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2010年10月02日
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読んだのはもう3週間ほど前だが、今更ながらレビューを。

映画のほうはずいぶん脚色されていると聞いていたので、どこがどう違うのか楽しみにして読んでいたのだが、なんというか、やはり原作はすごいなぁ。
イルミナティを始めとした秘密結社に関する知識や宗教美術に関する説明はもちろんのこと、反物質の科学的考証までもが行われている。
映画ではこれらの説明は随分と簡単に済まされ、ほとんどなかったに等しい。
これにより、映画では殺人事件というスリリングな事象自体が焦点となっていたのに対し、原作では殺人事件はあくまで宗教と科学の対立という問題から派生して起こった悲劇だった、ということが強調された。
(もちろん、原作でも娯楽部分の大半はこの殺人事件ではあるのだが。)

筆者がおそらく一番描きたかったのは「天使と悪魔」という題と同じく、対になる存在である「宗教と科学」であろう。
しかし、この長く対立していた二つの存在は、ラストでは既に融合し始めていたことが示唆される。
ネタバレになってしまうが、それを象徴するものが前ローマ教皇の清らかな体のままでの創造(処女懐胎=人工授精)である。

単なるサスペンスではなく、こんなに深い話だったのかと感心したのだ。
しかもエンターテイメントとしても、これを発端とする犯人の動揺も非常に興味深い。

犯人は全てがよかれ、と思って、神の代わりに殺人を行っていた。
しかしこの事実により、それが実は間違いだったのではないか、という葛藤がそこに生じる。
この葛藤こそが神々しい死へと犯人を駆り立てる。
単に犯人だとばれたから自殺した映画版とは大きな違いだ。

また別に、実は犯人は「宗教の祭壇」にかけられた被害者だったのではないか、という疑惑が浮上する。
もっと分かりやすくいうと、犯人は宗教の犠牲になったといえるのではないだろうか、という疑惑である。
宗教という思想に囚われていたせいで大切な人を殺し、そして罪もない人々も死の穴へ突き落してしまった。
そんな風に思えるのである。

ベスト・セラーになるのも納得の一作だった。





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最終更新日  2010年10月02日 14時18分05秒
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