見舞った兄は目を瞑り、寝てるとも起きてるとも付かない、朦朧の中に居るようでした。
いつも通り腰の痛みを逃がす為、上半身を起こしたままで大きなクッションで支えていた。
自分達が病室に入った物音にも気付かないかのように、何の反応も見せない。
と思うと突然身体を起こし、トイレと一言発して立ち上がりだす。
病室にもポータブルトイレが置いてあり、用足しを試みる。
だが、兄はストーマに腎臓に直接挿した導尿管で、トイレに行っても何も出るものは無い。
ただ単に、兄の薄く、細くなった身体を確認する羽目になったばかりだった。
174センチに、40キロを切る体重・・・骨と皮の間を埋める以外には、もうふくよかな肉は付いていない。
本当に削げてしまった兄は、残尿感を感じるらしくて幾度も幾度も繰り返す。
その度に身体を震わせながら、立ち上がる。
それでも兄が嫌がらないならと、慌てて車椅子をセットし、兄を乗せてトイレに運ぶ。
幾度も幾度も運ぶ。
トイレの中では、時間を掛けて尿意が膀胱の中身を押し出してくれるのを待っている。
何も出ないまま、病室へ戻る。
戻って少し目を閉じたかと思うと、またトイレへ。
その繰り返し・・・
ふと気が付くと、ポートに入る高カロリーの点滴バッグに貼られたシールには、5-FUの文字が。
唇には、真っ赤に爛れた大きな口内炎。
身体は限界に来ているのに、それでも抗がん剤で腫瘍の増大を抑え続けている。
気休めなのかも知れないが、粘膜が傷付いて苦しいかも知れないが、それでも戦うしかない。
兄からは、諦めの言葉が出て来た事すらないのだから。
兄の当面の敵は癌ではなく、体力の低下であるのだろう。
院内感染に気を遣っている結核も扱う郊外の病院であることが、救いに感じる。
調子の良い日が、戻って来て欲しい・・・
Soul Aliveを聞きながら・・・ Mar 1, 2008
卒業して行ったキミへ Feb 26, 2008
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