雨の日は音楽を

雨の日は音楽を

2020年12月20日
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カテゴリ: 何でもかんでも
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 洋の東西を問わず時代劇映画を見ていて不思議なのは、戦場で接敵となるまでは、綺麗に整列しているのに、いざ切り合いになると、てんでんばらばらの切り合いシーンに変わってしまうことです。何のための整列行進なのか分からない演出ばかりです。多分歴史関係の方々が、余り野暮な?口出しをしないからでしょうか。それとも単に、カッコいいから?表題の、Acies Triplex は、カエサルが好んだと言う、三列横隊の陣形のことです。どう見ても三列横隊にて敵に接近し、開戦となった途端に列を崩してバラバラに切り結ぶというのはありえないのでは無いかといつも不思議です。
 各列が横隊で、隣の兵士と間隔をとって、刀を振り回しての奮戦中に一人だけ後退したりすると、その空隙に敵が入り込んで、左右の味方は前と横から切りつけられるでしょう。ですから、少なくともローマ軍は列を乱さずに戦っていて、後ろの列と交代しながらローテーション方式で戦っていたのではないかと思います。そのための三列なのでしょうし、それ故にローマ軍は強かったのではないでしょうか。私の言いたいことを一番理解がしやすいのは、槍兵でしょう。想像しても怖いのですが、槍隊同士が接敵した時に、列から飛び出して一人だけ槍を振るって敵の槍衾へ? 巧妙手柄のため以外には多分ありえませんね。槍兵はまとまって敵に当たるからこそ有効なのですが、一人だとすぐ殺されてしまいますね。自殺とおなじです。
 映画、特にそういった刀槍を用いた戦争の経験が無いアメリカ映画に特徴的なのですが、何でもかんでも個人同士の戦いが戦場で起きているかのような描写は、ありえないと思います。列を乱せば、死が待っているのは誰でも理解できるのではないでしょうか。あんなイージーな戦場の解釈をしているからいつまで経っても、個人戦の集合体みたいな戦場が出来上がるのではないでしょうかね。以前はまだアメリカ映画もマトモでしたので、ジョン・ウェインが出演した「アラモ」では、ちゃんと整列して戦う状況が見受けられるのでご参考までにYouTubeなどで一部御覧ください。

 日本の戦国時代は、一人の上級武士(中級も?)の周りを一族郎党が固めて、集団戦法を取っているところから戦術が始まったのではないかと思います。上級武士が良き敵を見つけて、襲いかかると、双方の一族郎党が切り合いになり、そちらを始末できたら、ご主人さまに加勢して、相手側のご主人様を打ち取るといった戦法だったのではないでしょうか。多分戦場で一番死傷者が多くなるのは、逃げ出すときです。なかなか刀槍を使って相手を倒すのは難しいことですし、年季が必要となります。どこの国でも、鎧は背中の防備が薄いものですから、逃げるときが一番危ないし難しいのでしょう。三十六計逃げるにしかずとはよく行ったものですが、これは接敵する前ににげるという事なのでしょう。

 演出の効果を狙いすぎて、不自然なのは、日本映画の刀槍の合戦や切合いの時、敵を追うときに、抜身の刀を右ななめ下に持って走っているのは、まぁ良く言って、決意の程の表現なのでしょう。実際は昔の合戦を描いた屏風絵では、戦場で走るときは、味方を傷つけないようにと、刀の刃を外側に向けて右の肩に「担いで」走っているように描かれていて、思わず納得!ですね。そもそも大将がサラブレッドの馬に乗っているところからして、現実離れしているので、細かいところは言っても無駄なのでしょうね。あまりリアルにやると、映画館で失神する客が続出しますものね。戦場での活躍を示すものは、敵の首なので、盗られると恩賞に響くから、腰からぶら下げて居たりしたようなので、ちょっとリアルにはできねぇ?
 アメリカ映画で、ちゃんと整列して敵にあたっているのは、独立戦争のシーンだけですね。敵味方とも何列かで横隊に広がり相手に正対し、指揮官のファイヤァーの号令のもと、一斉に射撃して、双方とも何人かが倒れ、指揮官が10歩前へ!と声をかけ、銃口から弾を込めて構えて撃つ、を数回繰り返したら、着剣!の号令で、銃剣をつけて、銃弾の装填している間に、敵が走って突撃できる距離になると、最後は突撃して乱戦に。なぜこんな怖い戦い方をするのかと言うと、当時は、物陰に身を隠して射撃するのは卑怯だし、アメリカインディアンと同じことをするのは不名誉だと考えていたようです。でも相手の顔が見える距離で火薬を詰め、弾を込めるというのは、とても胆力が必要ですね。

 何という書物だったか忘れてしまいましたが、アメリカの多分独立戦争?の古戦場の発掘作業をしていた学者が見つけた銃(今の元込め銃ではなく、火縄銃と同じ先込め銃で弾を銃口から転がし入れるタイプ)は、何と二十数発の弾が入ったままでした。多分人は殺したくないけれど、皆が従軍するのに自分だけ参加しないというのが耐えきれずに従軍して、一斉射撃だから弾が出なくとも周囲に気づかれないので、一発も撃たずに戦死したのでしょうとのことでした。一回目の斉射で即死だったら良かったのに、それを20回以上経験するなんてどんなにか怖かったことでしょうね。勇気が要る立派な行為ですが、私はできないなぁ。敵を何人殺してでも、生きて帰りたいというのが本音。
 話がそれましたが、戦術タクティクスを忘れた現代人は戦略ストラテジーにばかり目がいってしまうのでしょうかね。刀槍による個人の戦いの集合体が合戦という図式は、戦術という概念が薄れたからなのです。そんな戦い方をするならゲリラ戦法の方が、損害は少ないのではないかしらとも思います。戦術・戦略については、古くはクラウゼビッツ、最近ではリデル・ハートなんかお読みになるのをお勧めします。


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Last updated  2020年12月20日 23時51分05秒
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