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2008.09.28
カテゴリ： 脳腫瘍
30日朝8時45分
手術室に向って病室を出発。
脳外科の病棟全体が緊張してピリピリしている。
手術室へ向かうナースはストレッチャーを押しながら家族に言った。
「何かあったらすぐに連絡がとれるように、必ず一人は待合室に待機していてください」
〈何かあったら・・・って、何？ 何？ 何？？〉
手術室の自動ドア手前で家族と別れて廊下を進んでいく。
私のストレッチャーが入っていった手術室は、
入り口から大勢のスタッフで混雑していた。
昨日、麻酔科の先生が病室に来たときに
「音楽は何が好きですか？」と聞かれたことを思い出した。
「クラシック・・室内楽があれば・・」とお願いしたのだった。
室内楽・・ピアノ・・ま、いいか・・
「深く息をしてください」
麻酔科の先生が横に来た。
〈・・・息を深くしたら・・次の息がないかも・・恐い！ 麻酔！ いや！〉
抵抗したのも束の間で意識を失った・・・・次の瞬間、肩を叩かれて目を覚ました。
瞬間ではない。実際には12時間以上経っていた（らしい）。
〈ああ、大丈夫だったみたい・・・生きている〉
手術室からＣＴの検査室に移された。
操作室からドクターたちの「おおーっ」という歓声があがった。
「すげーー」っていう感じ・・すごくうれしそうな声だった。
（・・ということは、すごくうまくいったといこと？？）
「すぐに良くなるからね」
ストレッチャーを押してくれうる医長先生の声が弾んでいた。
クリクリクリクリと廊下の角を曲がる。
「目が回りますぅうう・・」といっているうちにリカバリールームの前に到着した。
両親と弟が立っていた。
目を覚ますのは明日の朝・・と聞かされていた弟は「目を開けてる」と驚いて私を迎えた。
ベッドに移されるとナースから「お名前と住所は？」と聞かれ、
正確に答えなくては！！と焦って「きらじ・・・きたじままや」つっかえてしまった。
ナースはウフフと笑って頷いた。
脳に強く癒着している場合は敢えて取らないと説明を受けていたが、
「癒着部分は焼き切った」のだそうだ。後で母から聞いた。
細かいことは想像してしまいそうで恐くて今も確かめていない。
手術前に輸血用として自己血を400ccを採血していた。そのうち半分を使ったそうだ。
しばらくするとＭ先生が来た。
「先生、本当にありがとうございました」
恐れていた麻痺は手足には出ていない。
声も出ているし、話もできているから失語症も免れたのだ。
涙が目の淵に溜まって視界がぼやけたけれど、Ｍ先生の笑顔を初めて見た。
Ｍ先生も笑うんだ・・・・
呼吸器と心電計を装着された。
心臓の鼓動が体中に響きわたって、呼吸が苦しい。
苦しい、苦しいとナースに訴えると、Ｍ先生が飛んできた。
人工呼吸器の装着を検討している・・でもそれほどではない・・
私は「大丈夫です」とも「苦しい」とも声を出すのが大儀で力が入らない。
しばらく様子を伺っていたＭ先生は「大丈夫そうですね」とナースと確認し合って出て行った。
ナースが定期的に様子の確認に回って来た。リカバリールームには私の他に２人が寝ていた。
隣のベッドの人が、時々うなり声を出す。そのたびに「大丈夫かしら？」と気になって仕方がない。
それが原因でもないけれど、ドキドキバクバクと心臓が早いテンポで鼓動するのが全身に響く。
経験したことのない異常な状態が恐くて寝付けない。
ラジオからアナウンサーの話しているような音がした。
周りを見回したがどこにもない。
耳が変になったんだろうか？
眠れない。
翌朝、採血をされた。
輸血が必要になるギリギリの値だという。
Ｍ先生から食欲を問われ、お腹がすいたように感じると答えた。
「おかゆから始めますから、頑張って食事で栄養を補ってください」
「はい、頑張ります」
頑張りますといったものの、起き上がるのがダルくて億劫だった。
助けて・・・
ナースからベッドで座る方法を教わった。
ベッドのヘッド部分に両手でつかまり、そのままグイグイと上方へずり上がり、
そこで身体を起こすと、ギャッジベッドの起き上がり具合に合う。
「そうそう。上手上手」
上手といわれると、こんなことでもうれしくなるものだ。
手術室に向って病室を出発。
脳外科の病棟全体が緊張してピリピリしている。
手術室へ向かうナースはストレッチャーを押しながら家族に言った。
「何かあったらすぐに連絡がとれるように、必ず一人は待合室に待機していてください」
〈何かあったら・・・って、何？ 何？ 何？？〉
手術室の自動ドア手前で家族と別れて廊下を進んでいく。
私のストレッチャーが入っていった手術室は、
入り口から大勢のスタッフで混雑していた。
昨日、麻酔科の先生が病室に来たときに
「音楽は何が好きですか？」と聞かれたことを思い出した。
「クラシック・・室内楽があれば・・」とお願いしたのだった。
室内楽・・ピアノ・・ま、いいか・・
「深く息をしてください」
麻酔科の先生が横に来た。
〈・・・息を深くしたら・・次の息がないかも・・恐い！ 麻酔！ いや！〉
抵抗したのも束の間で意識を失った・・・・次の瞬間、肩を叩かれて目を覚ました。
瞬間ではない。実際には12時間以上経っていた（らしい）。
〈ああ、大丈夫だったみたい・・・生きている〉
手術室からＣＴの検査室に移された。
操作室からドクターたちの「おおーっ」という歓声があがった。
「すげーー」っていう感じ・・すごくうれしそうな声だった。
（・・ということは、すごくうまくいったといこと？？）
「すぐに良くなるからね」
ストレッチャーを押してくれうる医長先生の声が弾んでいた。
クリクリクリクリと廊下の角を曲がる。
「目が回りますぅうう・・」といっているうちにリカバリールームの前に到着した。
両親と弟が立っていた。
目を覚ますのは明日の朝・・と聞かされていた弟は「目を開けてる」と驚いて私を迎えた。
ベッドに移されるとナースから「お名前と住所は？」と聞かれ、
正確に答えなくては！！と焦って「きらじ・・・きたじままや」つっかえてしまった。
ナースはウフフと笑って頷いた。
脳に強く癒着している場合は敢えて取らないと説明を受けていたが、
「癒着部分は焼き切った」のだそうだ。後で母から聞いた。
細かいことは想像してしまいそうで恐くて今も確かめていない。
手術前に輸血用として自己血を400ccを採血していた。そのうち半分を使ったそうだ。
しばらくするとＭ先生が来た。
「先生、本当にありがとうございました」
恐れていた麻痺は手足には出ていない。
声も出ているし、話もできているから失語症も免れたのだ。
涙が目の淵に溜まって視界がぼやけたけれど、Ｍ先生の笑顔を初めて見た。
Ｍ先生も笑うんだ・・・・
呼吸器と心電計を装着された。
心臓の鼓動が体中に響きわたって、呼吸が苦しい。
苦しい、苦しいとナースに訴えると、Ｍ先生が飛んできた。
人工呼吸器の装着を検討している・・でもそれほどではない・・
私は「大丈夫です」とも「苦しい」とも声を出すのが大儀で力が入らない。
しばらく様子を伺っていたＭ先生は「大丈夫そうですね」とナースと確認し合って出て行った。
ナースが定期的に様子の確認に回って来た。リカバリールームには私の他に２人が寝ていた。
隣のベッドの人が、時々うなり声を出す。そのたびに「大丈夫かしら？」と気になって仕方がない。
それが原因でもないけれど、ドキドキバクバクと心臓が早いテンポで鼓動するのが全身に響く。
経験したことのない異常な状態が恐くて寝付けない。
ラジオからアナウンサーの話しているような音がした。
周りを見回したがどこにもない。
耳が変になったんだろうか？
眠れない。
翌朝、採血をされた。
輸血が必要になるギリギリの値だという。
Ｍ先生から食欲を問われ、お腹がすいたように感じると答えた。
「おかゆから始めますから、頑張って食事で栄養を補ってください」
「はい、頑張ります」
頑張りますといったものの、起き上がるのがダルくて億劫だった。
助けて・・・
ナースからベッドで座る方法を教わった。
ベッドのヘッド部分に両手でつかまり、そのままグイグイと上方へずり上がり、
そこで身体を起こすと、ギャッジベッドの起き上がり具合に合う。
「そうそう。上手上手」
上手といわれると、こんなことでもうれしくなるものだ。
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