ある国語教師の夜の風

2007/06/05
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最高にすばらしい詩がのっている


この詩

最高にすばらしすぎて

教えている間に

涙が出てきそう





「わたしを束ねないで」
            新川和江


わたしを束ねないで

白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂

わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

わたしを注がないで

ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちている
苦い潮 ふちのない水

わたしを名付けないで

重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風

わたしを区切らないで
,や・いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩





最高にすばらしい

中学3年生というよりも

我々大人が読むべき詩じゃないか


詩の中で一貫して

自由になりたい

という意志を貫いている


本当に感動した





わたしを○○ないで

○○のように

○○のように

○○しないでください わたしは○○

・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・



この形の繰り返し






あらせいとうの花や白い葱は

刈り取られるとひとつにまとめられ束ねられてしまう

そんなことはしないでよ

わたしは稲穂なんだから

野原一面に自由に咲き乱れ、咲き誇る稲穂なんだから



標本箱の昆虫のように、誰かから来た絵葉書のように

どこかにわたしを止めないでよ

わたしは羽撃きなんだから

自由に空を飛びまわる

誰にも捕らえられないつばさの音なんだから


ぬるい酒のようにコップに注がないでよ

コップに注いだら形が決まってしまう

コップの形に固められてしまう

そんなことはしないで

わたしは海なんだから

自由に満ち引く海なんだから


娘、妻、母なんて名前をつけて

わたしをくくらないで

わたしはどこからともなく来て

どこへでもなく消えていく風なんだから


コンマやピリオドで区切らないで

「さようなら」なんてつけたら

その手紙はそこで終わってしまう

そんなことはしないで

わたしは終わりのない文章なんだから

永遠に、果てしなく続く文章なんだから






終わりのない文章

か


究極にかっこいい




終わりのない文章

ということで

続きを書きましょう





わたしを見つけないで
頭の奥に眠る記憶を呼び覚ますように
インターネット グーグルの検索のように
見つけないでください わたしは旅人
その時 その場所にとどまることのない
誰も知らない 誰も傷つけない わたしは旅人



わたしを記さないで
すべての日本人を管理する住民基本台帳のように
美容院のおおげさなダイレクトメールのように
記さないでください わたしは名無し
普通の幸せを普通に幸せだと感じる
愛する人をただただ愛する わたしは名無し



わたしを繋がないで
散歩の途中 鎖で引っ張られ先を急がされるポチのように
ネクタイを締めている時間で従順さをはかられる会社員のように
わたしを繋がないでください わたしは野良犬
食べたいものを食べ 飲みたいものを飲む
叫びたいときに叫び 走りたいときに走る わたしは野良犬



さて

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Last updated  2007/06/07 12:36:21 PM
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