FFいれぶんのへたれな小説とか

FFいれぶんのへたれな小説とか

January 29, 2005
XML
カテゴリ: 七番目の魔法塔
 冷え冷えとした空気が、空虚な部屋の中を吹き抜けていく。
 ダンジョンの中では時間間隔を保つことが出来ない。そしてそこが未踏の地であれば尚更だ。奥深くへと踏み込めばそれだけ疲弊し、集中力を保つことが難しくなる。
 遺跡などのダンジョンの罠や仕掛けは、主に一つの理由の元にある。中には冒険者の力を試すための試練や、最奥に隠された財宝を守るためのものなどもあるが、ヴァナディールのダンジョンは歴代の探検家や冒険者達に踏破されているものが多く、その多くは敵の進軍を阻む意味合いのものが多い。
 三国を中心とした人間の勢力と、それに敵対する獣人軍により、ヴァナディールは定期的に勢力図が書き換えられる。ウィンダスの喉元であるサルタバルタ地方が獣人軍の手に落ちることは滅多に無いが、表向きは友好関係を結んでいるヤグード軍が進軍の足掛かりとしてホルトト遺跡を長年狙っているように、ダンジョンは重要な拠点となっているのだ。
 七番目の魔法塔から続くこのホルトト遺跡に仕掛けられた罠の数々は、敵を撃退するためでは無く、明らかに殲滅を主眼に置いているようにヒトには思えてならなかった。最深部への道を分かり難くするのは分かるが、退路まで隠してしまうのは腑に落ちない。
 そして彼の不安を更に掻き立てるのは、徐々に増して行く気だるさだった。最初の大広間での戦闘後に気がついたのだが、この遺跡の中では魔力の消費が通常より大きい。しかもそれが回復することは無く、寧ろ徐々に蝕まれていくような不快感が広がっていく。そう、まるで何かに魔力を吸い取られているかのように―――
「おい、大丈夫か?」
 額に浮かぶ大粒の汗を見かねて、ルーツが顔を覗き込んでいた。はっと我に返り、慌てて汗を拭う。ここでパーティに不安を与えることはリーダーとしてしてはならない事だと、心の中で反芻する。
「―――当然だろう。ナイトたるもの、いかなる状況下においてもその力が損なわれることは無いさ」

「どうした?先陣が怖くなったのなら、僕が先行してやってもいいが」
 つい皮肉めいた台詞が口をつく。彼相手だといつもこうなのは悪い癖だなと思いながら、口の端をにやりとさせるルーツを見る。
「それだけ憎まれ口がたたけるなら問題ねぇな。ほら、どうやら本命のお出ましのようだぜ」
 そう顎で指した方向を見やると、そこには重厚な扉が静かに鎮座していた。明らかにこれまでとは違う重い空気が、まるで呪詛のように流れ出しているようだ。
 すぐ後ろでトコが息を呑むのが聞こえる。続いて、ツィンが武器を構える音。漏れ出す不気味な存在感が、緊張感を研ぎ覚ます。
「・・・それじゃ、いっちょ行きますか」
 四つの靴音が、空虚な部屋の中に木霊した後。
 重い扉の開いてゆくきしんだ音が、まるで何かの歌の始まりを告げるかのように、耳の奥まで響いていた。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  January 30, 2005 12:34:04 PM
コメント(0) | コメントを書く
[七番目の魔法塔] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: