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kugutsushi

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2003.01.02
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カテゴリ: 本棚から
新しい年になったので、とりあえずなんか新年感じるような本を読んでみようと思った。で、 『ネクスト・ソサエティ-歴史が見たことのない未来がはじまる』 (P・F・ドラッカー, ダイヤモンド社, ISBN4-478-19045-3)を読んだ。さすがに、大御所だけあってよくまとまった本だった。ドラッカーは、1909年生まれなのだな。1929年の恐慌も経験しているし、2度の世界大戦も経験している。だからこそ冷静に歴史をとらえられるところがある。アメリカが非営利団体( NPO, Non Profit Organizaion) がさかんで、その他の国ではどうして NPO が坂にならないのかといえば、それは、「国民国家なるものの公僕がコミュニティなるものを破壊してしまったからである」なんていうのは、まっとうな考えだ。また、知識労働者を社会現象としてちゃんととらえなおしている。また、インターネットなんかについても、けっこう早い時代から認識していて「eコマースにおいてはわれわれが今日生産と読んでいるものは調達ということになる」なんて書いてある。これってよくよく考えてみると深い言葉なのだな。92才で健在で、これだけまとまった本が書けるというのは、ほんとうにすごいことだと思う。

ちなみに上のリンクはamazon.co.jp に張ってあるが、日経BP企画の書評はなんだかなぁと思う。 最後の分は「結果として」とせめて入れておかないと、もう、ぜんぜん違った意味になってしまうよ・・・と思う。特にアメリカの中に日本の官僚が無用だし、邪魔者だと考えるような人たちがいるが、現状としてそれに変わるエリート層がいないのであるから、官僚が指導者層となっているのは不可避であるし、それを急速に解体したら社会はガタガタになってしまうし、また、そう簡単に息の根を止められるようなものでもないので、単純な官僚排斥などは間違っているといっているだけなのではないか。積極的に官僚にリーダーシップをとれなんて書かれていない。むしろ、失敗してばかりしてきたと書かれている。何もしないことが結果としてうまくいったように見えるパターンもあるが、それは単に結果論としていっているだけだし。官僚に任せて日本が進めば明るい未来が待っているなんて一言も書かれていない。むしろ、これはしょうがない。不可避であると言っているのだろう。でなければ、最後の章でわざわざ NPO についてまたまとめるようなことはしないはずではないか。

一番最後の章「第4章 NPOが都市コミュニティをもたらす」を読んでいて、ふと思った。まず、「都市社会の文明化が、あらゆる国、特にアメリカ、イギリス、日本などの先進国にとって最重要課題となる」という点はもっともなことだ。田舎社会というものは、牧歌的でなんだかよいもののように思える半面、そこでのコミュニティーは、「強制的かつ束縛的」なものであったし「侵害的」なものでもあったからこそ田舎の人が都市に出たがったという面をとらえている。単に経済的問題だけでなく、社会現象として捉えると、そういう見方ができると思う。都市社会は魅力的ではあるけれども、「匿名の社会」で無法につながる側面がある。そこには、コミュニティが欠如している。コミュニティが欠如しているからこそ、新しい芸術家や学者のしあがることも可能だと。で、こういう記述を読んでいると、2ちゃんねるが頭に浮かんでくる。2ちゃんねるのようなものは、日本のインターネットの都市、歌舞伎町のようなところなのだなぁと。

ドラッカーの本を読んでいて、それほど新鮮に感じることはなかったのだが(違和感はなく、基本的に正しい思考だなぁと思った)、逆に言えば、92才の老人の思考から踏み出た考えをそれほど持たない自分もふがいないと思った。しょうがないので NPO が結局、そのコミュニティとしての役割を果たせずに、数十年後には、より自分の好みに合った集団を形成すべく住居の移動が始まるとでもしておくことにしよう。つまり、現在は仕事によって住処がある程度限定されているが、好みによって住処の比較的自由な移動が指向されるようになる。より、緊密な共同体を目指して。ところが、そこには、束縛が生じ、新たな都市の創生へとつながっていく。これは、ネクストではなくて、その次の次の段階の社会だ。すでに、その動きは少しずつでてきているが、まあ、大勢となるのは先の先のお話だ。いずれはこうなるという話は、「いつ」というのが特定できない限りは、たわごとに過ぎない。当然に見えるようなことも、ちゃんと時代に即した思考をするのは案外難しいことなのだ。人形のロボットがやがては、人間社会の中に溶け込んでいく時代が来るのはまあ確実なことだろうが、それが「いつ」であるかを正確に予想し、その社会を的確に記述し、その上で的確な発言をするのは難しい。なんにせよ、ドラッカーの本なんかは、新しく感じなかったとしても、今、的確に書かれているところが偉いんだと思う。老人パワーはあなどれないと思う。





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Last updated  2006.09.14 00:02:27コメント(0) | コメントを書く


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