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浪漫的狼

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nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、お元気です?? その後調子はいか…
浪漫的狼 @ Re[1]:なんと(01/08) nanaco☆さん  わあい。すぐにお返事いた…
nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、大変ご無沙汰しております~!!…
wine ガブガブ @ Re:充電します。(04/30) エネルギーが、蓄積されたら、また再開し…
deco7 @ Re:充電します。(04/30) 充電のお役には立ちませんが、遊びに来て…
Mar 31, 2008
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カテゴリ: 創作の部屋
最後までお付き合い下さいまして感謝です。それでは少し長めのエピローグをどうぞ




エピローグ





 「うーん。上手く言えない。」 

 「じゃあ、妄想?」

 「ううん。…たぶん、現実。」

 「じゃあ、私をここに呼び出すメールを送ったの…誰?」

 「えっ? あ、…たぶん…オレ。」



 高峯は全てを説明しようとしたが、到底それはできそうになく、諦めることにした。

 きっと信じて貰えないだろうし、自分自身、どういうことなのか説明できそうにないと思っ

たからである。



 「でさ…、オレ気付いたんだよ。」

 「えっ。何に?」

 「…色んなこと。」

 「例えば?」

 「うーん。…勉強も、バスケももっと力一杯やらなきゃってこととか。」

 「いいんじゃない。…でも、それだけ? 向こうの世界ではバスケも勉強も普通だったんじ

  ゃない?」

 「そうなんだ…。で、それだけじゃないよ。」

 「何が?」

 「うーん…。」

 「向こうでは私だけがいなかったんでしょ?」

 「そうなんだけど。」

 「…でも、タカネくん、よりによって何でそんな世界に行っちゃったのかな。」



 暫く沈黙があった。


 なぜ、結花がここに現れたのか。

 それは高峯にとって謎だったのだが、結花によれば、それはどうやら自分が呼び出したと

いうことであった。自分が結花にメールを打ったとういうことも、彼自身全く身に覚えがない

ことであったが、今となっては、もう「何もかもが信じられなくて…、逆に何もかもが信じら

れる」そんな情況であった。



 そして、こちらの世界で何があって、自分がどうして結花を呼び出したのか、それは自分に

とっても謎のままであった。




 結花はそこで、不思議なことを言った。

 「私ね。この間、夢を見てさ。この桃の樹が出てくるの…。覚えてる?小学校の時、ここ 

  で、背比べしたよね。」

 「うん…。でも、オレ…お前はもう、あんなこと忘れちゃってると思ってた。」

 「忘れるわけがないじゃない。もう…失礼ね。でね…。」



 結花は、そこでその夢の続きを語った。


 「私ね、その夢の中で…、1人でここにいるのよ。それで、1人でこの幹に印を彫ってる

  の。…それがね、何だか凄く寂しくって。どうしてタカネくんがいないんだろうって。」


 「…で?」


 高峯は、結花の見たそれは、自分の見た夢とそっくりだと思ったけれど、そこは黙って聴い

ていた。


 「でね…。私…。目が覚めてからも寂しくって…。その夢を見た次の日の学校の帰り、この

  樹の所に来たの。」


 「それで?」


 「この樹に向かってお祈りしたのよ。」

 「何を?」


 「ひみつ。 …うそ。告白すると、『タカネくんとずっと一緒にいられますようにって。』

  あ~あ、言っちゃった。」



 高峯はその言葉を凄く冷静に受けとめていた。そして、結花に向かって言った。 


 「オレも、お前がいなきゃだめだ…。」


 「え?」




 「今度さ…。またライブ行こうよ。今度はオレがおごるからさ。」

 「うん。でも…、いいの?」



 高峯は半券を取り出した。

 「ちょっと、濡れちゃったけど…向こうの世界でも、これだけはそのまんまだったんだ。…

  でさ、お前…これに何か書いてなかった?」


 高峯のその言葉に対して、結花はかなり驚いたような反応を示した。そして、「えっ? 何

 で?」と言うと、高峯の手からチケットを奪い取るようにして手に取ると、すぐに裏返しに

 して食い入るように眺めていた。



 「…書いてたんだけど、消しちゃったの。…どこにも、書いてないよね。…でも、なんで知

  ってるの?」

 「いいからさ…。で、おまえ何て書いてたんだ。」

 「それは絶対、ひみつ。」

  結花は少し赤くなった。高峯は、それについても、もうそれ以上追及しなかった。


  そして続けた。



 「これがなかったら、オレ、こっちに帰ってこれなかったかもしれないんだ。」

 「おおげさね。それって、夢じゃなかったの?」


 「わかんない…。でも、これで、オレ確信したんだ。」

 「何を?」


 そう言って高峯を見上げる結花の顔は輝いていた。そして、次の言葉を継ぐことができずに

戸惑う高峯をよそに、結花はバッグから何かを取り出した。



 それは、高峯と同じ、あの時の半券であった。

 「なんで、お前もそれ持ってんの?」

 「だって…、これ私の宝物だもん。」

 「…。」


 「それから、…これ。」

 結花はバッグからもう一つ小さな袋を取り出した。


 「プレゼント。開けてみて。」

 高峯は言われるまま、その袋を開けた。

 中に入っていたのは…なんと、バスケットシューズの紐だった。


 それは高峯が先日買ったものと同じメーカーのものだった。しかも、色も全く同じ、あの、

薄いピンクがかったそれであった。

 そして、高峯は思わず学生服のポケットを探った。…しかし、そこにあるはずの靴紐は姿を

消していた。



 けれど、もう高峯は少しも驚くことはなかった。それどころか妙に納得していた。

 そんな、靴紐を見つめたまま何も言わない高峯に、結花は構わず続けた。

 「紐…切れちゃってたでしょ。だから…」


「あ…。」

 あの時…、先週の部活の時、紐が切れてしまって、体育館の隅に坐っていた自分に…結花は

気付いてくれていたのだ…。バレーボールを追うのに夢中で、全然オレのことなんか気にもか

けていないと思ってた…結花…ちゃんとオレのこと…見ていてくれたんだ。


 その事実を知って高峯はちょっぴり感動した。


 そして、「それでね…。」と、結花は再び高峯の手にあった靴紐を取って何かを説明しよう

とした。…その結花の白い手を、高峯は紐ごと握りしめ、自分の胸に引き寄せた。



 高峯は結花を抱きしめていた。



 小さな結花の背は高峯の胸にようやく届くほどでしかなく、高峯は結花の頭を包み込むよう

にそっとその手を背中に回した。そして、そっと告げた。


 「オレ、お前が好きだ…」


 結花は直接その言葉には返事をしなかった。


 しかし、自分の背中に回っている彼女の手…その指先に加わった仄かな力がそれへの確かな

返事になっていた。



 そして、結花は高峯の腕の中で続けた。

 「紐、気に入ってくれた…?」

 「うん。サンキュ。」


 「ちょっと赤っぽいけど。タカネのシューズにもあうでしょ。実は…私とオソロなの。…私

  のシューズにはちょっと合わないかも知れないけど…、女バレのユニフォームが赤だから

  試合の時はいいかなって。

  あ、…でも、目立たないから大丈夫よ…オソロって分からないから…。」


 高峯は自分の胸に向かって喋っている結花の言葉を聞きながら、


 「…うちの女バレのユニフォームって『青』じゃなかったっけ…」と、そんなことをぼんや

りと考えていた。



 …でも、そんなことはどうでもいいことだった。


 「どうせ、この世は矛盾だらけなんだ…。」高峯は心の中で呟いていた。



 自分にとっては、結花さえいてくれればよかった。

 自分にとって、何よりも大切なもの、確かなもの…。そう、それは今自分の腕の中にあっ

た。


 それだけで十分だった。



 「結花と一緒なら、どこだっていいさ…。」

 高峯は、今度は結花に聞こえるように小さく呟いた。





 と、またどこからともなく、静かに風が吹き始めた。


 そして、また、あの甘い桃の花の香りが二人を包むのだった…。




《了》








ご愛読有り難うございました。また、感想聴かせてね。《狼》
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Last updated  Mar 31, 2008 06:38:47 AM
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