I歯科医院の高楊枝通信。

I歯科医院の高楊枝通信。

抜歯再植症例1.0



60代女性、左上5、歯根破折、歯肉膿瘍

右側が義歯なので、左側をよく使う。
したがって破折しやすい。

レントゲン写真のbefore/after から。
4番にも外傷性と思われる歯茎部カリエスがある。歯髄も死んでいるようだ。
6番も7番も既にボロボロだ





5番はファイバーポストとハイブリッド冠だがたわみ量が大きいので脱離による2次カリエスや歯根破折を招きやすい。











抜歯すると歯根には膿瘍がズルズルと付いてくる。


抜歯窩は掻爬・洗浄しておく




膿瘍


歯根にはクラック(ひび)が見える。


抜いた歯根はやはり破折している。

くぱ




根管充填材は根管に緊密に充填するという建前にはなってはいるが現実にはそんなことはない。
むしろ緊密充填されているケースの方が圧倒的に少ない。

黒色物質は硫化鉄で硫酸塩還元細菌の代謝産物だ。この細菌が隙間に生息していたことを示している。

理想と現実の乖離は甚だしい。神経をとって、、というのはするべきではないということはよく分かると思う。細菌の生息する隙間を埋めることなど至難の技なのだから。

歯学部での根管治療の講義の最後に教授が「最良の根管充填材料は歯髄である!」と言い放ったのを憶えている。ww

少なくともこのサイトでは神経を保存する技術は確立している。



虫歯とまだ離断していないクラックは内部から除去する


使える歯質は思ったより少ない


根尖口も開拡して充填予定




小さい方の破折片も同様に軟化象牙質を除去し綺麗にする。


再建の準備ができたら既成のポストを入れスーパーボンドの筆積みとCRで組み立て再建する








根尖口も塞がれていることを確認する




抜歯歯牙の再建と抜歯窩の膿瘍掻爬と3MIX+生食水シリンジでの洗浄が終わったら、
抜歯窩挿入固定で今日は終わる。













スーパーボンドで接着固定する。4番の遠心面にはあらかじめスーパーボンドを塗布しておく


CRでスーパーボンドをカバーする


デュラシールで創面をカバーして包帯代りにする。4日間投薬後包帯は除去する。
軟組織が生着するまでの2週間はジェットウォッシャーやクチュクチュうがいは避ける。
骨が再生するには3ヶ月程度かかるので、補綴処置はその後の方がよい。


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: