人でぽつんと
していました

まあるい輪の中で

私一人が

にんげんだったので

(2004/10/13)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「恋心」

凸凹を指で辿ると水滴
そんなふうに降り出しました、今日は

外はラムネ瓶の中のように
雨粒がぷちぷちとはじけ
落ち着かない感じは
まるで恋心のようです

恋の話をしましょうか

ホットケーキの上に
バターと蜂蜜を乗せて
食べたかったのですが
バターも蜂蜜もなく
切り分けるナイフやフォークすらなく
冷めたホットケーキを
一人でもそもそと食べました

そんな恋でした

雨は激しくなります
急かすように窓を打ちます

雨を封じるのに
レースのカーテンだけでは役不足ですので
いそいで遮光カーテンを閉めるのですが

窓の外を見ると
土砂降りの中
傘もささずに
駆けぬける人がいました

その人のために

少しだけ

カーテンを閉めるのを待ちました

今日は・・・

(2005/01/17)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「箱」

君のしっかり持っている箱は
せつないだろう

君はそこへ涙を落とし
濡れたそれは
とっくに 形を 無くしている

しかし君はそれをしっかりと持つことを
やめないだろう

その箱は
かなしいだろう

君はその箱の形を
ずっと覚えているだろう
たぶん

それを見たいとせがんでも
君は首をふるだろう

だめよ
これは
とても大切な箱なの
とてもとてもね

そんな君は
とても愛しいだろう

僕にとっては
その箱が君
箱を含む
君の全てが



僕らはいつか
記念写真を撮ろう

その箱を
真中に据えて

永遠に
幸福に寄り添う二人

箱に含まれたまま

箱を含んだまま

(2005.3.23)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「水の筆の」

水の筆の足跡続く

風化してゆくボロいビル

水の鏡に傘突き立てて
明日はどこまで
続くだろう

風化してゆくボロいビル

水の輪の冠の
次々とかかるビルの上

立ち姿は
昨日も今日も明日も同じ

風化してゆくボロい風景

風化してゆくボロいものを愛そう 

昨日も今日も明日も同じ

水の筆の足跡さえも。

(2005.8.9.)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「全てのこと」

雨がずいぶんと降り続いているから

きっともう
溶けてしまっているだろう

溶けたものはひとところには留まっていないから
たゆたう海にでも行ってしまっているだろう

たどりついて
流氷の一部になっているかもしれない

クリオネと遊んでいるかもしれない

月に引っ張られて
あちらへ行ってしまったかもしれない

星と歌でも歌っているかもしれない

もう分かった気持ちになって
そんなことを思う

全てのことは

まるで流れる雲を追うように

全てのことは

まるで深い井戸を覗き込むように

(2005.10.13)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「手を広げ」

べっこう色の髪が
北風に乱れて

マフラーは炎の色
旗のようにたなびいて

梢は                               手を 伸ばし

湖面の氷は
白く
ささくれて
いて

葉の裏には
昆虫の赤い卵が
びっしりと実っている

空は                               手を 広 げ






落ちてくる天使を受け止める。


(2005.12.2)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「音」

難しいね、と君はつぶやいて

身体を離した

キスの後
キスの、跡

そうだね、と僕はつぶやいて
続きをしようとしたんだけど

君はもっとうまいやり方を考えていて
させてくれなかった

鍵を鍵穴に差し込んで、回すと
カチッて音がするでしょ
そういうふうに、したいの

それは難しいんじゃないかと思った
それはきっと、アダムとイブだってできなかったんじゃないかな

そうかな
わたしたちなら、できる気がする

僕は君の首についたキスの跡に触れるけど
音は聞こえてこない

鍵を鍵穴に差し込んで、回すと
本当にカチッて音がするんだっけ

するの
確かに
1回だけ

その音を君は聞いたの

聞いたわ
確かに
1回だけ

難しいね、と僕はつぶやいて

君を抱き寄せる

君はくにゃりと抱き寄せられて
耳をすます

そうかな

わたしたちなら、できる気が・・・・

(2006/01/04)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ジョイス」

ジョイスの肩から歌が流れて
私それを聴くのが好きだった

そりゃあほんと悲しい歌だったけど

ジョイスの首からタバコの臭い
私それは嫌だった

そりゃあタバコは似合ってたけど

マリンブルーの目って
素敵よね
イルカの群れや
カモメが見えるかな
また 煙吸って
遠くを見るジョイス
マリンブルーの目

薄いくちびるで
つまんない冗談
イルカや
カモメは出てこない
また 煙吐いて
黙るジョイス
薄いくちびる

ジョイスはふつりときゅうに
いなくなったけど
それは今でも
つまんない冗談だと思ってる

私冗談は嫌いだけど
ジョイスは好きだった

タバコは嫌いだけど
ジョイスのかわりに吸う

ジョイスの肩から流れた歌
ジョイスのかわりに歌う

そりゃあほんと悲しい歌だけど
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
○白手帳(レスはなしでお願いしたいような)


「ばかなねじ」

壊れそうなお手紙でした、あなたからの

「ばかなねじさん」と昔のように、私を呼ぶのです
ねじが緩んだ人の、そのねじだと言うのです
それは、誉め言葉・・・なのでしょうか

黄色いお花が似合うあなたでした
お花の名前はわかりません
「あなたに似合う黄色いお花」という名前でよいのではないでしょうか

あなたの名前は・・・・
「探してください」
と書いてあります

「わたしの名前を探してください、ばかなねじさん」

私は3月のまだ寒い空の下、
沈丁花の花びらに、あなたの名前を探します

小さな花が寄り集まって・・・
花びらはきらきらするのです、何故か・・・
とても力強い香り・・・
1つ1つ、丁寧に見るのですが・・・

「わたしの名前を探してください、ばかなねじさん」

あなたの名前が見つかったら
私はあの坂を転がり落ちるように駆けて
あなたの元へ
そのことを、考えます
ついうっかり、その他のことを、考えます

「わたしの名前を探してください、ばかなねじさん」

握りしめたら、壊れてしまいそうな

あなたのお手紙でしたので


大切に、懐へしまってあります

(2005.1.15)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ささやきに」

薄いピンクのやかんを火にかけて
お湯が沸くまでの間

外は雨です
空から地上へ無数のつり糸がたれているような
白いつり糸の雨

水が沸騰する静かな音が
部屋に満ち足りて
湯気がしゅんしゅんと出るまでの間

悲しくもないのに
涙が
それはそれはたくさん出ます
多分
空のつり糸につられた涙なのでしょう
無数のつり糸の先の涙

湯気が白く吹き出して
暖かさが昇っていきます
やかんの蓋がパタパタと持ち上がるまでの間

空は雨のことを言うのか考えます
いつ、どんなふうに降ったか
空は言わない
私も言わない
いつ、どんなふうに涙を拭いたか
なんて

やかんの湯気はとても
静かな音で
それは
ささやきに似ています

外の雨はとても
静かに降っていて
それは
ささやきに似ています

私に何かを
ささやいて
いて・・・

お湯が沸きました

私はお茶を入れて
目を閉じると
最後の涙が
落ちて

それはやがて空へと昇り
雲となり
雨となり
海へ行き
川を流れ
飲み水になり
やかんに注がれ
お湯になり
私のお茶に
そして
涙に
そして
空に
そして
雨に
そして
湯気に
そして
ささやきに

そして
空に
そして
雨に
そして

ささやきに・・・・・・・・・

(2005.2.18)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ドスミンガーの死亡記事」


記事5

ドスミンガーはコネチケットの片田舎で生まれた。
彼女の母親は彼女を生んで間もなく失踪したが、しばらくの間だれもそれに気づかなかったという。
母親はグレープフルーツと固くなった麦のお菓子が好物だった。
休日にはG・・・湖で水浴びをする姿をよく見かけた。


記事4

ドスミンガーは優秀な頭脳の持ち主だったが、だれもそれに気づかなかった。


記事3

ドスミンガーが生涯でただ一度発した言葉は、正確には伝えられていない。


記事2

ドスミンガーの友達は、口をそろえて
「あんなに親切で、きれいで、やさしくて、頭のいい子はいなかった」と話した。
中には涙ぐむ者さえいた。


記事1

ドスミンガーは居間のソファーで倒れているところを発見されたのだが、第一発見者は猫だった。


記事0

ドスミンガーは多分、星になったんじゃないかな。

(2005/07/07)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「もういいよ」

気がつくと
あなたのことを
思い出し

ああ、もう
思い出すことができるようになったのだと
不思議な気持ちがした

多分何もしなかったと思うのに

朝のあたたかい紅茶や

午後のさわやかな風や

夕暮れの一番星が

言ってくれたのだと思う


「もういいよ」

と。

(2005/01/25)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うそ」

嘘をつかないで

昨日、夕焼けがきれいだったことについて
嘘をつかないで
燃えるようだったと
言わないで
哀しかったと
言わないで

お願い
ただ、
夕日がきれいだったと言って

私の唇よ

(2005/12/04)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: