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日経 サイエンス 2020年 05月号 [雑誌]
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東京大学医学部附属病院(東大病院)の放射線科医である前田恵理子さんが2020年4月12日、Facebookに新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)について投稿。
前田医師の「収束まで何年?親の覚悟」という文章はネットで拡散され、その内容に多くの人が考えさせられました。
発生から4か月経った今、世界中で猛威をふるっているコロナウイルス。感染者は日々増加しています。
コロナウイルスが収束し、街や職場や学校にまた人が集まることができる生活になるにはあと5~10年かかる と踏んでいるそうです。
感染症の終息に必要な戦略は、ウイルスの感染力や病原性の高さによって異なります。コロナウイルスの場合、潜伏期間が長い上に無症状者や軽症者の伝播力(でんぱんりょく)が強く、重傷者は医療を必須とするため、社会コストがもっとも高いのだとか。
制御に必要な条件について、前田医師は「人口の7~8割が感染し集団免疫を獲得するか、ワクチンができ集団接種が進むかの2つしかない」といいます。
前田医師は、集団免疫の獲得についてこのように持論を展開しました。
現在、世界各国でコロナウイルスのワクチン開発が行われています。前田医師は、2~3年ほどでワクチンが実用化される可能性はあるといいます。
しかし、ワクチンの安全性の保障や量産化には長い時間がかかるのだとか。世界中の人がワクチン接種をできるようになるには5~10年かかると予想しています。
未知のウイルスと闘うには世界中の研究者の努力や、膨大なお金と時間が必要なのです。
続いて、前田医師は今後の日本社会についてこのようにつづっています。
このような状況ですので、5月6日で緊急事態宣言が解かれて仕事や学校がいつも通りになるか、というとそれはありません。
少しでも、接触を許容すると、このウイルスはあっという間にぶり返しますから、年より及ぶ抑制生活を強いられることになります。
多少集団免疫の獲得が進んでも、局所的な流行で自粛を繰り返す、不安定な生活が続くことになると予想します。むしろ、10年の間に社会がすっかり変わると思います。
職場はリモートワークが当たり前になり、オフィスに通う生活をする人は激減、一方第一次、第二次産業とケアワークは、海外依存できなくなるために仕事が増えるはずです。産業構造は40年前の日本にちかづうのではないでしょうか。
学校はホームスクーリングが基本になり、集団授業は過去のになるでしょう。日本型の一斉入試は不可能になり、オンラインを通じたエッセイテストのような、欧米型AO入試をアレンジしたものが主流になると予想されます。
この変化に対応できた学校や教育システムだけが生き残ることになるでしょう。息子も高校生になるころまではまともに学校がない生活を覚悟してますので、ノートPCを与えてクリエイティブに使えるように指導します。
コロナ後の世界では、日本型の受験勉強より重要なことだと思います。
これまでも人間は新型のウイルスによって多くの人の命が奪われ、その時代を生きた人たちは長い間、必死に闘ってきました。
コロナウイルスが1日でも早く終息し、世界中の人が元の生活に戻れるよう祈るばかりです。
※記事では『終息』を完全に終わることとし、『収束』をある程度事態が落ち着くこととしています。