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浪漫的狼

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nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、お元気です?? その後調子はいか…
浪漫的狼 @ Re[1]:なんと(01/08) nanaco☆さん  わあい。すぐにお返事いた…
nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、大変ご無沙汰しております~!!…
wine ガブガブ @ Re:充電します。(04/30) エネルギーが、蓄積されたら、また再開し…
deco7 @ Re:充電します。(04/30) 充電のお役には立ちませんが、遊びに来て…
Oct 10, 2009
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カテゴリ: 創作の部屋
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【連載題20回】

 祭囃子。山車を引く掛け声。

 熱気の中に、時折吹く秋の匂いを含んだ風。


 遼介にとっては、いつもの祭であったが、鈴香にとって、それはとても新鮮な感覚であっ

た。

 かき氷、たこ焼き、綿飴…と、二人は祭りを楽しみながらぐるりと近回りを一周して、また

博物館のある通りへと帰ってきた。



 時刻は、7時50分だった。


 テラスに入ると、ベンチに誰かが坐っているのが分かった。

 お祖父ちゃんだった。

 平蔵は、濃紺の短パンに白いTシャツ。その上に革のベストを引っかけて、やはり、ベレー

帽を被っていた。

 常夜灯の明かりは抑え目であるので、あまり良くは見えないけれど、顔は少し紅潮している

ように見えた。アルコールが入っているのだろう、ご機嫌そうだった。見れば、ベンチに缶ビ

ールが置いてある。


 「やあ、いらっしゃい。お祭りは楽しんだかね。」

 「はい。」

 そう答える鈴香を、やはり平蔵は暫く懐かしそうな目で見つめていた。


遼介は、

 「もうすぐ、花火が始まるよね。…オレ、何か買ってくるから。」 

 そう言い残し、すぐにそこを立ち去った。



 平蔵は、その遼介の様子を眺めていたが、

 「あいつは何を慌てているんじゃろな。」

 と言うと、にっこり微笑んで、


 「…まあ、お嬢さん、ここへお掛けなさい。」

 お祖父ちゃんは、ベンチに置いていた缶ビールを右手に持ち替えながら横を空けてくれた。


 「あ、アリガトウございます。」

 そう言いながら、ちょこんと腰掛ける鈴香。満足そうにお祖父ちゃんは鈴香の方に目をやり

ながら、一口ビールを飲んだ。


鈴香は、

 「…あの、今日も黒猫館、ちょっと見せて頂きました。ありがとうございました。」

 「そうか、そうか、それはよかった。あいつが畏まって『鍵貸して下さい。』なんて言うも

  んだから、一体何かと思ったが…。

  お嬢さんの為なら、いつでもOKですぞ。ふァっはっは。」

 平蔵は高らかに笑った。

鈴香も、

 「はい、それにしても。とっても素敵なネコちゃんたちですね。」

 と告げた。

 すると、平蔵はにこにこしながら、

 「…遼介に聞いたんじゃが、お嬢さんは、あの2階の正面の黒猫の絵がお気に入りだと

  か。」

 鈴香は一瞬、ドキリとしたが、遼介がそのぐらいのことは話していてもおかしくはないだろ

うと、すぐに思い直し、平蔵に笑顔で答えた。


 「あ、はい。何だかとっても懐かしい感じがするんで…。」


 それは鈴香が何気なく口にした言葉であったが、その言葉に、ほんの少しではあるが、平蔵

が動揺する様子がうかがえた。


 鈴香は、自分が何か不味いことでも言ってしまったかと、今度は本当にドキドキしてしまっ

た。

 …が、平蔵は、暫くして、


 「あなた…。桜井鈴香さんとおっしゃっいましたな。」

 そして、

 「その…、…あなたの血縁者の方で、この辺りに縁のある方がいらっしゃいますかね。」

 それは、いきなり核心をつく質問であった。

 が、ここは鈴香は、腹を括って惚けることに決めた。

 「いいえ、残念ですけど。ちょっと…思い当たらないです。」

 「そうですか…。」

 その平蔵の言葉は、残念そうにも、ほっとしたようにも受け取れた。


 「もう一つお尋ねしてもいいですかね。…あなたのお祖母様。お二人いらっしゃるかと思い

  ますが、どちらのご出身の方ですか。」

 「えっ…。」

 と、鈴香は思わず驚いたが、今度も「二人」という言葉の意味を自分が勝手に取り違えてい

たということに気づいた。


 それに気付くまで、暫く妙な間が空いたが、それを挽回するかのような明るい口調で答え

た。

 「えっと…。父方の祖母は私の実家のすぐ近くですが、母方のお祖母ちゃんは…この…県北

  です。」

 「そうですか…。」と平蔵。


 思わず「県北」と言ってしまったが、鈴香は正確には違ってたな…と、少し気まずく思っ

た。でも、それは仕方のないことだった。

 平蔵は、彼女の動揺を察知したのか、やや申し訳なさそうに言った。


 「…すみませんな。いきなり変な質問ばかりで。」

 「…いえ。私も、実はあの絵を見て何だか懐かしい感じがしたので、お祖母ちゃんに、ひょ

  っとして私が子供の頃、この博物館に来たことがあるかどうか尋ねてみたりしたんです

  よ。

  …でも、全然心当たりがないって。ちょっぴり残念でしたけど。」



 「そうか…。やっぱり…。」

  やや落胆する感じもあったけれど、平蔵の言葉の調子は明るく、ご機嫌な様子に変わりは

 なかった。

 「始めてこの街に来た時も、何だか昔見たことのある風景みたいな所があちこちにあるん

  で、ひょっとしたらって。」

 平蔵は黙って頷いていた。



 鈴香は、そこで逆に問いかけてみることにした。

 「お祖父ちゃん、あの絵に関して何か特別な想い出とかあるんですか。」

 「うむ…。」

 平蔵は、そこでもう一度、缶ビールをごくごくと、今度は少し多めに飲み下し、暫く虚空を

眺めていた。


 鈴香は、

 「…あ、ごめんなさいね。

  この博物館にあるものは全部お祖父様の大切な想い出が詰まってるものですよね…。変な

  質問してゴメンナサイ。」


 平蔵は、鈴香のその言葉に直接返事をしなかったが、暫く間を置いてゆっくりと口を開い

た。



 「お嬢さん。ワシの戯言を聞いてくれるか…。」



                                         〈続く〉




いよいよ大詰めで~す。最後までしみじみね。





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Last updated  Oct 10, 2009 07:35:29 AM
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Re:三題噺【連載第20回】 第4部(2)(10/10)  
夢花風  さん
10万アクセスおめでとう^^

「お嬢さん。ワシの戯言を聞いてくれるか…。」

私も聞きたい。
遠い過去の抽斗から何を出してくるのでしょう。 (Oct 10, 2009 09:08:24 AM)

Re:三題噺【連載第20回】 第4部(2)(10/10)   
nonmama-ns  さん
10万、ですか!凄いですね!
おめでとうございます♪
先生のファンの方も定着した感ですねv^^v
平蔵の戯言、早く聞きたいです。
(Oct 10, 2009 09:22:10 AM)

Re[1]:三題噺【連載第20回】 第4部(2)(10/10)  
浪漫的狼  さん
夢花風さん
 次回から、たっぷりね。
 そろそろ終幕が近づいてきました。 (Oct 11, 2009 08:32:12 AM)

Re[1]:三題噺【連載第20回】 第4部(2)(10/10)  
浪漫的狼  さん
nonmama-nsさん
 ありがとうございます。とても良いお友達方に恵まれて、嬉しいです☆
 小説の方、もう少しお付き合い下さいね。 (Oct 11, 2009 08:33:17 AM)

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