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ポツポツポツと壁にかけられたタイマツの明かりだけが頼りの暗い通路。ここに今まで何人の罪のない人間が連れてこられたのだろう。壁には五本の細い赤い跡がいたるところにある。それがなんの跡であるかは想像に難しくなかった。
ウィン:「くそ・・・こんなところに放り込みやがって!ラウドは無事なのか・・・、早く抜け出さないと。」
ウィンが部屋を見渡すが窓の一つも見当たらない。無理と分かっていても壁を力いっぱい殴ってみる。ゴンッと鈍い音が虚しく部屋に響くだけだった。
ウィン:「たしかあいつは地下とか言っていたな。抜け出すにはやはりこの鉄格子を・・・」
???:「それ、鉄じゃなくてたぶん鋼だよ。錆びてないしね。」
ウィンが驚いて振り向く。すると部屋の一番奥の片隅にうごめく何かの影が見えた。
ウィン:「だ!誰だ!!」
なにかがまた闇の中から喋りだしながらこちらへと近づいてくる。まだ新しい服に汚れていない体、まだこの部屋に来てまもないのだろう。
ヒュンケルン:「俺の名前はヒュンケルン、アリアンでは結構有名な盗賊をやっているんだ。ほいでここに盗みに入ったらこのありさまさ。あんたなんか食い物持ってないか?」
ヒュンケルンが手を差し出す。
ウィン:「なにも持ってないよ、すまないな。」
しばらく沈黙が続く。
ウィン:「この鍵さえどうにかなれば・・・」
格子の扉部分にかけられた錠に触りながらウィンがつぶやく。
ウィン:「焦ってもどうにもならないか・・・あんた盗賊なんだろ、盗みに入ったのがバレても逃げることぐらい出来ただろう?」
ヒュンケルンは床に寝転んで答える。
ヒュンケルン:「見たらダメなものを見てしまったんだよ。まさか伝説のあいつが実在してこの街にいるなんてね。ビックリして足が動かなかったよ。」
ウィン:「なんだそれ?」
ヒュンケルン:「赤い悪魔だよ。」
ウィンはやはりという顔をする。
ウィン:「やっぱあの時の・・・」
ヒュンケルンが起き上がりあぐらをかいて座る。
ヒュンケルン:「なぁ、あんたなんか金属チックなの持ってないか?あればなんとか出れるかもね。」
その言葉を聞いてウィンはポケットなだを調べるが出てきたのはラウンジのボトル割引き券となにかわからない白くとがった物だった。
ウィン:「なんだこれ。こんなのポケットに入れたかな?」
ヒュンケルンがバッとウィンに近づく。
ヒュンケルン:「あんた、ナイスだぜ。これは砂漠蜘蛛の牙じゃないか。」
ウィンがラウドと出会ったときのことを思い出す。
ウィン:「そうか!あの時の蜘蛛との戦闘で偶然に!」
ヒュンケルン:「ちょいと昔さ、万能鍵ってあるだろ?あれを作って商売してたんだよ。あの時の材料は骸骨戦士の骨を使ってたんだけど、これでもおkでしょ。・・・これを・・・こうして・・・できた!!!」
少しいびつだが、鍵らしいものができた。
ウィン:「・・・・・ほんとにそんなので開くのかよ・・・・・開いたらこのボトル割引き券を・・」
ガチャ
ヒュンケルン:「割引き券がなんだって?さぁ!急いで出ようぜ!!」
ヒュンケルンが牢を出て走り出した。
ウィン:「いい風が吹いてきた!」
ウィンもヒュンケルンに続いて走り出す。走りながらウィンがヒュンケルンに話しかける。
ウィン:「なぁ!ちょっと手伝って欲しいことがあるんだが!」
ヒュンケルン:「やだね!もう十分助けたはずだぞ!どうぜクロマティガードとリンケンの戦争を止めてくれとか言うんだろ!!」
ウィン:「なんだ!知ってるのか!」
二人が地下から上がり屋敷内に出る。
ウィン:「やたらと静かだな・・・」
すると屋敷の2階の窓からヒュンケルンが答える。
ヒュンケルン:「もう戦いは始まってるってことだぜ!!手伝ってやりたいのは山々だがちょいと行かないと行けないとこがあるんでね!!あんた!とてつもないもん相手にしようとしてるぜ!!じゃあな!!」
そういうと窓から外にスッと消えていった。
ウィン:「いつのまに・・・仕方ない、早く向かわないと!!あの野郎・・・ただじゃおかないぞ!!」
また風が弱くだが吹きはじめた。風は何を運ぶのか。この砂漠を潤す雲か・・・それとも・・・。最後まで諦めず吹こうとする風、それを信じ待つ雲。二つが交わり闇を消す嵐になるのか。
ウィン:「ラウド!!待ってろ!!」
続く・・・・・
さて!!ASSKのnewGMのヒュン君が登場です!!
おいしいとこ持っていかせすぎたかしら^-^;;
風と雲。あと2章で完結です!!!
もう少しお付き合い下さいm( __ __ )m
では(* ^ー゚)ノバイバイ