実家の母からだった。
これから、兄の入院している病院へ向かうという。
その声にはうろたえた様子も無く、穏やかだった。
病院で兄についている姉から、今日明日がヤマという連絡が入ったのだという。
ヤマと言われたのに、お前は来なくて良いからねと言う。
さっき、父の食事が終わったから行って来るのだと言う。
声の調子、来なくて良い、父が食事を取ってから出発?
状況の緊急性に対して、伝えられる状況に臨場感が無い事に、違和感を感じながら電話を切った。
まだまだ新幹線の時間には余裕が有るつもりでいた。
先ずは打ち合わせを終わらせて、それから考えれば良いと思っていた。
帰省するのなら、必要なものは何だろう?
着替えさえ用意出来ずに行くべきだろうか?
実家に帰っても誰も居ないのだ。
深夜にタクシーを捕まえて病院に押し掛ける事は、兄への負担になるのではないか?
それでも客を送り出して席に戻った頃には、とにかく新幹線に乗る事を心に決めていた。
滞在期間が長くなる事を想定し、1週間先までのスケジュールを確認する。
その間に立ち上がって来る問題も想定し、各所への指示を洗い出そうとしてみる。
自分が居なくては進まない事も無いような気もするし、居なくては進まないような気もして来る。
とりあえず、同僚に、予定されるそれぞれのイベントを声に出して伝え、想定に甘さが無いかの確認をする。
その合間に終電の時間を・・・20時4分発。
思っていたよりも、相当に早い時間だった。
後片付けは復帰してからとして、先ずは駅に向かって走った。
山手線に乗って東京駅に向かいながら、接続を確認する。
何と、東京駅への到着は20時2分と表示される。
乗り換え時間が2分。
切符も買っていないのに、無理なんじゃないのか?
そんな事より、今無理して行っても着くのは日付が変わった後の深夜。
間に合わないなら無理しても意味が無いのだろうし、持ち堪えるなら明日の朝だって変わらないんじゃないか?
でも、行きもしない自分を納得させる事は出来なかった。
東京駅。
自動券売機には、Suicaが入らない。
何故だ?折角の自動化が意味無いじゃないか!
有人の窓口には、それぞれに2~3人の待ち行列。
2分しか無いのに、ハケる筈が無い。
女性の係員に、ダイヤの乱れは無いのかと確認するが、定刻通りという。
絶望感の中、案内板の表示から、目当ての列車の名前が消えた。
20時4分・・・・乗れなかった。
その瞬間、再度携帯が鳴った。
高揚と落胆を含んだ、母の声だった。
今、息を引き取った・・・19時59分だった・・・
・・・来なくて良いからね、今はみんな泣いてるけど、大丈夫だから・・・
急いで実家に向かう意味が無くなった。
不思議に、大きな動揺も哀しみも湧かなかった。
Soul Aliveを聞きながら・・・ Mar 1, 2008
卒業して行ったキミへ Feb 26, 2008
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