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浪漫的狼

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nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、お元気です?? その後調子はいか…
浪漫的狼 @ Re[1]:なんと(01/08) nanaco☆さん  わあい。すぐにお返事いた…
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Jan 6, 2008
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カテゴリ: 創作の部屋
連載第15回




を入れた。

 画面をスクロールしていくと、最後のところに見慣れないホルダがあった。


 「遼太へ」


 母の言葉通り、先程の手紙と同じタイトルのホルダがそこに作られていた。

 遼太は緊張しながら、ヘッドフォンを耳にあてて、そこに何が入っているのか聴いてみるこ

とにした。

 暫くは無音が続いていたが、緊張している遼太の耳に飛び込んできたのは音楽ではなかっ

た。

 最初、ガサゴソというような雑音が入り、咳払いが聞こえた。そして、聞こえてきたのは、

忘れもしない祖父の野太い声であった。

 最初は少し違和感もあった。が、それは音源のせいかもしれないし、祖父の声を暫く聴いて

いないせいかもしれなかった。…しかし、それは紛れもない祖父の肉声であった。



 「遼太よ。これをお前が聴いとるということは、おじいちゃんはもうこの世にいないという

  ことじゃろうな…。残念じゃが、まあ仕方があるまい。人には与えられた寿命っちゅうも

  んがあるもんじゃからの。

  これから話すことは、多分お前にとっては初めてじゃろうし、少々驚くかもしれんが、全

  部本当のことじゃ…。」



 そこで、祖父はしんどそうな咳払いを数回した。



 「お前のお父さんとお母さんは、早く結婚したんじゃが、なかなか子宝に恵まれんでの。も

  う半分あきらめとったんじゃ。お父さんも一人っ子じゃったから、儂はもう孫を抱くこと

  ができんと思うとった。…それが、何とひょっこりお前ができての。それは嬉しかったも

  んじゃ。

  …じゃがのぉ、儂らが早く顔が見たいゆうて期待しすぎたんか、お前は少々早くお母さん

  の腹から出てきてしもうての。

  …ひどい未熟児じゃったんじゃよ。」




 そこまで聴いて、遼太はふと、台所の薬缶がピューピュー音を立てているのに気づき、ポー

ズボタンを押すと慌ててコンロの火を消しに行った。お湯はカンカンに湧いていたが、到底今

はカップラーメンなどを作る気にならず、遼太は再び祖父の話を聞き続けた。




 「病院の先生が、『大変危険な状態です』『命は取り留めても、うまく育たないかも知れま

  せん』なんて厳しいことを言うでな。それは大変じゃったんじゃ。お父さんも気が気じゃ

  のうて…一日中おろおろしとっての。

  儂らも、何もできんでばたばたしておったんよ。…しかし、一番心配じゃったのはお母さ

  んでの。それはそうじゃ、予定日よりもえらい早う出てきたんじゃからの。…それで、儂

  も、何かできんかと思うてのお。

  …お七夜の晩に、親戚がうちに集まっとる時に、宣言したんじゃよ。


 『この子が二十歳になるまで儂はもう酒は一滴も飲まん。』


 との。はっはっは。笑うかも知れんが、儂にとっては一大決心じゃったんじゃぞ。」




 そこで、もう一度祖父の大きな笑い声が入り、すぐその後で少し咳き込むような声がして、

音声が一度途切れた。

 そして、再び祖父の声が聞こえてきた。

 遼太は、自分でも気づかないうちに正座をして聞いているのに気づいていた。




 「お前は知らんじゃろうが、以前儂は実は大酒飲みじゃったんじゃよ…。それが、あんまり

  調子が悪いんで、しぶしぶ病院へ行ったら、『このままだと内臓をやられて長くは生きら

  れん』と、そう医者に脅されたんじゃよ。

  …ちょうどその頃、お前が生まれたんでの、ええ機会じゃわいと思うて、しょぼくれとる

  お前のお父さんやお母さん、親類の者たちを元気づけてやろうと思うて宣言したんじゃ。

  そしたら、『武さん、そりゃ無理じゃろ。でも、武さんがほんまに断酒できるんなら、願

  いは叶うわい』と皆そう言うんでの。『それならやったるわい。』となったんじゃよ。は

  っはっは。

  それで、裏の岩山様で、お百度を踏んだんじゃ…。」




 「岩山様」というのは、遼太の家から近い所にある神社のことである。遼太は、そう言え

ば、以前父か母から『昔、じいちゃんがそこでお百度参りをした。』と、そんなことを聞いた

記憶があった。

 あれは本当だったのか…。しかも、「じっちゃん」は自分の為にお百度を…。


 「岩山様」は、本殿がかなり高い所にあり、参道の入り口の鳥居から見上げると、先が見え

ないほど延々と石段が続く有名な社である。一度上がって降りるだけでも、十分息が切れる。

 遼太は子供の頃、剣道の稽古の一環で、よく岩山様の石段を駆け上がらされていたことがあ

った。


 「しかし、『お百度』って…じっちゃん…あれを百回往復したなんて…。」



ラストスパート
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Last updated  Jan 6, 2008 05:20:43 PM コメント(10) | コメントを書く
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