サトゥの死ぬまでシネマ。

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「トォル・コーリング」第1話。

第1話「ファースト・バイブレーション」 
2005年12月1日木曜日AM:07:22
遠くで目覚ましがなっていた。いや、実際はかなりの近くでなっていたのだが。俺はベッド脇の目覚まし時計に手を伸ばす。つかもうとしたとき、手が当たって時計はベッドから落ちていた。ガッシャン。と音とともにベルは鳴り止んだ。寝ぼけまなこで床を覗きこむと時計は単3電池2本を吐き出していた。「起きなきゃな・・・」電池がなければ頼りのスヌーズ機能にも限界がある。俺はボサボサ頭をかきむしりながら制服に着替え始めた。俺の名前はタドコロトオル。いたって普通の高校生3年生。まわりは受験戦争で戦っている人もいるが、自分は適当に専門学校へでも行こうと思っている。何の専門学校かも決めてないが。1階へ降りて居間へいくと家族はすでに朝食をすませていた。妹のハリコ-我が妹ながら変な名前だが、まあ作者の都合だろう。しかし、こんなにも早く作者ネタを出すところが作者らしい-がもう出かけようとしていた。
「あっお兄ちゃん」「あ?」
「同じクラスのオンミョウジ先輩って彼女いんの?」
「さあ、なんかモテてそうだからいんじゃねえの?同じクラスだけどそんなに仲良くねえしよ」つうか朝からそんなこと聞くな。
「なんでそんな事聞くんだ?」あ、適当な相槌でよかったか。
「ううん。別に」俺のウザイ光線を理解してくれたからかハリコはそこで会話をやめて玄関へ向かった。
「じゃあ、先行くね、お兄ちゃん」
妹は同じ高校の1年生だ。兄からみてもそこそこカワイイやつだとは思う。1年生ながら俺が通う風鈴具流須高校の生徒会主催のミス・フウリングルスで3位という快挙を成し遂げたくらいだ。4日前の話で、その日の文化祭はいろんなトラブルがあって客観的にもおもしろかった。俺は行事なんかすすんで参加するタイプではない。クラスのやつからもなんか暗いヤツと思われているに違いない。友達はいるが、それはおいおい語るとして、問題はオンミョウジだ。3年の金持ち4人組L4のひとり、オンミョウジツバサとは同じクラスだ。むろん学校の人気者で俺は気にくわない。まあ、モテたいとも思わない。俺にだって彼女ぐらいいる。まあL4の残り3人や彼女のこともおいおい話すとして。「まだおはようも言ってねえだろ・・・」長い説明のあとやっと俺はもう家を出た妹にツッコんだ。「ったくこれだから最近はやれ家庭崩壊だの、家庭内暴力だの物騒な世の中になってきてんだよ。なあ母さん」俺はテーブルにつきながら言った。
「なにブツクサ言ってんの。早く食べなさい。学校遅れるわよ」
へいへい。俺はもう冷めかけたトーストをパクついた。カリカリベーコンは冷めてもウマイ。
「ばあちゃんは?」
「もう起きて散歩に行ったわよ」
「相変わらず元気だな」俺は、俺、両親、祖母、妹の5人で暮らしている。郊外ながら一戸建て(そういえばガキのころ普通に一個建てだと思ってたし、慰謝料も医者料だと思ってた)を建てた親父を尊敬する。L4に入れなくても、俺は今の生活に満足している。まあ、この顔じゃあ入れないか。金持ちでイケメン。これがL4の条件。らしい。
「ごちそうさま」
家庭崩壊を恐れる俺は、きちんとあいさつをして玄関へ向かった。お気に入りのプーマのスニーカーを履く。映画アイランドを観て「そうだ。プーマ買おう」とその帰りに購入したものだ。
「あんた、髪伸び過ぎよ」母親が浴室から洗濯物を抱えながら出てきて言った。
「わあったよ。今日髪切ってくる。金は?」
俺は玄関の鏡をみた。これじゃあ少年アシベだな。けっこう気に入ってるけど。
母親はエプロンで手をふきながら(なんか典型的な母親でいいな。と思ったことは秘密だ)玄関まで来てくれた。
「ハイ」とエプロンのポッケから1万円出す。いやいや、準備してたのか?
「えっ。こんなにいいの?」
「お釣りは返しなさい」
へいへい。
「んじゃ、いってきます」
学校までは徒歩10分。この時間はメールチェックの時間だ。といっても大半は迷惑メールだが。
「おっ」とひとりごとを言うほどテンションが一瞬で上がる。友人の「リンジ」(これまた変な名前だが、作者の都合だろう)からのメールはとりあえず無視して
俺は恋人の「ルコ」(作者の都合にしてはいい名前だ)のメールを開けた。
『今日、昼休みにいつもの場所でね。』イヤッホウ。つきあって1ヶ月だが、やっぱりこういうのは嬉しい。ルコは同じクラスで、メガネが似合う女の子だ。2学期で隣りの席になり話すようになった。もともと2人とも本が好きなおかげですぐに打ち解けた。もっぱら俺は推理小説しか読んでいなかったが。もともと彼女もクラスで目立たない方だったので暗い2人は意気投合ってな感じでつきあうことになった。秘密にはしていないが、まあクラスの関心もなく話題にも上ってないと思われる。
「よし。クリスマスこそ・・・」
いろんな妄想に胸をふらます俺はこの時、いつも絵文字を使っているメールがただ文章のみであることに疑問は持たなかったし、これから悲劇ってやつを2つ迎えるうえにそれを2回も繰り返すとは思わなかった。いや。本当の悲劇ってやつはひとつだけだった。

第2話
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