渋谷から愛を込めて・・誰にだ!

渋谷から愛を込めて・・誰にだ!

Nov 21, 2006
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カテゴリ: 癌との戦い


霊柩車を追う様に追走するバス。
乗っているみんなの顔は特に哀しみに包まれている訳ではない。
しかし、気が付くと会話が無くなっている。
黙々と進むバス。

途中で兄の働いていた会社に立ち寄って貰う。
雨の中、社員全員が建物の前に並んで、兄を見送りに出て来てくれていた。
一旦、建物の入り口の前に停め、低い警笛を残して霊柩車は走り出す。

兄は、この職場で命を燃やしていたのだ。
目の前に並んでくれた人達と、一緒に冗談を言いながら沢山の結果を残して来たのだ。
思いもかけず、そこに居た兄の姿が見えるかのような気がして来ていた。
ここに居る人達とう共有した苦労、喜び、躊躇、決断、日常・・・
悲しみよりも誇らしさを感じながら、涙が止まらなくなっていた。

兄は、ここでみんなに好かれていたという事が、何故か分かった。
闘病中も、入院してからも、歩けなくなっても、それでも籍を置いてくれた会社。
生存しているだけになっても、一員として認め続けられていた。
その兄が、命の全てが燃え尽きるまで頑張って、戻って来たのだ。
凱旋を祝って貰えているのかのような、誇らしさを感じてしまった。

その空気を引き摺るように進むバス。
誇らしさを失うことなく、バスはそのまま火葬場に付けられた。

住職の読経が進む間も、その誇らしさは失せる事がなかった。
最後の挨拶をして炉に入って行く姿を見送っても、家族の涙は長くは続かなかった。
会社を一周した時に感じた誇らしさが、みんなを満足感に包み込んでいたのかも知れない。

火葬を待つ間に、もう一つの不思議に出会う事になった。

ドアノブに引っ掛けて、礼服のボタンが飛んだ。
自分の礼服はダブルで、ボタンホールを介して力のかかるボタンは、礼服の外側に一つ、内側のベルトに一つ。
そして、外側のボタンの逆側に、何の負荷もかからない飾りボタンが一つ。
飛んだのはその、飾りボタンだった。
ドアノブは確立を無視して、そのボタンを選択的に引き千切っていた。

火葬の済んだ骨は見るからに脆く、崩れ落ち、手足の関節から先はその形を失ってしまっていた。
目に付いたのは、腹の左側に位置する茶の列になった灰。
丁度、ストーマから先の、出口を失った大腸の位置になるのだろうか。
そこの何が有ったのか、明らかに他とは違う色の灰の列が鮮やかだった。
そして、腰骨の左側を染める、紫色の斑点。
いつも痛がっていた、骨転移部分なのだろうか。

残った骨は脆く、一番太い腿の骨すら箸で拾う際に崩れてしまった。
半分だけ原型を留めていた頭蓋骨も、箸で挟んだ瞬間に割れ、表と裏に剥がれてしまった。
耐えられるだけ耐えたのだろう。
志半ばでなどという言葉は、兄の生き方には適用出来ない。
何もかも、果たしたという言葉の形容が相応しい。
ここまでやった、自慢の兄の最後の仕事の結果を、見せ付けられているようだった。






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Last updated  Dec 1, 2006 03:46:20 AM
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一人@ Re:蓮の花のリレー seimamaさん、こんばんは。 見付かっちゃ…
seimama5682 @ ありがとうございます♪ みっけ~! 随分早くからリレーに参加し…
一人@ Re:蓮の花のリレー カルボさんも頑張って! 神経の痛みって、…
カルボナーラ458 @ Re:蓮の花のリレー(12/12) 久しぶりの更新ですね^^ 待ってました…
一人@ Re:蓮の花のリレー ニコさん、どうもです。 PCが生き返った…

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