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10月はイシククル有機農協の組合長ソヌングルさんの紹介で、農業省法的支援部部長の アイジャンさん、BIO-KG職員のマイランベックさんに、キルギスの有機農業の現状について話を聞いてきました。また、少しずつですが研究調査も進んでいます。学んだことは以下のとおりです。
(1)キルギスの有機農業の現状(農業省)
ユーラシア経済同盟(EEU)の5カ国の中で、農地が小規模で細分化されているキルギスの生き残り戦略として、有機農業という方針を掲げてきました。現在は基準や有機認証のシステムを作っているところですが、今後は主にロシア(関税条件が良い)や中国(需要が多い隣国)を市場として想定しています。
有機農業と言うと、日本では1970年代の食品汚染問題が発端となり現れ始めましたが、ここキルギスでは特に何かが問題となって運動として出てきたわけではないようです。とはいえ、現状多くの農家が農薬や化成肥料の成分が何なのか、また正しい使い方を知らずに使ってしまっています。
地続きで物の往来が活発になるにつれて外来の病害虫が入って来たことも問題となっており、農業の知識や技術に対する指導がますます必要とされていますが、研究や普及を担う各州のアグリバイオセンターでは人手が足りていないそうです。
これに関して、2018年からはFAOとKOICA(韓国国際協力団)で3地域を対象とした有機栽培指導のプロジェクトが始まったとのことでした。
現在所属している有機農協の組合員のように、今できる範囲でコツコツと土づくりを積んでいくことが唯一確実な道だと感じました。すぐに実になる動機付けがないのが難しいところですが、日本で自分たちの村に誇りを取り戻す運動のように、キルギス人が昔から住んでいた土地を「私たちの土地はきれいだ」と自慢げに言っている言葉でも、力になり得るのではないかと思っています。とはいえ、きれいごとで終わらせないためにも、これを少しずつお金にも換えて行きたいところです。
(2)認証制度の状況(BIO-KG)
「BIO-KG有機農業運動連盟」は2012年にキルギスにおける有機農業の発展を目的として作られた組織で、主に世界各国の支援機関やIFAOM(世界有機農業運動連盟)のプロジェクトを担って動いています。
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IO-KGではIFOAMの生みだした「参加型有機認証(PGS)」で独自の認証を作って普及しており、現在の認証圃場は8地域で2,749ha、802名の農家となっています。ただ、これは国内に限られた認証であり、そもそも消費者との連携関係を前提とした品質保証であるため(第三者販売を目的とする商品を保証するものではないため)、販売に大きな効果はもたらしていないとのことでした。
キルギスでは輸出の際に有効な有機認証を3つの生産者組織しかとっていないそうで、その一つが現在の所属組織イシククリ有機農協だそうです。
大事なのは、農薬を使っているか否か、有機栽培か否かではなく、農薬とは何なのか有機栽培とは何なのかを知って自分たちで判断していくことだと思います。そういう意味ではPGSは生産者・消費者ともに学びの場となって効果が期待できるかもしれません。
(3)農家調査では、
人類学者の吉田さんはソ連崩壊後のキルギスでは親族ネットワークによって支え合ってきたことを言っていますが、現在、特に農業、すなわち経済が関わってくるとなると少し話が違ってくるのではないかと思っています。
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0月上旬になるとジャイロー(夏季放牧地)から馬や牛、羊、山羊が村に帰ってきました。雪が降るまでの間、村周辺の放牧地や収穫済みの畑に日中放牧を行うのですが、ここに共同管理が発生します。この管理方法を見たときに、近隣住民同士で血縁があってもなくても、日ごとに交代して家畜の面倒を見ていることがわかってきました。
「人間は合理的なのではなく損をしたくない生き物だ」と言われるように、やりたいと思う人なら誰でもできる、損をしないための”緩い集合”に、組織の持続性の鍵があるのではと思って見ていこうと思っています。
また、経営調査はデリケートなもので、あまり上手くいっていませんが、とある農家からは「夏に家畜を預けた後、稼ぎに行って、それで家計を支えられている。支出はトイ(宴会)への参加が大きい。」ということを聞きました。確かに、秋になると毎日のようにどこかの家で結婚のトイが行われています。
このように、その土地の人の生活サイクルや文化の特徴を知らないと、農村・農業・農協がどうあれば良いのかなどを考えられないと思いました。有機農協の組合長はこの状況をもちろん知っていると思いますが、客観的に見た立場として話をしていきたいです。
残り2カ月を切りましたが、焦らず学んでいきたいと思います。
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