昼下がりの迷宮~

 昼下がりの迷宮~

2006.10.27
XML
アイスクリームに目がない、とくにバニラが大好き!というあなたが、偶然クーポン券を手に入れたとします。
ハーゲンダッツの売り場で5カップ、好きなものをプレゼント!
全部バニラにします?ストロベリーも捨てがたいし、新発売のアフォガードも美味しそうよ。

例えばの話ですけどね ( ̄¬ ̄)

私はやっぱり、色々な味のものを選んでしまうと思います。

なんて話をしたのも、
5つのフレーバーのアイスクリームを楽しんだ・・・読み終えてそんな気がした短編集だったので。



林真紅郎と五つの謎 林真紅郎と五つの謎





(先日の、カリスマ書店員さんに見つけてもらった本です。)



主人公の真紅郎が姪の仁美ちゃんに付き添ってアイドルグループのコンサートに行った席で出くわす密室殺人。

「ひいらぎ駅の怪事件」
風雨の強いある夕方、たたずむ人を見わたせるほどの混み具合の駅で、若い女の子のカメラが置いてあった手提げから消えた。その中の誰かが盗ったのか?

「陽炎のように」
学生時代の友人が妻を亡くしたという。夏の盛り、級友と葬儀に出かけた真紅郎は不思議な体験をする。死者の魂が身の回りをさまよっているのか? 彼女はひょっとして、春先から話題になっていた未解決の「手切り魔」事件と関係があったのか?

「過去から来た信号」
幼馴染に偶然再会した真紅郎。彼から、自分が小学生の頃、暗号づくりに夢中だったことを聞かされる。そういえば、第3の仮名五十音を作った記憶がある。彼が見せてくれたのは昔自分がその仮名で書いた年賀状。五十音表はみつからない・・・そこには何が書かれているのか?

「雪とボウガンのパズル」
雪の朝、散歩の途中に出会った知り合いの学生と、彼が住むアパートの前まで来たところ、庭にボウガンで射られた死体が。


真紅郎は、その歳まだ35歳。かつて法医学者をしていたのですが、愛妻の死をきっかけに退職して現在無職。
おばさんとしては、もったいない!と思いながらも、この子、それまで一直線に真理の追究のみを求めていたなんて、少し鬱になって人生の小休止なのかしら、とも思えます。


その名も「シンクロ推理」といいます。


二つの波がシンクロする・・・シンクロする・・・そして重なった!


こんな具合です。
最初に読んだときには「は?」と思いました(笑)
アニメの探偵が見得を切るシーンそのもののようで。
ちょっと馴染めない感があったのですが、5編読むうちに慣れてしまいました(爆)


むしろ、その場に居合わせながらただ状況から推理する、という安楽椅子探偵に近いものがあります。
しかも、決定的に他の探偵とは違うのが、「彼が推理しなかったとしても、事件は変わらず解決する?」という結末になっている話が多いこと。
また、中にはその推理がてんで的を外れていた・・・というものもあるのです。

ただ、彼が推理をすることで、思いもよらない<別の>解決を生むこともあるのでした。

1篇目では、その推理のクライマックスシーンのキメ描写(↑)といい、それから(細かな話ですが)文中の句読点のうち方といい、正直なところちょっと読みにくい印象でした。
読んでいてどう呼吸を合わせればいいのか戸惑う感があったのです。
ところが、その解決編が予想外の物であったために、楽しくなってしまったというところです。
いつの間にか句読点のリズムも気にならなくなっており・・・(これはパラパラと見返してみても、1篇目に限って妙に句点が多いようですね)

一番面白いと思ったのは、暗号モノの4篇目。
「ナンクロ」というパズルをご存知でしょうか。クロスワードと同じような表があり、全てのマスに番号が振られています。一つの番号に一つの文字が対応しています。
クロスワードと違ってタテヨコのキーはなく、この番号の繰り返しから、文字を当ててゆくパズルです。楽しいのよ。
それと同じような推理行程で話が進みます。つい、なるほど~とつられて行くと・・・おっとっと、なのですが、ハッピーな結末が用意されているし、最後に添えられた「見つけられた五十音表」で年賀状の文章を読んでみると、笑わずにはいられないというオマケつきです。

最も探偵小説ぽいのは5篇目でしょうか。
バニラ味、本格ものです。
結論が、少しばかりやりきれない余韻をもたらします。

ではオススメのアフォガード味がどれか、というと、3篇目かもしれません。
不気味な猟奇殺人の推理と並行して、夏の日の昼下がり、ふっと背筋に冷や汗が伝うような体験・・・それが・・・
本格的な安楽椅子探偵の事件推理と並行して、日常の謎系の推理も楽しめる、2度美味しい作品でした。


どの話も「たまたま、こうなったまでのこと」といったタッチになっており、(くどいようですが)キメのシーンが漫画的であるのとも相俟って、軽く読むことのできる短編集でした。
それでも味わいはなかなかに本格です。

続きが読んでみたいものですが、そのときには真紅郎に復職していてもらいたい気がします。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006.10.27 21:01:07
コメント(6) | コメントを書く
[本の話(日本の作家・あ行)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

あむあむ108

あむあむ108

カレンダー

コメント新着

http://buycialisky.com/@ Re:不気味なうさぎ…(01/26) pharmacy store viagra cialis spamcan i …
http://buycialisky.com/@ Re:伊坂幸太郎 『ゴールデン・スランバー』(07/24) viagra st cialis st viagra cialisg post…
http://buycialisky.com/@ Re:成人式でした(01/12) cialis britainlegitimate pharmacy that …
http://buycialisky.com/@ Re:自動車GO!!(10/07) buy viagra cialis online canadawhat is …
http://buycialisky.com/@ Re:近藤史恵 『ヴァン・ショーをあなたに』(07/31) fda american generic cialiscialis salec…

お気に入りブログ

魔女の隠れ家 たばさ6992さん
ミステリの部屋 samiadoさん
未定の予定~ラビ的… みっつ君さん
読書とジャンプ むらきかずはさん
~Que Sera… ぱんころ1967さん
ちょっと休憩 ときあさぎさん

バックナンバー

2026.08
2026.07
2026.06
2026.05
2026.04

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: