白黒少女劇場


愛とは束縛するものだと幼心に既に学んでいた

パパがあたしを外に出さないのも毎晩勉強させるのも

叩くのも怒鳴るのも全部あたしのことを想ってくれてるからだとちゃんと分かっていた

分かってるから苦しかった

テレビが見れなくたって友達と遊べなくたってガリ勉とクラスで苛められたって

パパを憎む事なんて出来なかった

パパの愛に応えなきゃと思った


或る日、気づいたら病室にあたしは居た

先生が言うには、道中で奇声を発していたあたしを誰かが通報し

パトカーの代わりに救急車があたしを此処まで運んでくれ

そして今まであたしは呑気に眠りこけていたらしい

あたしは「すみません」と告げてお金を払って家へ帰ろうとした

病室を出ようすると、先にドアノブが回り人が入ってきた

「ご迷惑をおかけしてすみません」

パパはあたしを一瞥し、無表情で言った


それからあたしは家の中で腫れ物になった

パパはあたしを殴らなくなった代わりに期待もしなくなった

パパはもうあたしを愛していなかった

御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい

何度言ってもパパは振り向いてくれなかった

殴られていた頃が懐かしかった

今のあたしは親の役に立てない役立たずの子供だと思った

誰にも愛されていない自分を愛するのは自分しかないと思った

腹を刺した

「愛とは束縛だから」

何度も何度も抉るように刺した

「頑張れ頑張れ」

自分を鼓舞して刺し続けた

ちょうどパパが愛情を込めて殴ってくれたように

「返して」

あたしは物心ついて初めて泣いた

勿論返して欲しかったのはパパの愛情


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