泣いたあと

泣いたあと

2006/04/12
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「今日は群青日和だね」
空を見上げながら彼女は言った。
その顔は何かを悟っている様で、得体の知れぬ恐怖を与えるほど穏やかだった。

「群青日和って何?」と僕は訊いた。

彼女は黙って空を見上げていた。
僕も見上げてみた。

空は嘘の様に蒼く、澄んでいた。

そして彼女が口を開いた。

「嘘っぽい。」

「でもこれが現実なんだよ。」

「ねぇ知ってる?
 世界は全て廻り続けてるんだよ。
 これは絶対に変わらないし、終わらないの。
 私、まだ怖いの。この事が。凄く。」

彼女の穏やかだった顔が、少しだけ哀しみを纏った。

「怖い?」

僕も怖かった。
今、隣に居る彼女が発する言葉や空気は
僕の理解を簡単に超えてしまっていて
“もう2度と手の届かない所に行ってしまうんじゃないか”
そう感じさせた。

あまりの恐怖に僕は彼女を抱き締めた。

「何処にも行かないで」

そう言った僕の声は酷く情けなかった。

「死んでも傍に居てあげる」

そう言って彼女は笑った。
酷く優しい笑顔だった。


その夜。
部屋で勉強をしてると1通のメールが来た。
彼女からだった。

「死んでも傍に居るから。」

僕は少し考え、返信した。

「ありがとう」

僕が心の底から思った言葉だった。

その後、彼女から返事は来なかった。


次の日の朝。
まだ6時だと言うのに携帯に電話が入った。

彼女の母からだった。
彼女の母は嗚咽していた。
そして言った

「あの子が自殺しました」

それを僕に伝えると
電話は切れた。

僕はベッドの上で放心した。

そして再び携帯が鳴った。
そのメロディーは彼女からを示すものだった。
僕は直ぐにメールを確認した。

「あなたがお馬鹿さんで本当に良かった。
 大好きだったよ。幸せだった。
 本当にありがとう。」

その着信日時は昨日を示していた。

彼女が死んだ
全てSOSだった
僕はそれに気付けなかった

彼女が死んだ





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Last updated  2006/04/12 05:23:07 PM


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