結局私は大石に白状させた。私とよく来ていた頃から、大石はマスターの恋人だったのだ。忘れていたわけではないが、私は現実の恋人、というのをつきつけられて、あらためて大石がゲイだった事を噛みしめていた。マスターはどうと言う事のない風貌をしていたが、品が良くて、年齢不詳だが、私達よりは十歳ほどは上のようだった。大石の恋人であるマスターも、ずーっと私の事を心配してくれていた、という話を大石から聞きながら、鼻白みはしたものの、少しも心が波打たない事の方に私は自分で驚いていた。翌日、私は阿部にその日の事を話していた。そして、私はその夜ずーっと感じていた事を阿部に言った。「大石の恋人の事とか知っても落込んだり逆上したりしないでいられたのは、ホントに阿部さんのおかげよ。感謝してる。でもねぇ、私やっぱり」「大石さんの事が好き、でしょ。わかってるよぉ、そんな事。いいんじゃないかなぁ、好きで。そりゃまあ俺はいい気はしないけどさ、でも好き、っちゅうのは仕方ないでしょ。きっと一生好きなんだよ、ケラさんやらミッチーやらと同じでさ」

