青空のように

青空のように

カート・ヴォネガット氏 追悼


新聞の扱いは小さかったが、60年代後半から90年代にかけて、アメリカを代表する小説家であった。
学園紛争吹き荒れる60年代後半、(アメリカで)大学生たちに支持され、やがてメインストリームの大作家と評価されるようになった。
日本で出版されたのは73年、代表作「スローターハウス5」だった。

ヴォネガットの武器は、「ユーモア」である。それもかなりビターな。
もうすべてあきらめてしまったから、うつむきながら薄く笑うしかないじゃない・・・そういう感じの達観した笑い。
「そういうものだ」といった独白を多用するが、それはまるで、「語らなければならないこと」をわざと避けて、その周りをグルグル出口を求めて漂っているような語り口で、それが独特の魅力となってあふれる。

第二次世界大戦でのアメリカ軍のドレスデン爆撃を、ドイツ軍の捕虜として体験したヴォネガットが、「自分が語らなければならない」と思っていた(ハズ)の、「スローターハウス5」も、過去・現在・未来をまぜこぜにするという複雑な手法で書かれているのは、そういうことなんだろう。「本当のことは言い出せずじまい」。

現在は読まれてるんだろうか。これを機会に再発されるといいな。
僕は、評価の低い、「スラップスティック」や「チャンピオンたちの朝食」(この小説が、ブルース・ウィルス主演で映画化されたとき、俺は絶句したね!)なども含めてみんな好き。
壮大なホラ話が好きな方には、以前このブログでも取り上げた「タイタンの妖女」を。
性善説に感動したければ、「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」を。
最後の1ページで泣きたい人には、「青ひげ」を。
どれも読みやすいので(読みやすさも武器)、ご一読を。

謹んで、ご冥福をお祈りします。


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