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雨里2006さんでは、続きです。
信さん・炭坑町のセレナーデ
(2010年「信さん・炭坑町のセレナーデ」製作委員会)
監督:平山秀幸
脚本:鄭義信
原作:辻内智貴
さて、映画の後半、半分強は、守や信一たちが大きくなってから
美智代と守が島を離れるまで・・・を描いています。
福岡に越してきて7年、昭和45年。
大きくなった守( 池松壮亮
)最初のシーンは、
朝歯を磨きながら外に出てきて美智代( 小雪
)と話すところから。
かーちゃん、はよぉ
大人になりんしゃい、、、
なんて
生意気なことを言うようになった、高校生になった守。
一方信一( 石田卓也
)は、炭鉱夫として働いています。
美智代・・・あまり老けてないぞ
相変わらず仲のいいヨンナム( 柄本時生
)と
島の外の学校へ通っているようで、その船では信一の妹美代( 金澤美穂
)とも
顔を合わせるんだけど、年頃の二人、話すのもケンカ口調になっちゃいます。
美代の態度に勝手に腹立てる守がオカシイ で、美代が気になるヨンナムと
それを見て実は自分も美代のことが気になっている守・・・
なんか最近見てきた作品の中で、一番等身大で硬派で青臭い感じだなー
表情一つ一つがいいです。
ヨンナムもいいんだよね・・・柄本時生くんも、いくつか作品みてるけど
ホントなんていうか雰囲気とか不器用な感じとか素朴な感じとか、、、、
これも
好きなシーンのひとつ。
辻内家で雑談した後に3人で自転車で走っているシーン。
その雑談シーンも好きなんですけどね~、
暑かー・・・クーラー欲しかーーー・・・
って扇風機の前でぐったりの守とか
濃い目のカルピスに感激するヨンナムとか・・・
美代は、美智代が信一のことを恋人のような言い方をするのが気に食わなく、
それを守が冷やかすわけね、 妬きよるんか、ガキッ!
て。
でムッとした美代は、 毛もちゃんと生えちょらんくせに・・・
なんて
言っちゃうもんだからブチッと切れた守は、自転車飛び降りで、
今みせちゃるっ!!!
ってなるわけだ。
実は守に想いを寄せてる美代は
当然これには頭にきて、、、、、 死んでしまえっ!ばかちんっ!!!
・・・と走り去るんだね。
残された守も、
太かもん拝んでけ、く る
あっっ
と、えげつないコトバを浴びせるんだな・・・ほんとばかちんだね、守は・・・
太かもん、って・・・ そういうセリフ言う役も、なんか新鮮だった~
ヨンナムと仲のいいシーンは微笑ましいし。
後日、小学校時代からヨンナムをいじめている面々が
またもヨンナムをいじめているのを知り、なんでやり返さないのか、と怒る守。
春になったら大阪に行く、それまでは親父の言いつけを守って
日本人には手を出さない、と言うわけだ。
なんで言いつけ守るのかわからない、と一人納得がいかず怒る守だけど、
お前にはわからんばい・・・・
と言われてしまい、ふて腐れる。
ホント、少年っぽくて、熱くて・・・なんか守見てると、可愛くてニヤけます。
美代にもばかちん呼ばわりされ、
ヨンナムにも子ども扱いされ、そしていつまでも美智代に
自分の気持ちをきちんと伝えない信一にもイライラする守。
信一にも子ども扱いされて、これまたムッとする・・・結構しかめっ面が多いな~
反抗期ですな
無事に高校合格した美代が信一と辻内家に
やってきた時も、信一に対してどうにも素直になれず、
また美代の気持ちに薄々感づいたのに・・・
ヨンナムが美代のことを好きらしい、と
思わず言ってしまい・・・美代は寂しそうに笑って無言で自転車で去っちゃうわけ。
そして後悔してのた打ち回る守・・・
ホント不器用な九州男児?本当は東京育ちのはずなのに、
中身は完全に不器用な男ですから・・・
少しして、ヨンナムが大阪へ引っ越していく日。
あんなに父親の言いつけだ、と言っていたのに、それまで自分をいじめていた
グループ全員をめっためたにボコっていて(実はすごく強かった?)
あんなに言いつけだ、って言っていたのに、結局やり返して思い残すことはない、
というヨンナムに、なんか釈然としない守は、
笑顔で去っていくヨンナムを黙って見送るしかないんだね・・・
泣きそうな守と、笑顔のまま去るヨンナム、このシーンも切なく印象的です。
炭鉱の事故で、東京行きを目前に
命を落としてしまった信一の亡骸を見つめるのも・・・
そして信一が亡くなったことでこの地を去っていった美代とはつ( 大竹しのぶ
)、
結局、守が一番たくさんの人を見送っていったことになりました。
炭鉱が閉山し、炭住から人が離れ、
更に3年後。社会人となった守は、とうとう東京暮らしをするため
美智代と福岡を離れることに。すっかり大人な雰囲気ですが、
美智代に対してはいつまでもえらそうなことを言う息子で、
美智代もそれにムッとしたりして・・・年月を経ても、親子は親子なんだなーって・・・
島を見送る美智代の横で、かつて信一たちと
三角ベースをしたときのボールを取り出しじっと見つめ・・・
思い切り島に向かって投げました。
(美しい遠投フォームだ・・・)
去り行く島を見つめる美智代と守。
信さん・・・ばってん、今日も空は青かばい・・・
後半は、辻内親子、中岡兄妹、そしてヨンナムが中心の物語ですが
出番が少ないものの、やはり脇をガッチリ固めていた
光石研
と大竹しのぶ夫婦とか、 中尾ミエ、岸部一徳
とか 村上淳
とか・・・
中尾ミエさんもネイティブスピーカーだけあって、めちゃカッコイイんですよ、
話し方も佇まいも。みんながいなくなった街に、ここで骨をうずめると言い切る。
九州の女の人だね、って感じで・・・
他にも最初わからなかったけど、 江口のりこ
も出てます。
キャスト、実はかなり濃いんですよねー。
映画自体は派手なものでは無いかもしれませんが、
大々的に番宣して公開当初は興行成績上位でも、
実際見たら、なんかなあ・・・って作品も多い中、
こういうのは好きですね・・・余韻が残るといいますか。
池松率も高いのでなかなかお薦めです。