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浪漫的狼

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nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、お元気です?? その後調子はいか…
浪漫的狼 @ Re[1]:なんと(01/08) nanaco☆さん  わあい。すぐにお返事いた…
nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、大変ご無沙汰しております~!!…
wine ガブガブ @ Re:充電します。(04/30) エネルギーが、蓄積されたら、また再開し…
deco7 @ Re:充電します。(04/30) 充電のお役には立ちませんが、遊びに来て…
Jan 3, 2009
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カテゴリ: 創作の部屋




【その2】





学を基礎から勉強していた。

 今となっては、すっかり忘れていたが、『重力』と『引力』の違いというものも確かに習っ

た。確か「地球が物を引き寄せる力が『引力』で、それと地球が回転することによって生まれ

る『遠心力』とを合わせたものが『重力』というのだった…。」

 タカシは、内心ひどく驚いていた。

「この易者、どこまで判って言っているのか…。それにしても鋭い…。」

 そして、感動しながらも、そっと向かいに坐っている易者の顔を窺ってみた。

 彼は静かな面持ちで静かに筮竹を一本一本数えている。

 タカシはそこで、黙ったままもう一度易者の言葉を噛みしめていた。


 「確かに…。オレが女性を引っ張りすぎるから…それがいけないってことか。女性も男にべ

  ったりってワケじゃないものな…。だから『遠心力』つまり、女性が自分との距離を保と

  うとする力…そのバランスが巧くとれると、純粋なオレの魅力、つまり『重力』がほどよ

  く生じるってことなんだ…。

  それが『力関係』ってことか…しかし、易者ってのは凄いもんだ。」

 タカシはすっかり納得しきっていた。


 もうこれで十分だとは思ったが、タカシは、お礼ついでに最後にもう一つだけ尋ねることに

した。

 「いやいや。恐れ入りました。すっかり納得しましたよ。

  それにしても、驚きです…あなたは物理学の知識もお持ちなのですか? それとも、

 『易』というものがそのような具体的な科学の『言葉』も引き出すのですか?」


 易者はタカシのその言葉に対し、少し顔色を変えように見えたが、暫く考えてからこう言っ

た。


 「『易』というものは、森羅万象の理を解き明かそうとするものです。ですから、それは文

  学でもあり、哲学でもあり、同時に数学や物理学にもなり得るのです。

  まあ、いずれにせよ、あなたにとってよい『ケ』が出たようで何よりです。」


 「え…? 『毛』ですか?」

 「いえいえ、『当たるも八卦、当たらぬも八卦』の『ケ』、『卦』ですよ。」

 「ああ、なるほどね。ちょっと変換ミスしちゃったかな、ははは。」


  妙なオチがついたところで、すっかり上機嫌になったタカシは、「代金は500円で」と

 いう易者に、気前よく1000円札を渡し、「これ、とっといて」と言うと足取りも軽くそ

 の場を立ち去った。

 客の晴れやかな後ろ姿を見送りながら、易者は一人で呟いていた。

 「…しかし、驚いたものだ。あの客は、どうして『物理学』なんて突然言い出したのだろ

  う。…確かに、私は大学で物理学を専攻していたのだけれど…。

  ひょっとして私に易者としての資格がないことが、ばれたのかと焦ってしまったよ。」


 実は、その易者は、モグリだった。 

 彼はメーカーの技術系の研究職に就いていた。が、ここの所の酷い不況に煽られて仕事が激

減し、アルバイトでもしなければやっていけないほどになっていた。

 そこで、思いつきで始めた「にわか易者」だったのだ…。


 「しかし、それにしてもどうして『物理』なんて言葉がでてきたのだろうか…。『力関係』

  だけで物理に行くとは思えないしな…。

  …何だか、エラくビシっと決めている割には、暗い顔をしているので、もっと自由に生き

  れば、という意味で『自由力』って言ったのだけど…。

  まあ、ああいうタイプは女性に媚びる傾向があるから、いい言葉の選択だったかも知れな

  いな…。

  まあ、いずれにせよ、客が納得して前向きに生きてくれれば、それでいいってこと。

  それにしても、…この仕事…「易者」ってオレに向いてるかもしれない。

  下手にあれこれ喋らず、印象的な言葉をぽつりと吐いて、後は勝手に相手に解釈させる…

  これがコツだな…。」



 そして彼は、時計を見た。

 8時30分。いつもなら10時頃までここに坐っているが、今日はさっきの客が気前よく

 1000円もくれたので、もう目標の3000円に到達していた。

 彼は、手元のランプを消し、手早く机を片付けると、本日の売上の3000円を缶の中から

財布に入れると、そそくさとその場を立ち去った。


 誰もいなくなった脇道の路地には、蛍光灯の切れかかった街灯と、自動販売機の明かりだけ

がぼんやりと辺りを照らしているだけだった。



 何処からか楽しそうな笑い声が聞こえていた。




                                      《終》









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今回はしみじみ系でしたが…風竜胆さんに叱られちゃうかナ…





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Last updated  Jan 3, 2009 10:37:19 AM
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