サイボーグ023

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第31話 ヤルカンド


17世紀に興ったヤルカンド汗国の
中心都市が莎車だったので
今でも「莎車」と書きshachaと呼ばれてる。

砂に煙る市内に入ってみると
涼しそうな木陰を作ってる並木が
道路の両側に植えてあり
バイクや自転車はもちろんのこと
車も結構走ってる。

おじさんたちのランクルは
やがて大きな交差点にさしかかる。
左右にはメインストリートが伸びており
そこで右に折れてしばらく走ると
いきなり停車、でもなぜかすぐ発車する。

これを何回か繰り返して
ようやく目的のレストランへ。
どうもワンさんが道を間違えたらしい。
ちょっとばつの悪い顔をして
おじさんたちを店内へ誘う。

店の名前は「蓬莱仙界」
どんな料理が出てくるか期待したけど
何のこっちゃない!
変わり映えしない中華料理。
品数も5品と少なく
冷えたビールだけが唯一の救い。

食べ終わるとしばらくは
自由時間ということなので
IBさんと一緒に外に出て
この近辺を歩いてみた。

するとIBさんが近くのお店に
興味をひく何かを見つけたらしい。
彼にしては珍しく積極的に
値段の交渉をしている。

彼が欲しがってるのは
この地域では有名なナイフ。
見るだけでも楽しい
色とりどりのナイフです。

控えめなIBさんなので
結局はあまり値切れなかったけど
憧れのナイフを購入して
とても満足そうでした。

そんなIBさんを近くで眺めながら
ふと周りを見渡して見ると
やはりここでも行き交う人々に
日本人の姿は見当たらない。

ウイグル帽をかぶる
白いあごひげのおじいさんや
スカーフで髪の毛を覆う
若い女性たちを見ても
横断幕に書いてある文字を見ても
ここは完全なイスラム圏です。




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