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浪漫的狼

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Oct 14, 2009
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カテゴリ: カテゴリ未分類

長い間ありがとうございました。エピローグをどうぞ。



【エピローグ】

そして…。あれから10年の歳月が流れていた。



 「ここでいいかな。」

 「そうね、もう少し近い方がいいかも。」

 「でも、ちょっと間隔が狭すぎない?」

 「いいのよ。この2枚の絵はセットみたいなモノなんだから。」

  「でも、これ、やっぱり右側の方が良くない?」

 「左がいいの。すぐ右手に窓があって屋根でしょ。バランス的には絶対左よ。」

  「判った。やっぱり学芸員さんの意見を尊重しなきゃね。」

 「もう、ヤあね。」

 「ははは。」


 そして…、

 その小さな絵は大きくて立派な額の左横に並べて展示された。



 並べてみると、その小さな絵に描かれた黒猫は、明らかに大きな絵のそれを模倣したものだ

と判った。


 ただ、小さな絵の方に描かれた猫の横には、優しそうな目をした少年がいた。




 「お祖父ちゃんに…結局言えずじまいだったね。

  …怒ってないかな…お祖父ちゃん。」


 「大丈夫だよ。きっと天国でさ、彼女…千代子さんと再会して、黒猫を膝にのせてのんびり

  してるんじゃない。」

 「そうだと…いいわね。」


そこで、遼介は一歩絵の方に進み出て言った。

 「オレ、最近気付いたんだけど。」

 「何に?」

 「この絵のサインがあるだろ。」

 遼介が指さしたのは、小さい方の絵だった。

 「うん。」

 「これってさ、『C・H』ってサインがしてあるけど、真ん中の『・』って何だか大きくな

  いかなって。前から思ってたんだ。」

 鈴香も遼介の横に進み出てそれに顔を近づける。

 遼介は、

 「これ、掠れててはっきりしないけど『&』じゃないかなって…。」

 鈴香は、その部分を黙って見つめていたが、

 「確かに、ふつうの『・』じゃないわね。言われてみると『&』に見えるわ…。」

 と呟くように言った。

 「だろ。だから、ひょっとすると」


 「ひょっとすると?」


 「だから…、これって『Chiyoko& Heizo』なのかなって』


 「まあ…。」

 鈴香はそう言うと、改めて二つの絵を静かに見つめるのだった。


 遼介は絵をみつめる彼女に、

 「まさか、『Cat&Heizo』じゃないだろ…」

 とついでに軽口を叩いた。


 「もォー」とちょっぴり怒ったような顔をする鈴香。

 遼介は笑いながら、


 「よし。」

 と一声発した。そして、


 「じゃあ、ちょっと。仕事行ってくるな。」


  鈴香は、

 「はい。館長さん。」

 「…その、『館長さん』ってのやめてくれよ、形だけなんだから。実質は学芸員の鈴香が管

  理してるんだからな。」

 「ふふふ。」


 「それより、そろそろミルクの時間じゃないの?」

 「うん。そろそろ起きて泣き始めるころよ。」


 二人の視線は、同時に階段下の入り口のフロア隅へと移った。


 そこには可愛いベビーカーが置いてあった。


 その中には、すやすやと寝息をたてて眠っている可愛らしい赤ちゃんの姿があった。



 そして…、



 その外ではあの黒猫が、今日も静かに穏やかな空を見上げていた。





                                         《了》




最後まで読んで下さってありがとうございました。是非感想などお聞かせいただければ幸いです。《狼》





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Last updated  Oct 14, 2009 06:36:47 AM
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