渋谷から愛を込めて・・誰にだ!

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Nov 5, 2005
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カテゴリ: 癌との戦い
ついに兄が外出となる。
くも膜下出血と髄膜炎の後遺症で、少し認知症状の残る父を伴って迎えに出た。
ヨチヨチ歩きの、文句言いを二人連れての行動は、ハラハラの連続になった。
特に兄には、容態の急変という危険が伴う・・・・

病院を抜けて向かったのは、近くの料理屋だった。
店の人にお願いして、個室になる掘りごたつの席を用意して貰った。
ストーマを二つ、腎臓から直接つないだ尿バックを抱えた兄は、世間の目がとても気になる。
個室であれば、苦しければ横にもなれるのだから。

久しぶりの外の世界。

起き上がったり寄りかかったりしながら、会話は少しずつ弾んで行く。
自分は出来るだけ会話に参加しないようにしていた。
弟として、出来るだけ兄が両親と話す機会を増やしたかった。

店の方でも気を利かしてくれた。
必要以上に注文を急く訳でもなく、応対には良い加減に笑顔を交え、何の圧迫も感じさせない。
結局、病人だったり感慨ひとしおだったりで、食べられる量が知れた家族。
あれもこれもと注文した料理の、半分もどうかといった辺りで満腹になってしまった。
でも、良い感じの店の手を尽くした料理。
そのまま置いて帰るのは勿体無い・・・
思い切って、残りを持ち帰られるかどうかを聞いてみると、その相談が終わるのを待たずに「良いですよ、入れ物は幾つ用意しますか?」と帰って来た。
きっと、持ち帰りたいお客さんが多い店なのだろう。

店には期待を大きく上回る満足をして、家に向かった。

久しぶりの家、じっくり寛いで貰いたかった。
だが、間も無く兄は夕食の買い物に付き合って出掛けて行った。
久しぶりの外出、自分の知ってる街を、見回って来たかったようだ。

夕食の食卓には、兄の見立てで買い漁って来たものが並んだ。

兄の会社で、やはり癌を患っている人の話。
家族の話、これからの話には入って行けないものだ。
みんな、誰しもが悲観的なものと楽観的なものから遠ざけて話題を選んで行く。
これまでの事実だけ、こらからの他人事・・・

その夜、母が言った「癌に罹った人は、自分の癌だけは認めようとしない」という言葉が耳に残った。





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Last updated  Nov 11, 2005 03:08:03 PM
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一人@ Re:蓮の花のリレー seimamaさん、こんばんは。 見付かっちゃ…
seimama5682 @ ありがとうございます♪ みっけ~! 随分早くからリレーに参加し…
一人@ Re:蓮の花のリレー カルボさんも頑張って! 神経の痛みって、…
カルボナーラ458 @ Re:蓮の花のリレー(12/12) 久しぶりの更新ですね^^ 待ってました…
一人@ Re:蓮の花のリレー ニコさん、どうもです。 PCが生き返った…

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