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雨里2006さん 先日、年末年始で酷使するHDD録画のため、
ハードディスクを整理しようと映画をDVDに移動してまして、
そしたらついつい見ちゃってですね、
目が離せなくなってしまったんで、結局見てしまいました。
誰も守ってくれない
(2009年フジテレビほか)
監督・脚本:君塚良一
あらすじ
刑事の勝浦( 佐藤浩市
)には娘と妻がいるが、
過去の事件のトラウマが原因で別居、
離婚の危機に瀕していた。 娘が両親を仲直りさせようと旅行を計画、
勝浦も休暇を申請し、娘へのプレゼントを購入していた。
そんなとき、小学生の姉妹が刺殺される事件が発生し、
捜査線上に18歳の少年が浮上する。 勝浦と同僚の三島( 松田龍平
)が
上司の坂本( 佐野史郎
)から命じられたのは、事件の容疑者家族の保護。
勝浦は休暇申請を反故にされ、渋々この任務に着く。
その頃、容疑者の少年の自宅には、大勢の取材陣や野次馬が押し寄せ、
騒然としていた。 坂本、勝浦、三島が現場に到着したとき、
少年は逮捕・連行される。 残された家族は、混乱したまま
離婚・再婚の手続きをして姓を変え、別々の場所へと保護され、
事情聴取を受けることになる。
中学生である妹の沙織( 志田未来
)には就学義務の免除がなされ、
勝浦と三島に保護され車で家を脱出する。
沙織に向けて容赦なく焚かれるフラッシュ。
「一生追いかけてくる」という言葉の意味を、
このとき沙織はまだ理解できていなかった。
勝浦と三島は、執拗に追ってくる報道車をようやく振り切って、
用意されたホテルに到着するが、沙織の事情聴取を始める間もなく
居場所をマスコミにつきとめられ、再び車を走らせることになる。
三島は容疑者宅に呼び戻されて家宅捜索に加わることを命じられ、
行くあてのなくなった勝浦はしかたなく沙織を自分のアパートに連れてくる。
携帯電話を家に忘れてきたという沙織のために勝浦が容疑者宅に戻ると、
家宅捜索でごったがえす中で、容疑者の母は茫然としていた。
沙織の携帯を見つけた勝浦が戻ろうとした時、
母がトイレから出てこないことに捜査員が気付いた。
ドアをこじ開けると、母は家族写真を手に、中で自殺を図っていた。
勝浦が必死に蘇生させようとしたが、もはや息を吹き返すことはなかった。
沙織は混乱の中で、母をも失うことになったのである。
アパートに戻った勝浦は、母の自殺を沙織にどう伝えるか迷う。
呼んでおいた精神科医の尾上( 木村佳乃
)のアドバイスに従い、
彼女の家に移動してから伝えようとしたが、
沙織はボーイフレンドの達郎( 冨浦智嗣
)からの電話で先に事実を知り、
ショックを受ける。さらには、記者の梅本( 佐々木蔵之介
)も、
尾上の自宅を突きとめ、「犯罪者の家族は迫害されて当然」と勝浦に迫る。
過去の事件の際に名の挙がった勝浦を、梅本は覚えていたのである。
何も語らない容疑者の代わりに沙織から供述を得て、
自分の出世の材料にしようと考えた坂本は、
引き続きの保護を勝浦に命じるのだった。
その頃、サイバー上では「容疑者とその家族を糾弾せよ」という掛け声のもと、
個人情報を得て関係者をさらし者にしようとする動きが活発化していた。
行く当ての尽きた勝浦は、東京を出ると、家族と共に宿泊するはずだった、
西伊豆のペンションへとたどり着く。
ペンション経営者の本庄夫婦( 柳葉敏郎・石田ゆり子
)は、
勝浦の手が震えるトラウマの原因となった事件の、被害者家族であった。
子どもを守れなかった勝浦に「警察を恨んでも、あなたを恨んではいない」と
ほほ笑んで見せる本庄夫婦。 しかし沙織が犯罪者家族であることを知り、
自分の子供の事件とダブらせた本庄は、複雑な思いを勝浦にぶつける。
サイバー上はマツリ状態で、ネット掲示板に容疑者や沙織の
名前、写真、住所が公開されただけでなく、勝浦の家族にまで危険が及んでいた。
さらには隠れ家のペンションの住所まで公開された結果、
ペンションの窓に投石を受ける。
ペンションのことを教えたのは、沙織本人だった。
なぜこんなことをするのかと戸惑う勝浦と、
「刑事さんも困ればいいんだ!」と叫ぶ沙織。
夜になると、住所を見た達郎がペンションにやってきた。
この時ようやく沙織は笑顔を見せ、久しぶりにくつろいだ様子を見せる。
しかし勝浦たちの目を盗んで
沙織をペンションから連れ出した達郎は、
沙織をネット投稿者たちに売り渡していたのだった。
自分の映像がネット上に流れていることに気づいていない沙織を、
勝浦は救い出した。沙織をかばって激しく殴られた勝浦に、
沙織は、事件当日に見たことを話し始めるのだった・・・。
コワイ、なんとも怖いです。
どーにも嫌な気持ちが残りました。
冒頭の、兄が幼い姉妹を殺害した容疑で警察が逮捕状を手に
住宅街の家にやってきて、容疑者の息子を取り押さえ、
戸惑う家族の前で離婚届、婚姻届、就学免除の手続きを
ただただ淡々と執り行う、というのもすごく驚いたし
その場面も台詞とか音が入らずに、少年合唱団リベラの歌だけをバックに
その様子が本当に淡々と綴られるんですね。
当然、被害者の家族は想像を絶する苦痛を負うわけですが、
加害者の家族も、その真実がよくわからないままに、苗字を変えて
社会で生きていくためにその場で離婚届⇒妻の旧姓で再び入籍、という
ことをしていたなんでわからなかったことだし、それをすぐに
事務的に手続きしてしまうのも驚いた。
手持ちカメラを多用したドキュメンタリータッチの演出が、
なんともリアルな映像に見えてきます。
最初は、どこからかぎつけるのか、加害者宅に押し寄せ、
取材合戦を繰り広げるマスコミが怖い、と思ったけど、
本当に怖いのは、、、、、匿名をいいことに
誹謗中傷するネット社会。
勝浦の過去の事件に気づき、勝浦が沙織を連れて逃げ込んだ尾上宅を
いち早く突き止めた記者の梅本なのに、それ以上に
歯止めの利かない、個人情報を流し続けるネット社会が、本当に怖い。
それに、簡単に一応付き合ってる相手である沙織を
ネットの悪質な利用者に売り渡して、カメラを仕掛けたホテルの一室に
置き去りにする達郎も、めちゃ怖い。
普通の学生なのに、金がもらえれば知り合いも売る、
自分がサイトのたきつけ役になる、、、、
何も信じられなくなります。
結局、身を挺して自分を守ってくれた勝浦に
、
自分が見た兄の姿を語り始める沙織でしたが、
一番怖かったのは、自分を抑えられずに幼い姉妹を殺害した兄でも、
執拗に沙織を追って記事にしようとする記者やマスコミでもなく、
友達だと思っていた自分の周りの人間や
なんの責任もなく勝手に情報を公開し、糾弾せよ、とネット上で叫ぶ
身勝手なユーザ、でした・・・・
そしてそして、もっと怖いのは、ラスト近く、
梅本が気づくとネット上の沙織たちの話題はすっかり消えうせ、
変わりにまたも凶悪犯罪の容疑者ととの家族が
マツリの中心にされていたという、、、、、、こわ~~・・・・
第32回モントリオール世界映画祭最優秀脚本賞受賞作品。
記者役の佐々木蔵之介や、ペンションに取り調べに来る刑事の
稲垣( 津田寛治
)とか、勝浦のかかりつけ精神科医尾上=木村佳乃が、
なんか中途半端というか、イマイチもったいない出演だったなぁ~、、、、
という感じがありますが、
ピアスに柄スーツ、でも頼れる部下の三島=松田龍平とか、
大きな瞳が戸惑いを隠せない沙織=志田未来、とか、
結構いい感じでした。
この映画は、最初から私には重いテーマだなぁ~、、、、と思っていたので
公開前日にフジテレビ系で、映画の4ヶ月前の事件を描いた
スペシャルドラマ「誰も守れない」
が放送されてますが、見てません・・・・
一応、沙織が少し現状を理解し、なんとか残された家族のために
強く生き抜いていって欲しい、と希望を持たせるラスト、
それと勝浦もなんとか家族再生のため頑張って欲しい、と応援したくなる
そんなラストになっていまして、ちょっとだけ、、、、うるっともしました。
キャストは豪華だし、やっぱり佐藤浩市はいい!ので
未見のかたは一度どうぞ・・・・