手術には7時間以上を要した。
それはあまりにも長い時間で
途中でアクシデントが起こって死んだのではないかと
不安で不安で仕方なかった。
気が遠くなりかけて陽が傾きかけたころ
看護師が控室へ「ご家族の方は手術へお入りください」
と声をかけに来た。
瞬間、ああ・・・生きていてくれた。
この人が生きていてくれるだけで幸せだなと思った。
切除された臓器も見た。
そこには憎たらしいガン細胞の噴火口が居座っていた。
無機質なトレーに載せられたそれを私は愛おしく思った。
さようなら、主人の大切な体の一部。
さっきまで主人の体内にあった血の通った温かい臓器。
私はこの血生臭くて愛しい匂いを・・・
グロテスクで愛しい主人の一部を
死ぬまで忘れないだろう。
主人はうわごとのようにありがとう、愛してると言った。
退院後にリンパ節転移がないことだけを祈る。
それだけ。
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