マックの文弊録

マックの文弊録

2005.05.18
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◇水曜日;旧暦四月十一日 壬寅(みずのえ とら) 国際善意デー

友からメールが届いた。
彼は優れたエンジニアで某メーカー系企業をスピンアウトし、自らの理念に則った企業向けソリューション(ソフトウェア)を武器に打って出ようとなさった。起業ではなく、ある企業の傘下での事業開発だった。ところが、同志と頼んだ人間が当てにならず、色々波乱万丈の末に事業譲渡の止む無きに至り、後始末に随分の苦労をされて、縁あって元の企業にUターンされることになった。
それを報せるメールだった。

一旦はスピンアウトした身としては、元の企業に戻るのは釈然としない筈だ。しかし且つての上司が、彼を歓迎して受け入れたのは、彼の能力のみならず人間性の故でもあったろうと思う。自らを必要とし、自らを待っていて受け入れてくれる人がいる場所が有るのは大いに幸せなことだ。先ずは、彼にはおめでとうという気持ちで一杯である。

米国のように職業の流動性が高い環境では、Uターンは当たり前だし、むしろ「外のメシを食って、経験を積み知識を蓄えた」ことが積極的に評価される。こういうUターンに際しては以前より待遇が向上するのも普通である。
日本でもIBMなどでは「野鴨商法」とかいって、Uターン組を優遇する風潮とシステムがある。あの会社が、色々な面で他の日本企業より一歩先を行く理由の一つには、こういうこともあるだろうと思う。

しかし、他の日本企業では、やはり「企業=ファミリー」という意識が強く、Uターンは「出戻り」などと呼ばれて隠微に差別される事が多い。
僕も何年かのガイシケー暮らしの後、「親分」に誘われて、古巣の会社に上級部長待遇の契約社員として戻った時には同じ思いをした。



しかし、会社の仕組と周りはそうではないのだ。正社員のマネージャたちと、契約社員の僕とでは出席できる会合も違う。本当に重要な会議や、外部との打合せでは、正社員のみが参加でき発言権を持つ。人事権も予算に関する権限も、上級部長であれ契約社員には付与されないのだ。
それに且つての同僚なども、何となく「出戻り」だという見方をする。「自分たちが苦労して来ているのに、アイツはさっさと出て行って、又戻ってきた。しかもあんな高い給料貰って・・・フン」というわけだ。

それにしても「正社員」とはヘンな呼び方だ。彼らが「正しい社員」なら、僕などは「正しくない社員」か?・・・え?そうなのか?などと何度もすねたくもなった。

伝統と経験がものを言う産業ならばともかく、IT分野の企業では、どう変化に対応し、むしろどう新しい変化をリードするかが重要であるのは言うまでも無い。そういうところに契約社員がプロとしての価値を持つはずだ。またただの外部からの参入組みではなく、かつて社員であったUターン組の方が、会社の基礎知識を共有しているだけ貴重であるはずだ。

こういうシステムを形としては導入している企業は増えてきてはいるが、社内システムや社員の意識がそれと連動していないのが殆どだろうと思う。つまり、きめ細かいケアまでは手が回っていない。だから、本来強力な戦力となるべきUターン組が、段々スポイルされていって、結局は又社外に去ってしまうような事になる。
これは本当に損な事だ。勿体無い事だ。そう思う。

友もこれからそういう面で苦労するのだろうと思う。だから「この上は、三年と期間を区切って、その間はプロとして敢えて周りを気にせず、どんどんやるのが良いよ」とアドバイスしておいたのである。






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最終更新日  2005.05.19 00:13:58
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