韓国の龍の日記

韓国の龍の日記

2009年01月29日
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カテゴリ: 読書
五木寛之という作家は、終戦の時に朝鮮は平壌から福岡に引き揚げ、小学校~高校を福岡で過ごし、青雲の志を抱いて上京、早稲田の露文科に入学。生活のために血を売る売血をし、大学生協ではコロッケパンのコロッケ抜きが常食。結局授業料が払えず抹籍処分(大学在籍の歴史を消すこと)になった。その後、作家として名声を確立したので、結局早稲田はちゃんと卒業したことになったのだったかは記憶が定かでない。

この作家の出世作は「青春の門」。僕は中学時代にこの筑豊編を読んで感動した。主人公の父、伊吹重蔵は筑豊の炭坑で働く。ある時炭坑の坑道が塞がってしまったか何かで、誰かが発破をもって塞がった部分を爆破しなければ閉じこめられた仲間を助けられない事態になり、重蔵は「バカも利口も命はひとつたい!」と言って単身発破をもって飛び込み自分の命を引き換えに仲間を助ける。

僕は同じ福岡の人間としてこの行動、気持ちがわかる。福岡の人間はのぼせもんだし、単純だし、気持ちが熱い。理屈ばかり言う東京もんには、「しぇからしか!(いちいちうるさい、黙っとれ、というニュアンス)」と一喝。心にストンと落ちれば四の五の言わないのが流儀。

その重蔵の一人息子の信介は早稲田大学に入学。僕も信介に憧れて早稲田に入って角帽を被りたい(当時映画「青春の門」では重蔵を緒方拳だったか、その妻を吉永小百合、信介を田中健、その幼馴染みの織江を大竹しのぶが演じ、そのスチール写真で田中健が角帽を被っていた)。それで、高校受験の時に超冒険して早稲田大学高等学院を受けるもあえなく敗退。結局、違う大学に行ったが、今でも肌が合うのは早稲田出身者で、慶應は何だか違う。

そんなことはどうでもいい。この本、いい。

五木寛之はある時休筆して今日との龍谷大学の聴講生となり仏教を学んだ。それ以来、自分の経験、歳を重ねての人間としての熟成を背骨に、変転極まりない現代に翻弄される人たちに向けて癒しの言葉をかけてくれている。

この本は胸に染み入る言葉が沢山出てくる。たとえば、
「ヨーロッパやアメリカ流の自然保護というのは、これ以上空気や水を汚して森を破壊すると最も大事な人間の生活がもたない、人間を守るために自然を濫費しないようにしようという考え方が根源になっています。
しかし、それではもうだめなのではないでしょうか。そうではなくて、草木の一本、一石、一草にも虫にも動物にも心があり、魂があり、仏性がある、森にも山にも命があると考える日本人の伝統的心性こそ、環境について考える上で根本的大転換をもたらす新しい思想として現代に大きな価値を持つのです。」



今、きついなあと感じている日本人には是非読んで欲しい。旧来の考え方にがんじがらめになって自分自身を苛んでいる愚を、やわらかく諭してくれるだろう。





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最終更新日  2009年01月30日 00時59分07秒
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