FFいれぶんのへたれな小説とか

FFいれぶんのへたれな小説とか

January 20, 2005
XML
カテゴリ: 七番目の魔法塔
 広大なウィンダスの国を一歩出ると、そこにはサルタバルタと呼ばれる平原が広がっている。そこには駆け出しの冒険者らが、日夜明日の大冒険を夢見てその腕を磨いているのだが、中にはそうでない者もいる。
「今日も~サルタはいい天気~♪チョコも~陽気に土を掘る~♪」
 移動用のチョコボにまたがり、自慢の歌を陽気に歌うのはトコ。吟遊詩人であり、熟練の冒険者でもある彼女だが、その懐はいつも寂しい。
「掘っても~出るのは~変な草~♪たまにはお金を~掘り当てて~♪」
 歌を聴くのはいつもの相棒のチョコボ。定職がない彼女ら冒険者は、日がな金策に追われることも少なくなく、彼女のように鉱石などを掘り当てて冒険の軍資金を稼いでいる。
 サルタバルタの空は青く、どこまでも広がる。のどかな風景。元来あまり戦いを好まない彼女にとっては、懐がちょっぴり重くなることよりも、ただのんびりとこの美しい世界を散策することの方が重要なのだった。
「ふぅ。今日はモコ草と、ラワン原木と・・・。まぁ、しばらく必要なくらい分くらいは掘れたかな」
 彼女の意思を汲み取るように、チョコボはゆっくりと歩を進める。
「あ、あの辺はまだ掘ってなかったな。ちょっと行ってみようかしら」

 サルタバルタには、タルタル族がホルトト遺跡と呼んでいる塔が幾つか点在している。しかしそれらの塔は一説によるとタルタル族がミンダルシア大陸に渡る前、栄えていたとされる古代の民が建設したのではないかとされ、未だ謎を多く含んでいる。一般にそれらの塔は冒険者達にも立ち入りが許可されており、またウィンダス連邦を統括する天の塔や高名な博士達により調査を依頼されることもある。
「あれ?でもこんな所に塔なんてあったかしら?」
 その塔は地図には載っていない塔だった。しかし、普段から方向感覚という物が抜け落ちている彼女が地図を開くということは滅多になく、ただの記憶違いだろうと、特に気にも留めずその塔へと近づいていった。
「さぁチョコ~。今日はココが最後。いいもの掘り当ててね~」
 好物であるギザールの野菜を与えられたチョコボは、せっせとその大きな口ばしで地面を掘る。一方トコは何を掘り当てるかというより、空を流れる雲がアップルパイに似ているな、なんて事を考えながら、その行方をぼんやり眺めていた。

 やがてその雲は形を変え、最早アップルパイなど連想できないくらいにその形を変えた頃。
「クェ~」
 チョコボが小さく泣き声を上げた。ぼんやりと次の雲を探していたトコは、その声でチョコボ堀りをしていたのだと思い出した。
「ん?何かいいもの掘り当てた~?」
 一般のタルタル族と同じく、小さな体をしている彼女は、手綱にぶら下がるようにしてチョコボの掘り起こした地面を見た。そこには黒ずんだ何か固形物の先端のようなものが、その姿を覗かせていた。
「わわっ!もしかして黒鉄鉱!?」

「これ・・・クリスタル?」
 クリスタルとは現在ヴァナディールの至るところで使われているエネルギーの結晶体である。船を空に浮かべる事から、台所の火を起こすまで様々に利用されているが、総じてそれらは内に秘めたエネルギーがかもし出す輝きにより、美しく光っている。しかし掘り起こしたそれは、形こそクリスタルであったが、その輝きを失った黒ずんだものだった。
「ん~?何だろうこれ。博士達に見せたら何か分かるかな・・・?」
 鞄の中のギザールの野菜も尽き、何だかよく分からないが価値のありそうなものを手にした彼女は、意気揚々とウィンダスへと戻る道をチョコボに示した。
「黒い塊なんだろう~?ひょっとしたら~明日は私お金持ち~♪」

 地図にない魔法塔は、静かにその姿を夕闇の帳と共に薄れさせ、やがて霧散していった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  January 26, 2005 01:20:33 PM
コメント(0) | コメントを書く
[七番目の魔法塔] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: