2013.07.04
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外は雨。

彼が雨の中、大変だろうから・・・と病院まで送迎してくれました。


病室へ入ると梅雨の湿気を含んだ重たい空気。

無機質なベッドの上で一回り小さくなった叔母が横たわっていました。

叔母の顔色は紙のように白く、ガリガリに痩せていました。

一気におばあちゃんみたいになっていて一瞬、驚きました。

父が「○○(私)と来たよ。」と叔母に声を掛けました。

叔母は何度も礼を言って喜んでくれましたが(気を使ってのことかもしれない)

私が叔母のために色々と買い込んでいったもの(衛生用品とか基礎化粧品・・・

衣類、飲料水など)はすべて丁重に断られました。

叔母はずいぶん昔のことも覚えてくれていました。

私が子供のとき、苺を持って訪ねてきてくれたこととか細かい

エピソードを懐かしそうに口にしていました。

叔母は終始天井を仰いで話しており、私たちのシルエットすら

分かっていないようでした。

叔母の目の病気は「網膜色素変性症」という難病で治療方法は

ないとのことでした。「ノーベル賞の山中教授が研究している

IPS細胞を使った手術が出来るようになれば治るかもしれないと

お医者さんに言われたけどその手術が実際に行われる頃には

私はもうこの世には居ないわ。」そう言って叔母は弱々しく笑った。

父も私も言葉がありませんでした。

退院は週明けになるそうです。思っていたよりずっと早い。

大きな病院ですから早く退院させてベッドを空けたいのは

分かるのですが体力もない弱者を手術が終わって僅か10日ほどで

退院させるのは如何なものかと思いました。

「俺たちも色々考えているんだけど・・・退院後のことなんだが・・・。」

父が言葉を選びつつ叔母に尋ねました。

聞けばずいぶん以前から自宅へヘルパーさんが来てくれて

身の回りのことは全てやってもらっているそうです。

だから私は今まで通りあのアパートに住む、と叔母。

施設の「し」の字も出ずに話は終わってしまいました。

見えないのでトイレにも何度も行かなくて済むように大好きな

コーヒーは午前中1杯だけにしているしお風呂も危ないので

ヘルパーさんが来てくれるときだけにしているそう。

持病で通院するときはヘルパーさんの付き添いで。

「ヘルパーさんはとても良くしてくださるのでお蔭でさまで

日々の生活を何とか送れているのよ。

テレビは見えないけど音だけ聞いて天気予報を把握している・・・

大好きな小説も もう読めないし読めもしないのに

まだ新聞を取ってるのよ。可笑しいでしょ?」

と叔母はまた弱々しく笑った。


「今日は来てくれて本当にありがとう。」

叔母は最後に私と父の手を握りました。

父も叔父も施設を検討していたのでどういう話に行きつくか

分かりませんが元の生活に戻ってみて無理だったら考えるのでしょうか。

(私には叔母があの状態で元の生活に戻れるとは到底思えませんが。)

とにかく父と叔母には到底埋められない距離があり、

(埋められないというより最早、他人といった感じでした。)

叔母も父より叔父(父の弟)を頼っているので父もそのことについて

積極的に関与したくはないような感じでした。


両手に持っていった紙袋を私がそのまま持って帰って

きたので彼は「なんで?」と私に尋ねました。

「丁重にお断りされた」と私が苦笑いすると

「見舞いのし甲斐がないな・・・普通、そういうのって

使わなくてもありがとう、って受け取るんじゃないの?

信じられないな。」

ってポツリと言われてしまいました。残念ですが要らないと云われる

ものは仕方ないです。


見舞いを終えていろんなことを考えさせられました。

人はいつかは必ず天に召されます。

私は人の手を煩わせず迷惑をかけずに旅立ちたい。。。。

そう感じました。(皆、そう願うのでしょうけど。)

そして「孤独」ってやっぱり哀しいです。







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Last updated  2013.07.05 00:05:24
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