I歯科医院の高楊枝通信。

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CR歯冠再建法



前回のつづき

https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202406010002/

通法と呼ばれる感染根管治療では絶望的で半年も通わされた挙句抜歯になる確率は高い症例なのだが、3MIX+α-TCPで簡単に治る。

1回で終われないとは言え、3回の通院で治るのだから歯科業界にとっては 夢の根管治療 だ。

もう症状も無くなったので、歯冠を再建して終わることにした。
これで再発すれば「 抜歯・再植 」がある。

ところで朗報がある。みなさん待望の後継者候補が見つかった。まだ学生なので実践投入はまだ先なのだが、期待していただきたい。

・・この回は口腔内で歯冠を再建するというテクニックだ。100%の歯科医師はこれができない。できないが故に今までの歯科治療の体系があったと言っても良い。

口腔内で歯冠を作ることができないがために型取りして口腔外で作成した修復物をセットするのだが、これには機械工学的に致命的な欠陥がある。アンダーカットがあると作製不可能なのだが、これが問題なのだ。
つまり抜き差しできるように作らざるを得ないというのは接着剤の性能が良くなったとしても長期間の絶え間ない咬合力に晒されることによりいつかは変形脱離して漏洩が起こる。つまり2次カリエスや根管感染が起こるということだ。

歯科医師にとって口腔内でCRで歯冠を再建することは考えたこともない常識の外にあるので、

そんなもの、すり減るだろう、すぐ壊れるだろう、と負け惜しみを言うが、実はそんなことはない。

CRの物性もボンディング材の性能も十分なので、10年以上も問題なく経過している症例はいくらでもある。すり減ろうが壊れようが、問題の発見は容易で、補修も簡単だ。

フェールセーフという観点からも、資源エネルギー減耗時代に備えるという意味においても、CR修復再建テクニックを学ぶことはこれからの歯科医師として必須の要件だと思う。機械で作れるとなったら、歯科医師は要らなくなるのではないだろうか?

具体的にはまず歯牙の形が頭に入っていなければならない。歯牙解剖やその実習の 歯型彫刻 は完全にマスターする必要がある。





次は歯科技工では歯を作るに際しては、後ろからも前からも横からも見ながら作ることができるが、口腔内では前からしか見えない。せいぜい鏡に映しながらの作業となる。
しかも血液、唾液、息と患者が口を開けていられる時間、こちらの体力の限界との戦いとなる。

この症例では30分というのが一応のタイムリミットだろう。

実際には フロアラブルレジン を使い積層法で積み上げていくだけだ。

では時系列でどうぞ

食いつきをよくするためにCRの新鮮面を出し、ディンプルを付ける。ポーセレンプライマーは塗布している。


周辺から積み上げていく


少し低めに咬頭を盛っておき


噛み合わせの高さを決めるため咬頭にCRを盛って、噛ませて、横から光照射して固める。


噛み合わせの高さを決めた咬頭周りを埋めていく


防湿のロールワッテを外して、舌側咬頭を築成


出っ張りを修正、咬合調整して終わる。

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