サトゥの死ぬまでシネマ。

サトゥの死ぬまでシネマ。

第5話。

第5話「オーバー・ザ・ナイト」
病院に到着したとき、家族は全員揃っていた。手術中の赤いランプが目に入る。ドラマと同じだ。
「で、ばあちゃんは?」
「まだ、なんともいえない」オヤジが絶望を絵に描いたような顔で答えた。
「クソっ、俺が俺が助けたのに、いったい何があったんだ?」
「おばあちゃんに電話があったの」今度は母が答えた。妹のハリコは泣きじゃくっていた。
「誰から?」
「わからない、おばあちゃんが出たから・・・。その後、友達が近くまで来てるからって。こんな遅くに。って言ったんだけど、どうしても。って・・・」
まるで自分が悪いかのように母は話した。
「それで」
「警察から電話があって・・・。目撃者によるとバイクに轢かれたって・・・」
バイク?今度はバイクか?なぜ?運命は変えられないのか?
「轢いたやつは?」
「ひき逃げらしい」怒りをあらわにしてオヤジが言った。
「ちくしょう」手術中のランプが消えた。医者やら看護師やらが出てくる。
俺達家族の前に来ると医者は言った。
「最善は尽くしたのですが・・・」ほんとドラマみたいだ。
両親がいろいろと手続きしている間。ロビーで妹とベンチに座ってボーっとしていると人が近づいてくる気配がした。見上げるとL4のひとり「フドウアキラ」だった。面識はほぼなかったが、顔はしっていたし、隣りのクラスでオンミョウジ絡みで一度くらいしゃべったことがある。気がする。
「どうも、あの、俺、偶然事故を目撃して、救急車呼んで父さんの病院に連れていってもらったんだ。ここが近くだったし」
ここで俺は病院名がフドウだったこと、フドウアキラの金持ち理由が「親が医者」というのを同時に思い出していた。
「あ、そうなんすか、それはどうも」まあ、あたりさわりのないことを言っておこう、と思いつつ目撃者というのがひっかかった。
「あの、バイクって聞いたんすけど」
「ああ、暗いからよくわからなかったけど、フルフェイスのヘルメットに赤っぽい色だった。ナンバーは残念ながら見ていないけど・・・。轢いた後こけてたけどすぐ立ち上がって走りさったから」
「そうですか、ありがとうございました」
「いや、俺は、それに」そう、ばあちゃんは死んだ。しかも、俺が一度救ったのに。神様はチャンスをくれたんじゃなかったのか。
両親が来たのでフドウとはそこで別れた。

家に帰ると俺は理容ナカニシに向かった。もうしまっているかもしれないが、話さずにはいられない。ナカニシは看板こそ閉まっていたが明かりはついていた。もう夜中の2時だというのに。まるで俺をまっていかのようだった。店に入るとおっちゃんは俺の表情で悟ったか、無言でうなずいただけだった。俺は全てを話すことにした。
「1日を繰り返すか」話を聞いたおっちゃんは神妙な顔をして言った。
「そう。信じられないだろ。俺だって」
「でも、誰にも話したことがない失恋記録の話をしっているしな。信じるよ」
信じてもらおうと失恋記録の話をしたときおっちゃんは「誰から聞いた」のイッテンバリだったが。
「でもさ、今度はもう繰り返されないんだ。あれはなんだったんだろう」
「実はなおもいあたるんだ、その話」
「へ?」
「流行りの海外ドラマに似ているんだよ。俺はみたことないけど」
海外ドラマなんてジェシカおばさんの事件簿ぐらいしかわからない。って俺って18って設定だよな。
「海外ドラマ?」
「そう。そのドラマは主人公は死者から『助けて』と呼ばれると1日を繰り返すんだが」
「俺、ばあちゃんの声なんて聞いてないよ」
「お客に詳しいやついるから今度聞いておくよ」
「うん。つうか見てみようかな。それってなんてタイトル」
「トゥルー・コーリングだよ」
俺はリンジが俺のことを「トォル」と呼んでいたことを思い出していた。

第6話
目次


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: