もう、誰の心にも悲しみなど入り込む隙間は無いだろう。
みんな、誇らしげに、自慢げに式場入って行った。
そこで目を奪ったのは、祭壇の端に乗ったギターだった。
兄の自慢のマーチン。
そうと分かるように、特有の形をしたギターケースも一緒に乗っていた。
持ち込んでくれるようにお願いした記憶はなかった。
バスの中でも、忘れてきたと思っていた。
そのマーチンが、誇らしげに祭壇の端に陣取っている。
葬儀屋さんが、思い出話の中に出て来るマーチンの話で気を利かせてくれていた。
嬉しかった。
祭壇から後ろを振り向いた瞬間、最も大きな不思議が目に飛び込んだ。
兄の手掛けた仕事の中で、最も兄が満足していた仕事。
常に自慢げに話していた屋内スケート場が、目の前に存在していた。
間を遮るのは高速道路だけ。
正に道1本挟んで、巨大なスケート場の前に立てられた斎場だったのだ。
兄が仕組んだ、最大の自慢話がそこに有った。
家族の誰もが笑った。
自分の田舎では、訃報は新聞に掲載される事が多い。
兄の訃報も、勤め先が新聞に載せてくれていた。
その訃報を見て、どんどん弔問客が集まって来てくれた。
200席近くを、殆んど埋め尽くして、通夜が執り行われた。
外には、兄が旅立った日以来の雪が、チラつき始めていた。
Soul Aliveを聞きながら・・・ Mar 1, 2008
卒業して行ったキミへ Feb 26, 2008
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