FFいれぶんのへたれな小説とか

FFいれぶんのへたれな小説とか

February 8, 2005
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最近読んだ小説のレビューというか感想。

九月が永遠に続けば
著・沼田まほかる
出版 新潮社

穴太郎オススメ度 ★★★☆☆

■あらすじ■
 日常の中に突然ぽっかり空いた穴。主人公がはまったのはまさにそれだ。
 ゴミを出しに行ったまま、突然姿を消した息子。すがるように手がかりを探っていく中で、こみ上げる焦燥感と諦めにも似た喪失感。もつれた糸の端を手繰り寄せるように、彼女は分かれた夫など、息子に関わる人々を訪ね、そして彼らの周囲に蠢く"日常ではない何か"を見る。少しずつ描かれていく絵画のように、錯綜する数日間が描かれ、そして最後に彼女が見たものは・・・。

■作品紹介■

 第一印象としては、ホラーサスペンスとは違うジャンルの作品だというのが正直な感想だ。かといってミステリーではなく、幻想小説とも違う。カテゴライズが難しく、改めて考えるとやはりホラーサスペンスなのかなあと思ってしまった。
 文体はロジックであるが、内容と併せて考えると情緒的だ。主人公である中年女性、母でもあり女でもある彼女は論理的に思考を組み立てているようで、感情の揺らぎから、矛盾するような直感などが内面で混ざり、錯綜しながら自分の周囲の日常の裏側にある何かを感じ取っていく。それが非常にマッチしており、文章力と相まって一気に読ませるものがある。
 展開としては、数日間の狭い舞台で描かれる物語だ。しかし揺れる精神面が書かれており、想起させるような描写もさりげなく盛り込まれている。故に地味だとか展開に退屈するということはない。そして、読み終える最後に明かされるタイトルの意味に、はっとさせられることだろう。



■辛口評価(ネタバレあり)■
 文章力、表現力、演出力は一級品だ。人物描写も登場する様々な人物が見事に書き分けられておいる。
 ただ一人称であるため、主人公に共感できないと辛い部分がある。異常ともいえる事態に直面し、揺れる心情面として相応しい展開とも言えなくはないが、行動に少し無理があると感じる部分もあった。また、個人的に主人公よりも脇役の登場人物に感情移入する場面があり、反感を覚えてしまった。
 そうして頭のどこかにひっかかった違和感は最後まで拭えなかった。ラストの意外な人物の衝撃の告白も(といっても勘のいい人は途中で「まさかなぁ」と気づいていたかもしれないが)、個人的には不満点。幾つか展開を思い浮かべながら、悪い予想が当たってしまった。どちらでも転べる展開でありながら、あえて意外な結末を持ってきたのはどうだったのか。
 とは言え文章力、テーマ共に秀逸。自分は少し読み方を間違えたかもしれない。帯表紙に書かれた唯川恵氏のコメント、「頭で読むより皮膚で読む」、これから読まれる方はそういった感覚で読み進めて頂きたい。





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Last updated  February 10, 2005 06:20:41 PM
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