マックの文弊録

マックの文弊録

2006.01.30
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カテゴリ: 小言こうべえ
◇1月30日(月曜日); 旧睦月二日 己未

然 るべき場所に出て何がしかの事を為そうとするとき、昔は裃を着て威儀を正した。今の会社員はネクタイを締めスーツを着用に及ぶ。
僕も、試験勉強を始める時は先ず机の整理から始めたものだ。それで、肝心の勉強に取り掛かる頃には、疲れて眠くなってしまった。
でも、やはりカタチには拘りたい。洗い立ての真っ白なワイシャツを着込んで、ネクタイをピシっと絞め、スーツで決めると、心もシャキッとして、戦いに望む気構えが出来上がってくる。これはいわば人間としての品格を為すものである。

と ころがカタチから入ることは、一方では瞬発性を欠くということでもある。このブログにしたって、最初の頃はともかく、段々(1)暦を調べ、(2)記念日などがあればその由来などを調べ、(3)写真を選んで貼り付け、(4)文章を書き始めるなどというカタチがいつの間にか出来上がってしまった。こうなると、時間の余裕がないと、形式を整えることが難しくなって、ブログそのものがかけなくなるという本末転倒が生じる。
1月の始め以来ブログからご無沙汰してしまった最大の言い訳が、忙しさとカタチへの拘りである。

カ タチなどに囚われず、行住坐臥臨戦態勢にある方が実戦的であることは論を待たない。秀吉の朝鮮攻めの時も、わが国の武将は敵前に立つと古式に則って先ず名乗りと呼ばわりをやった。そしたら名乗っている間に、そんな習慣など持たない敵兵にバタバタやられてしまったのである(そうだ)。想像すれば、美しくも滑稽で、いっそ悲しい。品格とはある部分で悲壮なものでもあるのだ。

そ んなカタチなどアホ臭いと、裃もスーツも無しに、汗臭いTシャツ姿で、寝起きのような髪のまま、礼儀や手順も踏まずに責めかかって一時衆目を席巻したのが、今は拘置所にいらっしゃるかの御仁である。かの御仁には、およそ品格などというものを僕は最初から感じなかった。彼は、今やアフリカの地で絶滅の危機に瀕しているローランドゴリラに見えて仕方が無かったのである。そういうとローランドゴリラから叱られそうだが。

裃 を着ている連中において、戦後徐々にその中核を支えるべき高潔さや品格が失われ、形骸化したカタチのみが残った。そういう連中のカタチは、社会構造を支配し後進の人にも規制を及ぼす。そんな時代が長く続いたものだから、期待も希望も大それたものを持つことなく、「自分」の好みを追い求めるというのが一般の風潮になった。だから、そういう世代の子供達である今の若者には、閉塞感にイライラしながらも何とかならないものか、何とかできないものかという、変革への兆しのようなものが生じているのだろう。

そ

一 方のカタチ派の方では、自らの領域に土足でヅカヅカ踏み込んできて、汗臭さを振りまく無頼の輩を、余程苦々しく思っていたのだ。彼が高々と吹聴する拝金主義は、実は同時にカタチ派の主義に他ならない。その主義の強固な事、又隠微な徒党を組んで仲間内だけで儲けを占有しようとする性向は、むしろ孤軍のローランドゴリラ君を凌駕する。ただ彼らはカタチを重んじるが故に、本音を隠してきた。彼らが後生大事に一生懸命糊塗してきた本音を、このゴリラはあろうことか白日の下に暴露してしまった。近親憎悪に似た憎しみが募るのもむべなるかなである。
だから、ゴリラ君が一旦隔離幽閉されると、裃族は大いに溜飲を下げ、密かにザマミロとほくそ笑むことになる。

し かし、情けないのはマスコミだ。かつて寵児と持ち上げ、へつらうように取材・報道してきたのが一転、「墜ちた寵児」だの、「暴かれた虚像」だのと激しいバッシングが始まった。株式分割や「法すれすれの経営」までが、非難の対象になっている。それでは、感情論でしかないじゃないか。株式分割も、「法すれすれ」も遵法行為である。違法ではないのだ。およそ商売をするもの、法規制に抵触しないギリギリの線まで肉薄して知恵を絞り、自社利益を増大させるのが当然だし、それが出来るのが優秀な経営者とされるのだ。色々な経済団体のお偉方は、いわばそう云う戦果を以って現在の地位に招かれたわけだ。

ゴ リラ君の批判、糾弾をそういう領域にまで広げるのは、単なる好き嫌いの話でしかないし、マスコミはむしろそういう混同に陥りがちな大衆の蒙を啓き、何が事実で何が本質であるかを示すのが本来の役割じゃないか。それが、かつて自らが舞い上がって、嬉々としてゴリラ君のプライベートジェットに乗せてもらい、バラエティ番組にスター扱いでご招待していたことなど忘れたフリで、今度は非難糾弾の大合唱というのでは、それこそポピュリズムの権化でしかないだろうに。
今の日本で一番深刻なのは、マスコミの品格の無さである。そう思うのだ。





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最終更新日  2006.02.01 19:48:01
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