マックの文弊録

マックの文弊録

2005.08.31
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カテゴリ: IT世界の話
◇水曜日:旧暦七月二十七日 丁亥(ひのと ゐ)
夏の夕雲ー2
こ のところ首都圏はさすがに秋めいてきた。少なくとも圧し包むような猛暑は、 一時 いっとき かもしれないがこの二三日遠ざかっている。おとといは久しぶりで心地の良い晴天であった。盛夏の頃には何層も重なって熱さを放射していた雲母の層も無くなり、清々しくも澄んだ青空だった。
秋になると雲は縦に成長するのではなく、横に掃いた如くに流れるようになる。

昨 日のことだが、日中相変わらずドタバタ過ごしていたら、夕方近くなって友人から「久しぶりに食事を」と電話があった。
彼は僕と同年代だ。大手のガイシケーIT企業で、教育担当の責任者をなさっていたが、三年程前にこのガイシケーがM&Aをきっかけに早期退職を募った際、さっさとお辞めになった。その後自家薬篭中のITILの分野で個人コンサルタントをなさっていたのが、この分野では草創の頃からの権威であるオランダの会社と契約し、昨年日本法人を立ち上げられた。
云うならば僕同様シニア起業、或は「北条早雲起業」の仲間である。

仕事の対象は、東京の大企業が多く、今は週日は東京のマンション住まいでいらっしゃる。これが北陸育ち、関西在住で粋人でもある友人には中々辛いようで、時に昨日のようにお誘いを戴く。

僕も仕事や社内での鬱屈を忌憚無く話せる友人の誘いに乗るのに 躊躇 ためら

お 互いに既に「生活習慣病」囚われの身柄なので、彼が連れて行ってくれたのは、地元神田神保町。靖国通りからちょっと裏筋に入った蕎麦屋であった。
新潟にちなんだ蕎麦屋だということで、越の寒梅、久保田、影虎、上善如水・・・何れ劣らぬ越後の銘酒が並んでいる。肴も栃尾の油揚げなど、新潟にちなんだものが多い。そして、最後は「へぎ蕎麦」で締め括るのが、このお店の定番のようだ。

一面にカウンター式の厨房を配した店内は、広い空間にテーブルを幾つか並べただけ。相席など当たり前の居酒屋風だ。しかし、見回せばある年配以上のお客ばかりで、大声を出して騒ぐ輩も居らず、カジュアルながら中々結構な雰囲気である。テーブルについて語り合う方々の様子や漏れ聞こえる会話から察するに、客層は近隣の私学の関係者やそのOBたち、そして場所柄書店に関わるオジサン連が主流とお見受けした。

我 々もオコゼの唐揚げや、栃尾の油揚げに刻み葱を大盛にしたお肴を戴きながら、話は自ずと先ず「小規模企業家」同士の愚痴の交換になった。

談論風発は彼との間でも当然の事だから、話題はいずれあちこちに飛散したが、昨日の話題で、共通の合意に及んだのは、「計画と提案」だった。

つまりは、人間は「計画のできる人、出来ない人」と分けることが出来、且つ「提案できる人、出来ない人」にも分けられる。そういうことだ。

我 々の会社は創業直後であり、人数もごく少ない。少ないけれども、将来を期して色々な事をこなす必要がある。だから、零細といえども、というより零細だからこそ優れた人材が不可欠である。だから手を尽くし、伝手を手繰ってそういう人材の確保に腐心する。
お蔭さまで共にガイシケーの出身者でもあるから、うまくするとそういう人に出会うことがある。キャリアを見ればそれなりに優秀な経歴をお持ちだし、相手がどこかで同僚や部下であった事もままある。ある程度のレベルの人であれば、共通の知人は必ず存在し、「なるほど、あの人と親しいならこの人も・・・」と思える場合も多いのだ。

ITの世界は非常に局所的で、つまりは「世間が狭い」のである。典型的なSmall Worldなのだ。だから悪いことも出来ない代わりに、共通の知人や友人を見れば、凡その人品も推察できる。

それで、首尾よく口説き倒して参加してもらう。すると暫くして、いろいろ露見してくるのだ。

大変残念な事なのだが、錚々たるキャリアを誇る人材であっても、「云われた事はできるが、計画を立てることは出来ない」人が多い。「報告はできるが提案することが出来ない」人も多い。この何れもが、我々のようなベンチャー企業では必須であるにも関わらずだ。



ある程度組織が大きくなり、スタッフ部門の機能が必要になると共に、そういう部署を賄える余裕が出てくれば、こういう人材は価値を持つようになるのだが、とにかく修羅場を潜り抜けて成功への端緒を掴もうと七転八倒している段階では、このテは全く役に立たない。会社にとっては重荷になるばかりだ。
しかもこのテは、先ず態度を改めたり、心機一転挑戦しようなどというの殊勝な姿勢は望めない。
自信はお持ちだし、いささか齢を重ねていらっしゃるのだから、やむを得ず叱りつけても、一旦はしおらしくはなるものの、蛙の面にナントカ、面従腹背の見本みたいな事になる。

お互い、やはりそういう人材を抱え込んでしまっている。今更路頭に放り出すのも忍びないし、多少の役には立つ。さりとて、もっとどうにかなってもらおうと「教育」や「啓蒙」を試みても、先に述べたように底無しの井戸に小石を投げ込むようなもので、張り合いの無いことおびただしい。

彼も全く同じ苦労をなさっているようで、「まぁ、そういうものだと割り切って使うより他は無いね」とため息混じりの結論でしかなかった。

し
貴方は「計画を立てることが出来ますか?」又、「どんどん提案をできるような人ですか?」
貴方が若し転職をお考えならば、この二つの質問に予め真摯に向き合っておく事を衷心よりお勧めする次第である。





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最終更新日  2005.09.01 13:39:35
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