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ついに米国産牛肉の輸入が、全米肉牛生産者協会→米議会→ブッシュ政権→小泉政権という圧力連鎖によって再開されることになった。
2003年末に米国で牛海綿状脳症(BSE)が発生して、実質2年半にわたる米国産牛肉の輸入停止で日本の市場は大きく変わった。日本の牛肉市場の60%は輸入肉でその半分近くを米国産が占めていたが、今や輸入牛肉の89%がオーストラリア産。また牛肉市場自体が93.3万トン(02年度)から、魚や豚肉へのシフトによって、80万トン(05年度)へ14%縮小しており競争は激化している。米国産の輸入量回復には時間がかかるのは確実だ。
新潮社の雑誌「Foresight」8月号の記事によると、北米各地で生まれた子牛の多くは最終的にミシシッピー川流域の穀倉地帯に集められ、トウモロコシや大豆で肥育された後、大規模な肉処理場に集められて解体され、部位ごとに最適市場に向けて出荷されるということだ。 北米全体からトラックや貨車で牛を一地域に集約し、解体してから最も高く売れる地域に、最も高く売れる時期を選んで世界中に発送する。この「ロジスティックス」こそ、米国の畜産業の最大の強みで、冷蔵・冷凍施設、高速道路、大型トラック、港湾施設、ポイントごとの衛生管理、細分化された分業体制など、総合的なインフラが整備されないと成立しない。オーストラリアやブラジルが逆立ちしても真似できない。
英国でBSEが発生して以来、牛の生産地を特定できるトレーサビリティー(生産履歴の管理)体制の確立は世界的な潮流。日本でも01年秋のBSE国内発生を機に、牛肉のトレーサビリティーを法律で義務化した。しかし、この一頭ずつの履歴管理は米国の最強のビジネスモデルである「全米から集めて分解し部位ごとにまとめる」システムの見直しを意味する。一方オーストラリアではすでに牛一頭ずつにICタグを取り付けデータベース化する作業が進んでいる。
競争が激化する市場、安全・安心情報を求める消費者、この状況で米国産牛肉がどのように市場を奪還する戦略を立てるのだろうか。
個人的には昨年末の米国輸出業者の不手際もあり、米国産は安心して食べられないという気持ちがある。また、米国産牛肉がなくても特に不自由しなかったこともあり、すすんで米国産を買うつもりは無いが、レストランや焼肉店が知らない間に米国産を使っていたらちょっと困る。 (迅)
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