”ひょうたん島は「知」の宝庫だった”と中山千夏さんが後に語っていたそうだ。※1
ひょうたん国が財政危機となり大統領ドン・ガバチョは通貨を切り替え「1ガバ、2ガバス、3ガバス」とした。
複数形に”s”が付くことを学んだ後で、学校で友人と大いに笑った。
そのガバチョの肖像画付きガバ紙幣は芋版印刷で無限に刷れる。それに対し博士が金本位制について説明するのもおかしい。中一では金本位制なんて知るはずもない。
大人になり古い映像やリメイクのビデオで、また文庫本の台本で当時気付かなかった仕掛けに次々と気付く。小学生だって十分面白いが、ある程度の教養が付くと「ひょうたん島」は俄然面白くなる。
例えば548回「火事」でデパートの屋上から飛び降りるシーンでは、「傘をば”ユンデ”に構え」、「ユンデ」が「弓手」で左手の事だなんて子供にわかるはずがない。829回辺りに登場するドコンジョ婆さん、モナリザのモデルとされる
”デル・ジョコンド”のアナグラムと気付いた人がどれだけいるだろうか。海賊ガラクータが海賊バラクーダ(映画タイトル)から来ていると知ったのはつい最近の事。マリー・キャッチャーネットはマリー・アントワネットのもじりと気付くのは、中卒以上か?
もっと博識を窺わせるのは、252回、荷車が坂道を転げ落ちるシーン。博士がニュートンの運動方程式 α=dv/dt
まで持ち出し、加速度について云々する。井上さんか山元さん、高校物理の教科書を引っ張り出してわざわざ調べたのだろう。言っていることに間違いはないが、加速度と速度の関係を微分、積分でまことしやかに説明し、視聴者を煙に巻いた方がもっと面白かったのになあ・・・・
フランス語の発声法、歌舞伎、浄瑠璃、俳句、短歌、四字熟語、ことわざ何でもあり。今より著作権だのなんだのうるさくなかった時代だから、替え歌、パロディてんこ盛り。
井上さんと山元さんが「子供騙しの人形劇を作るのは止めよう」と考えてくれたおかげで、中学生には理解できないことが多かったにもかかわらず奥が深く面白かった。しかし、当時より今だからなお一層面白い。

前左より博士、サンデー先生、マリー・キャッチャーネット NHK放送画面より

ドコンジョ婆さん(鈴木光枝) ドコンジョ婆さんの倅、ギャングのネンネ(三代目 江戸屋猫八)
NHK放送画面より
※1 ”泣くのはいやだ、笑っちゃおう 「ひょうたん島」航海記” 武井博(元NHKディレクター)著 アルデスパブリッシング刊 2015
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