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浪漫的狼

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nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、お元気です?? その後調子はいか…
浪漫的狼 @ Re[1]:なんと(01/08) nanaco☆さん  わあい。すぐにお返事いた…
nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、大変ご無沙汰しております~!!…
wine ガブガブ @ Re:充電します。(04/30) エネルギーが、蓄積されたら、また再開し…
deco7 @ Re:充電します。(04/30) 充電のお役には立ちませんが、遊びに来て…
Dec 29, 2007
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カテゴリ: 創作の部屋
連載第7回




らの声だった。

 「北城、まだそこにいるのか。」

 それは同僚の吉原の声であった。



 吉原は遼太の一つ上の先輩である。同じ高卒という立場もあるが、気さくで男気のある人物

で、遼太がもっとも信頼しているこの工場の先輩であった。



 吉原は、もう既に着替え終わっていた様子で、カバンを提げて遼太のいる側にやってきた。

 「今の、西さんだろ。…お前、西さんに何かしたのか。」

 いきなりの質問に、遼太は少したじろいだが、相手が信頼できる吉原であるということで、

安心して答えた。

 「俺のラインから不良品が続けて見つかったでしょ。あのことで…。」

 「それは今そこで聴かせてもらったから分かってるよ。
  …俺が言ってるのは、お前が西さんになにか睨まれるようなことをしたのかってことだ   よ。」



 遼太は吉原の言葉に対し、反射的に「別に…」と、言いそうになったが、その言葉を呑み込

み、暫く間をおいて告げた。

 「いや…あのですね。…今週の頭に、今チェックがかかっているあの『Cの40番』にちょ

  っと問題があるって指摘したんですが…。それぐらいのことで…別に、特に睨まれるよう

  なことは…。」

 吉原は、その言葉を聞くと少し笑みを浮かべ、訳知り顔で言った。

 「そうか。それだよ、きっと…。」

 そう言うと、吉原は声をひそめ、話を続けた。

 「あいつさ、大したことない癖に、大卒だということで威張ってるだろ。だから、俺達みた

  いな高卒者からそういう専門的なことを指摘されるとプライドが許さないんだよ。俺も以

  前、あったんだよ。同じようなことがさ…。

  お前、…多分西さんに仕返しされたんじゃないか…。」



 その言葉を聞いて、遼太の心に一旦抑えつけていた疑念がまた甦ってきた。吉原の意見が、

余りに的を射ていたからである。

 そして、思わず目を見開いた遼太であったが、そこは少し自制して、ワンクッション置い

て、慎重に次の言葉を選んでいた。

 「でも…吉原さん…、そんな。証拠もないし…。」



 すると吉原は言った。

 「いやな、俺聴いちゃったんだよ…。」

 吉原はそこで、ポケットから煙草を取り出すと、慣れた手つきで、箱から一本つまみ出し

た。そして下唇に載せるような感じでそれを口にくわえると、すかさずライターで火をつけ、

一息大きく吸い込んだ。

 「フゥーッ」と、天井の換気扇に向けて煙を気持ちよさそうに吹き出すと吉原は話を続け

た。

 「昨日さ、俺残業だっただろ。西さんさ、お前が定時で帰った後、何だかお前のライン所で

  何かごそごそしてたんだ…。西さん、きっと俺が残業してるって気 づかなかったんじゃ

  ないかな。それでな…暫く何かやってたんだけど、またどこか に行っちまったんだ。」

 吉原は、そこまで言うと遼太の顔を窺うような感じで覗き込んだ。遼太は黙って吉原の話に

耳を傾けていたが、やはり少し考えてから言った。



 「でも、西さんは班長だから、部下の仕事の後を見て回るぐらいはするんじゃないですか。

  それだけのことでで、疑うのはちょっと…。」

 しかし、吉原はすぐにこう続けた。

 「それはそうだろう…、でもな。最初に言っただろ、その後が問題なんだ…。俺が帰ろうと

  して事務所の横を通ったら、中から声が聞こえたんだ。西さんと坂本さんだったよ。俺

  も、別に聞き耳をたててたわけじゃないんだけどさ、『北城』って言葉が聞こえたんでつ

  いピンときて立ち聞きしちゃったんだよ。」



 「何て? 俺のことを何か言ったんですか。」 

 「いやさ、単純なことだったんだけど。勤務態度が良くないから、不良品が出ているんじゃ

  ないかと思って再チェックを入れたって言ってた。それから、Cの40番のことも言って

  たぞ。『問題があるから、規格を変えた方がいい』ってな。でも、それ西さん『自分が気

  づきました。』って言ってたぞ。」



 遼太は、或る程度予想していたこととは言え、余りに予想通りの展開に、まるでテレビドラ

マか何かを見ているような気にさえなっていた。…やる気のある新入社員を意地悪な上司がい

びる、よくあるパターンの話。しかし、まさか自分がその当事者になっているとは思いもよら

ず、その時点では、遼太にはまだその話が現実味を持って聞こえてこなかったのだ。



 吉原はもう一度深く煙草をふかすと、目を細めて言った。

 「まあ、心配するなよ、北城。もし、坂本さんに何か言われて、お前の立場が悪くなるよう

  だったら、俺がかばってやるからな。下らないだろ、あんなヤツのために嫌な気分で週末

  を過ごすなんて。」



 そして、吉原と一緒に退社した。…ちょうど金曜日の午後6時だった。




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Last updated  Dec 30, 2007 08:24:22 AM コメント(10) | コメントを書く
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